【どっち?】「寸暇を惜しんで」「寸暇を惜しまず」?意味や例文・使い方まで

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この記事では「寸暇を惜しんで」の意味や使い方を解説いたします。どのような場面でも使える表現ではありますが、どういった意味があってどのように使うのかよく分からないという人もいることでしょう。

そこで今回は「寸暇を惜しんで」の意味や使い方、類語や例文なども含めてピックアップしました。この記事を最後まで読むことで、「寸暇を惜しんで」をよく理解できるようになることでしょう。

「寸暇を惜しんで」の意味 | 「寸暇を惜しまず」とは違う?

日常会話やネット記事などでは「寸暇を惜しんで」と「寸暇を惜しまず」という似た2つの表現が混在しています。このままだとどちらの表現が正しいのか困惑してしまうことでしょう。

そこでこの項目ではどちらの表現が正しいのかや語源について取り上げました。それでは一つずつ確認していきましょう。

「寸暇を惜しんで」とはどのような状況を表すか

「寸暇を惜しんで」とは「わずかな時間も無駄にしないように」という意味です。「寸暇」とは「わずかな暇」という意味があります。

忙しい人にとってはわずかな暇がとても貴重なものです。そんな少しの時間を無駄に過ごすのが惜しいと思うことを「寸暇を惜しんで」と言い表します。

例えば「寸暇を惜しんで勉強する」は「わずかな時間も無駄にしないように勉強する」という意味です。「寸暇を惜しんで」はこのようにわずかな時間も惜しみ、有意義に使おうとする際に用いられます。

「寸暇を惜しんで」の語源とは

「寸暇を惜しんで」の語源は、この言い回しを分解することで分かりやすくなります。「寸」は「ちょっと」や「わずかな」、「暇」はそのまま「暇」という意味です。

また「惜しんで」は「もったいないと思って」や「大切に思って」という意味があります。そしてそれらの意味が合わさって上記のような意味になりました。

なお「寸」は古典文学でも登場する長さの単位で、現在でいう3.03cmです。このことからも、「寸」という単位が非常に小さいということが分かります。

このように語源も一緒に確認すると、その言葉をより理解できたり意味を忘れにくくなったりすることでしょう。「寸暇を惜しんで」に限らず、新たな言葉を学ぶ上では語源も合わせて確認するようにすると良いかもしれません。

「寸暇を惜しまず」は間違い?

「寸暇を惜しんで」とよく似た表現として「寸暇を惜しまず」が挙げられます。結論から言うと、「寸暇を惜しまず」は誤った表現です。

「寸暇を惜しんで」と同じように考えると、「寸暇を惜しまず」は「わずかな時間をもったいないと思わない」という意味になってしまいます。つまり「わずかな時間を浪費しても構わない」といっているようなものです。

したがって「寸暇を惜しまず」は間違いだといえます。しかしながら、文化庁の調査によると「寸暇を惜しんで」が正しい表現だと回答した人は38.1%、「寸暇を惜しんで」が正しいと思って回答した人が43.5%でした。

つまり「寸暇を惜しんで」よりも「寸暇を惜しまず」が正しいと思っている人の方が多いということです。これは似たような表現があることが原因の一つだと考えられます。

具体的には「骨身を惜しまず」などの表現です。「骨身を惜しまず」とは「労力や面倒を厭わず」ということを意味します。

「骨身を惜しまず」では「惜しまず」と使っているので、「寸暇を惜しんで」も「寸暇を惜しまず」が正しいと勘違いした人が多くなったのかもしれません。この際に「骨身を惜しまず」とは違うということをしっかりと区別しておきましょう。

「寸暇を惜しんで」の使用例

「寸暇を惜しんで」の意味や語源を理解したところで、次は「寸暇を惜しんで」をどのように使用するのかを確認していきましょう。「寸暇を惜しんで」を実際の使用例を確認することで、使い方をイメージしやすくなります。

