監理技術者が必要な現場と監理技術者になるための流れを解説

※本サイトはプロモーションを含んでいます。

建設系の工事現場には、主任技術者もしくは監理技術者を配置することが必要です。監理技術者という名前を聞いても、建設業で働いている人でなければなかなかどんな役割なのかを知る機会はないでしょう。

この記事では、監理技術者について、監理技術者が必要なのはどんな現場か、どのような役割があるのか、監理技術者になるためにはどうすれば良いのかなどを解説します。
建設業への就職を考えている人に役立つのはもちろんのこと、そうでない人も普段親しむことのない資格について知る機会となるでしょう。

監理技術者とは

「監理技術者」とは、工事現場において一定の技術水準を確保しておくために配置される技術者のことです。工事の施工計画を立て、施工管理や安全管理、技術的指導などを行う役割です。工事をスムーズかつ安全に行うためには、監理技術者は重要な位置づけにあるといえるでしょう。

監理技術者が必要な現場とは

監理技術者の配置が必要なのは、特定建設業クラスにあたる規模の大きな現場の元請工事です。特定建設業クラスにあたる規模の大きな現場を具体的に説明すると、「4.000万円以上(建築一式工事の場合は6.000万円)以上の下請工事を締結した工事」の現場です。

発注者から直接請け負った建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額の合計が4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上となる場合には、監理技術者の配置が義務付けられており、また、請負う業者は特定建設業の許可を得ていることが必要となります。

監理技術者と主任技術者の違い

監理技術者が必要ない現場でも主任技術者が必要

前章で「4.000万円以上(建築一式工事の場合は6.000万円)以上の下請工事を締結した工事」の現場には監理技術者を配置することが必要だと説明しました。では、4,000万円に満たない金額の場合なら技術者の配置は必要ないのかというと、そうではありません。

建設業法第26条第1項において、建設業の許可を受けたものが建設工事を施工する場合には、元請・下請、請負金額に係わらず工事現場における工事の施工の技術上の管理をつかさどる者として、主任技術者を配置しなければならないことが定められています。

さらに建設業法第26条第2項では、発注者から直接請け負った建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額の合計が4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上となる場合には、特定建設業の許可が必要となるとともに、主任技術者に代えて監理技術者を配置しなければないことが定義されています。

もう少し分かりやすくいうと、元請・下請、請負金額に関わらずどんな現場にも主任技術者が必要であり、元請で下請契約の請負代金の額の合計が4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上となる現場には主任技術者に代えて監理技術者が必要だということになります。

監理技術者は元請けの場合に必要

監理技術者を配置する義務があるのは、発注者から直接請け負った元請け工事の場合です。下請けとして工事を受注した場合は、4,000万円を超えるものでも監理技術者は必要なく、主任技術者を配置すればよいことになります。

監理技術者は主任技術者より厳しい資格や経験が必要

監理技術者は主任技術者にくらべ、より大きな規模の現場の監督・指導を行う立場です。そのため監理技術者は主任技術者より厳しい資格や経験が求められます。

監理技術者も主任技術者も兼任はできない

監理技術者も主任技術者も、例外(※1)を除き複数の現場を兼任することはできません。派遣社員やアルバイトを監理技術者や主任技術者として配置することは法律で禁じられており、必ず工事の元請けや下請けを受注した会社の正社員である必要があります。

※1
例外(主任技術者)
関連性が強い複数の工事において、それら全てを同一の建設業者が請け負い、同じ場所、もしくは近接した場所において施工する場合は、一人の主任技術者がそれらの工事現場の主任技術者を兼ねることができます。

例外(監理技術者)
以下の期間は、発注者と建設業者との間で書面により明確に定めていれば、例外扱いとなります。
・現場施工に着手するまでの期間(現場事務所の設置、資機材の搬入、仮設工事等が開始されるまでの期間)
・自然災害の発生等により工事を全面的に一時中止している期間
・橋梁、エレベーター等の工場製作を含む工事であって工場製作のみが行われている期間
・工事完成後の事務手続き、後片付け等のみが残っている期間

監理技術者になるには

監理技術者になるまでの流れは次の通りです。

(1)指定の一級国家資格等を取得する
(2)監理技術者講習を受講する
(3)監理技術者資格者証の交付を受ける

次にそれぞれについての詳細を説明します。

指定の一級国家資格等を取得する

指定建設業において、監理技術者となるには、一級国家資格等の保有が必要です。(指定建設業とは、土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業の7業種)

参考:1級国家資格等による監理技術者の資格要件(CE財団ホームページ)

なお、指定建設業以外の22業種に関しては、一定の要件を満たした実務経験を有する方も監理技術者となることができます。

参考:実務経験による監理技術者の資格要件(CE財団ホームページ)

監理技術者講習を受講する

実際に監理技術者として建設工事に携わるためには、監理技術者資格者証と監理技術者講習修了証が必要となります。監理技術者講習修了証は、監理技術者講習を受講することで交付されます。

監理技術者講習は以下の機関で実施されています。受講費用は1万円前後になっており、1日で終了します。講習の有効期限は5年間ですので、5年ごとに講習を受ける必要があります。

 

監理技術者講習を行っている団体

一般財団法人 全国建設研修センター
一般財団法人 建設業振興基金
株式会社 建設産業振興センター
一般社団法人 全国土木施工管理技士会連合会
株式会社 総合資格
株式会社 日建学院

監理技術者資格者証の交付を受ける

監理技術者資格者証は、監理技術者の資格要件を満たす資格のある方が、建築業技術者センターに資格者証交付申請することにより交付されます。資格者証は常に携帯が義務付けられており、求められたらすぐに提示しなければなりません。

監理技術者資格者証も監理技術者講習と同様に、有効期間は5年間です。

監理技術者についてのまとめ

  • 監理技術者」とは、工事現場において一定の技術水準を確保しておくために配置される技術者のことです。
  • 監理技術者は、発注者から直接請け負った建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額の合計が4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上となる場合に配置が義務付けられています。
  • 主任技術者はどの現場にも配置が必要で、監理技術者の配置が義務付けられている条件の現場は、主任技術者に代えて監理技術者を配置する必要があります。
  • 監理技術者になるための流れは以下の通りです。
    (1)指定の一級国家資格等を取得する
    (2)監理技術者講習を受講する
    (3)監理技術者資格者証の交付を受ける