ここでは、「股肱の臣」という言葉の、類義語などについて解説しています。

「股肱の臣」は、普段目にする機会のない言葉ですが、管理職クラスの方にとっては、部下のでスピーチをするときなどに教養ある蘊蓄として引用できる言葉です。

この記事を通して、「股肱の臣」という言葉の語源や用法について学ぶことができます。
この機会にぜひ覚えておきましょう。

股肱の臣とは|読み方と意味

「股肱の臣」は「ここうのしん」と読みます。
「臣」は「大臣」の「じん」と同じですが、「股肱の臣」の読みは「臣下」と同じ「しん」となります。

くれぐれも「ここうのじん」とは読まないように注意してください。

また「股肱の臣」を「股肱之臣」と漢字で表記される場合もありますが、読みや意味は同じです。

「股肱の臣」の意味は、「誰よりも信頼できる家臣」「一番頼りになる家来」「なくてはならない部下」などを示します。
現代風に言えば「デキる切れ者の部下」という感じです。

股肱の臣の語源

「股肱の臣」の由来は中国の「史記」という歴史書にある、「輔拂股肱之臣配焉、忠信行道、以奉主上」という一節に由来しています。

日本語に読み下すと、「輔拂(ほひつ)は股肱の臣。これに配し忠信に道を行い、もって主上に奉ず」となります。
ちなみに「輔拂」とは皇帝の政治を補佐する役職のことです。

日本でも、大日本帝国憲法のもとで天皇が大権を施行する際に誤りがないように進言することを「輔弼(ほひつ)」と言いました。現在の天皇制は国政に関与する権能がないため、補弼にあたる役職は存在しません。

次に、「股肱の臣」の「股」は、「太股(ふともも)」の「股」を意味します。そして「肱」は「肘(ひじ)」と同じ意味になります。したがって「股肱」は「太股と肘」のことを表し、文字通り「人の手足」を意味します。

どちらも人間にとって非常に大切なパーツです。それが転じて「股肱」は「なくてはならないもの」「非常に大切なもの」を意味するようになりました。
一方、「臣」は「主君に使える家来や人民」の意味になります。

それらを合わせて、「股肱の臣」は、「人の手足のように重要で、役に立つ部下」という意味を表す故事成語になりました。

股肱の臣の言い換え

「股肱の臣」と言い換えられる言葉としては、「腹心の部下」、「股肱羽翼」、「股掌の臣」などがあります。

まず「腹心の部下」ですが、「腹心」は本来、腹と胸(心)を意味する言葉です。
つまり「股肱」と頭をのぞいた「体の中心」の意味になります。それが転じて、「心の奥底」を意味するようになり、さらに転じて、「腹心(胸の内、本音)」を打ち明けたり相談ができる相手を意味するようになりました。

したがって「腹心の部下」は「信頼できる部下」を意味する言葉になります。

次に「股肱羽翼」は、「ここううよく」と読みます。

「股肱」は前述したように手足のことを意味します。一方、「羽翼」は文字どおり鳥の羽と翼のことですが、上役を支える補佐役という意味もあります。つまり「股肱羽翼」は「上役にとって最も信頼できる補佐人」という意味になります。

最後に「股掌の臣」は、「こしょうのしん」と読みます。

「股」は足のももを、「掌」は手のひらを意味する言葉です。したがって「股掌」は「股肱」と同じ意味の言葉になります。
「股掌の臣」の意味も「股肱の臣」と同じで、「上役の手となり足となって働く忠実な部下」を表す言葉になります。

言い換えの例文

「腹心の部下」の例文

社長には多くの部下がいるが、どれも「腹心の部下」というよりは、「腹を探り合う部下」のようにしか思えない。

「孤高羽翼」の例文

「社長にとって奥様は日本一の股肱羽翼であると同時に、世界一のラスボスでもあります」

「股掌の臣」の例文

「社長は私のことを『股掌の臣』だと、口では持ち上げてくれますが、給与はずっと奉公人のままです」

股肱の臣の類義語

股肱の臣の類義語としては、「片腕」「右腕」「女房役」などをあげることができます。

「片腕」は、腕が片方ないと不便でならない、という意味で、「身近で大事なもの、または人」「欠くことができない存在」を表すようになり、それが転じて「最も信頼できる配下の者」「腹心」といった意味を持つようになった言葉です。

「右腕」も同様に「最も信頼している配下の者」という意味の言葉です。

「女房役」は妻が夫の内助の功となるように、補佐役としてを盛りたてる役目を言います。
現在では、おもに野球でキャッチャーのことを言うのが一般的です。

類義語の例文

右腕の例文

「社長が専務を紹介するとき、『専務は私の右腕でしてね。もっとも私は左利きですが』と、意味深な冗談を言う」

女房役の例文

「高校時代に野球部で僕の女房役だった田中君が先週、本物の女房をもらったよ」

股肱の臣の英語表現

「股肱の臣」の英語表現としては、「右腕となる人」を意味する「right hand man」、「忠実な部下」という意味の「devoted(またはtrusty) follower」などがあります。
また、ギリシャ・ローマ神話に登場するアエネイスの忠実な従者Achates(アカーテス)に由来する「fidus Achates」も「信頼できる友」や「忠実な部下」の意味がありますが、原語はラテン語ですので、現代英語では一般的ではありません。

「right hand man」の例文

The president had not been perfect, but he had recognized his weakness as manager and allowed his right hand man to compensate for him in those areas where he was weak.
(社長は完璧な人ではなかったが、経営者としての自分の弱点を認識し、その弱い分野を、彼の右腕となる部下が補うことを容認していた。

「devoted follower」の例文

The next president is a devoted follower of incumbent president, following his lead on management strategy and holding similar positions on many issues.
(次期社長は、現職の社長に忠実な部下であり、経営戦略は現社長の方針を維持し、他の多くの問題についても同様の立場を示しています。)

まとめ

  • 「股肱の臣」は「ここうのしん」と読み、「誰よりも信頼できる家臣」「一番頼りになる部下」を意味します。
  • 「股肱の臣」と言い換えられる言葉には、「腹心の部下」、「股肱羽翼」、「股掌の臣」などがあります。
  • 股肱の臣の類義語としては、、「片腕」「右腕」「女房役」などがあります。
  • 股肱の臣」の英語表現には、「右腕となる人」を意味する「right hand man」、「忠実な部下」という意味の「devoted follower」などがあります。