そこでこの項目では「寸暇を惜しんで」の使用例を、日常場面とビジネスシーンとでそれぞれまとめました。それでは一つずつ確認していきましょう。

「寸暇を惜しんで」は日常の場面でも使用されることがあります。それは日常場面でもわずかな時間を惜しむようなケースが少なくないことからも自明です。

そのようなケースを念頭に置いた上で、以下の具体的な例文を一つずつ見ていきましょう。

日常で使える「寸暇を惜しんで」の使い方

例文
  • 彼は部活動に励みつつ、寸暇を惜しんで勉強している。
  • 彼女は寸暇惜しんで今話題のゲームに興じている。
  • 寸暇を惜しんで努力してきた彼だからこそ、難関試験に合格したのだろう。

ビジネスで「寸暇を惜しんで」を使うとしたら

「寸暇を惜しんで」はその意味合いから、ビジネスシーンでも使用することが可能です。もしビジネスシーンで「寸暇を惜しんで」を用いるなら、次のような例文が考えられます。

例文
  • 私は寸暇を惜しんで働き続けてきたという自負がある。
  • 彼女は寸暇を惜しんで仕事に励み、この春からチームリーダーに抜擢された。
  • 彼は寸暇を惜しんで試験勉強し、報酬対象である難関資格を取得した。

「寸暇を惜しんで」の類語とその例文

「寸暇を惜しんで」には様々な類語があります。しかしながら意味がほとんど同じものもあれば、微妙にニュアンスが異なるものもあるのです。

そこでこの項目では「寸暇を惜しんで」の類語と「寸暇を惜しんで」との違い、類語の例文をピックアップしました。それではそれぞれ確認していきましょう。

「一刻を争う」と「寸暇を惜しんで」の違い

「寸暇を惜しんで」の類語の一つとして「一刻を争う」が挙げられます。「一刻を争う」とは「少しの時間も無駄にできず、急がねばならない」という意味です。

「少しの時間も無駄にできない」という点においては「寸暇を惜しんで」と共通しています。両者の違いは、「一刻を争う」には焦りの気持ちがあるのに対し、「寸暇を惜しんで」にはそのようなニュアンスがないという点です。

その点も押さえた上で、「一刻を争う」の例文を以下にてご確認ください。

例文
  • 一刻を争う事態なので、彼は今すぐにでも手術を受けなければならない。
  • 震災が起こった地域は甚大な被害が出たため、事態は一刻を争う
  • 一刻を争う事態に、急遽現場へ入ることになった。

「寝る間も惜しんで」の例文・使い方

「寸暇を惜しんだ」と似た表現として「寝る間も惜しんで」があります。「寝る間も惜しんで」とは「寸暇を惜しんで」とほとんど同じ意味です。

人は生きていくために適度な睡眠を取る必要がありますが、睡眠を取る時間ももったいないと思うほど没頭することを意味します。わずかな時間ももったいないと思うというのが「寸暇を惜しんで」との共通点です。

違いを挙げるとすると、「寝る間も惜しんで」はネガティブなニュアンスで使われることが多いのに対し、「寸暇を惜しんで」はそのようなことがないという点でしょう。日本人は勤勉で労働に美徳を感じ、寝る時間も返上して努力することが尊いとされているところがあります。

しかしながら、世界的にはそのような考え方は狂気に近く感じられているのです。自身の健康や人生よりも、とにかく働くことの方が優先するというのはなかなか受け入れがたい価値観だといえます。

また「寝る間を惜しんで」を使った例文としては、以下のようなものが挙げられるでしょう。

例文
  • 彼は寝る間も惜しんで働いた結果、体調を崩し入院してしまった。
  • 自分にとっては寝る間も惜しんで労働するよりも、ワークライフバランスが取れた生活の方が魅力的だ。
  • 寝る間も惜しんで没頭したいようなことは彼にはないようだ。