玉串の意味と玉串奉奠の作法を解説

※本サイトはプロモーションを含んでいます。

神社で行われる神式の儀式で、神様への捧げるものとして「玉串」が用いられます。この記事では、玉串について、また玉串を用いた儀式「玉串奉奠」について解説します。

玉串とはそもそもなにか

玉串は、榊(さかき)の枝に木綿(ゆう)と呼ばれるこうぞの皮から作った糸、または紙垂(しで)と呼ばれる白い紙をつけたもので、神前への捧げ物として用いられます。
古来は主に木綿が使われていましたが、現在ではほとんど紙製の紙垂になっています。

紙垂はギザギザの独特な形に折られていますが、これは雷の形を模しているとされ、昔の人々が雨乞いをして豊作を祈ったことが起源といわれています。

榊はツバキ科の常緑樹で、神社の境内にもよく植えられています。榊には「神が依り代として降りる」といわれ、古来から神棚や祭壇への供え物やお祓いなど神式の儀式に使われてきました。

榊の漢字には「神」の字がついていますが、さかきの読みの由来は、神の領域との境を示す「境木」とする説や、栄える木の意味から「栄木」とする説など諸説があるようです。

玉串奉奠(たまぐしほうてん)とは

玉串奉奠(たまぐしほうてん)とは何か

玉串奉奠とは、神事で行われる神へ玉串を捧げて礼拝する儀式です。
「奉奠」は普段使うことのない独特な言葉ですが、「うやうやしく捧げる・つつしんで供える」という意味があります。

玉串奉奠(たまぐしほうてん)はいつ行うのか

玉串奉奠は、神式の通夜や葬儀で行われます。仏式の焼香にあたるもので、参拝者は玉串を祭壇に捧げ、個人の冥福を祈ります。
また、神式の結婚式や七五三、お宮参りなどの祈祷やお祓いを受けるときにも玉串奉奠が行われます。

玉串奉奠(たまぐしほうてん)の流れ

玉串奉奠には決まった作法があり、下記の流れで行います。

1.玉串を受け取ります。
神職に一礼して玉串を受け取ります。このとき、参拝者の右手方向に玉串の枝の部分、左に葉先が来るように渡してくれますので、枝の部分を右手で上から持ち、左手の手のひらを上に向けて葉先のほうを下から受ける形で持ちます。
2.神前に進みます。
玉串を受け取ったら胸のあたりの高さに持ち、神前に進みます。玉串案(たまぐしあん・玉串を供える台のこと)の前の一歩手前で止まり一礼します。
3.玉串を持ち替えて祈願します。
玉串を持った右手を手前に引く形で、玉串の枝側が自分のほうに、葉先が神前に向かうようにします。左手も枝の部分に持ち替え両手で玉串の枝の部分を持ったら、玉串を手前に起こすように少し立て、願いや祈りを込めて祈願します。
4.玉串の向きを変えます。
玉串の向きを、枝側が神前に、葉先が自分の方に向くように変えます。
まず右手で葉の部分を下から持ち、枝を中心に、葉先が手前に来るまで右回り(時計回り)に180度回転させます。
5.玉串を供えます。
神前まで左足から一歩進みます。枝側を神前に向けたまま玉串案に供えます。供えたら右足から一歩下がり姿勢を正します。

6.二礼二拍手一礼で拝礼します。

二礼
90度の深いお辞儀を二回します。

二拍手
拍手を二回します。
通夜や葬儀の場合は音を立てて拍手してはいけません。「忍び手」といい、音を出さずに手を合わせるだけにします。結婚式や祈祷の場合は音を出して拍手します。

一礼
90度の深いお辞儀を一回します。

最後は右足から退きます。

 

玉串奉奠の順番

玉串奉奠は、儀式によって行う順番が決まっています。
葬儀の場合は、斎主がまず一番最初に行い、次に喪主、直系の遺族、親族、最後に参列者が行うという順番です。
結婚式では、新郎新婦が行ってから媒酌人(ばいしゃくにん)が続き、最後に親族という順番です。

神式の葬儀で注意すること

神式の葬儀では数珠をつけない

神式の葬儀では数珠をつけないようにしましょう。数珠は仏具にあたりますので、神式の場には相応しくありません。

手水の儀がある

「手水の儀」は神式の葬儀にだけある儀式です。参列者は入り口に用意された手桶で水を汲み、手と口を洗い清めてから参列をするのが礼儀です。
左手、右手の順に柄杓(ひしゃく)で水をかけ、最後に左手に受けた水で口をすすぎ、懐紙で口元をぬぐいます。

玉串料とは

玉串料とは、神社に祈祷を依頼する際に納めるお金のことで、本来なら玉串を納めるところを、代わりにお金を納めるという意味合いのものです。
神社に納めるお金としては、初穂料もあります。初穂料はもともと神社への謝礼として農作物を納めていたことに由来するもので、農作物の代わりということになります。
玉串料も初穂料も神社への謝礼として渡すものですが、使える場面に違いがあります。初穂料はお宮参り、七五三をはじめすべての祭事で使えます。ただし、お葬式には相応しくありません。
玉串料も結婚式をはじめ初穂料同様に様々な場面で使えます。神式のお葬式でも玉串料は使うことができます。

玉串・玉串奉奠についてのまとめ

  • 玉串は、榊の枝に木綿(ゆう)、または紙垂(しで)をつけたもので、神前への捧げ物として用いられます。
  • 玉串奉奠とは、神式の結婚式、お通夜、お葬式などで、神へ玉串を捧げて礼拝する儀式です。
  • 玉串奉奠には、玉串を受け取ってからは拝礼までの決まった作法があります。
  • 玉串料とは、神社に祈祷を依頼する際に納めるお金のことで、玉串の代わりにお金を納めるという意味合いのものです。
  • 玉串料は、神式のすべての祭事およびお葬式で使えます。