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この記事では「すべからく」について解説いたします。
文芸書や古文などでは度々見かける表現ではありますが、その意味や使い方についてはよく分からないという人も多いかもしれません。
そこで今回は「すべからく」の意味や語源、誤用される理由や正しい使い方なども含めてまとめました。この記事の中で少しでも参考になる情報があれば幸いです。
「すべからく」の意味 | なぜ誤用される?
「すべからく」は意味を誤解している人が多い言葉だといえます。
それには様々な理由が考えられますが、その理由も知っておいた方が「すべからく」の意味を忘れにくくなることでしょう。
そこでこの項目では「すべからく」の意味と語源、なぜ誤用されるのかを取り上げました。それでは順番に確認していきましょう。
「すべからく」とは何か
「すべからく」とは「当然しなければならない」や「ぜひともやらなければならない」といった意味です。義務や命令のニュアンスを強く持っている言葉だといえます。
また上記の意味から転じて「当然」や「ぜひとも」のように副詞として使用されるようになりました。今日でも「すべからく」は日常会話だけではなくビジネスシーンでも用いられる用語です。
「すべからく」の語源
「すべからく」という言葉を理解する上では、一度分解してしまうのが分かりやすいでしょう。「すべからく」は「す」「べから」「く」に分けることができます。
古語で「する」を意味する「す」に義務の助動詞「べし」がついて「すべし」となり、この語尾にクをつけて名詞化する「く語法」によって「すべからく」になりました。
なお「すべからく」は漢字で書くと「須く」です。「須」という字には「求める」や「必要とする」といった意味があります。
そして「須く」は漢文では「須く〜べし」というように末尾に「ベし」を伴いました。それが今日では必ずしも「ベし」がなくても先述のような意味で使われるようになっています。
誤用される主な理由
「すべからく」は誤用されることが非常に多い言葉です。最も多い誤用は、「すべからく」を「全て」という意味で使用しているケースが挙げられます。
このように誤用される理由は、大きく分けて2つです。1つ目は「すべからく」という音の響きが「全て」に似ているからだとされています。
そして2つ目は「すべからく」という言葉だけではその意味を連想しにくいという点です。それらの理由が合わさり、「すべからく」を「全て」だと誤解している人が多いのだと推測されています。
しかしながら、「すべからく」には「全て」という意味はありません。この際に語源と合わせて覚えておき、誤用することがないように留意すると良いでしょう。
「すべからく」の正しい使い方と例文
「すべからく」の意味を理解したところで、実際にはどのように使ったら良いのかも知っておきたいという人も多いかもしれません。そこでこの項目では、ビジネスシーンでの「すべからく」と、「すべからく」の使い方を例文も添えてピックアップしました。
具体例があることにより、どのような使い方をするのかイメージしやすくなることでしょう。「すべからく」の意味を踏まえた上で、どのように使うのかご確認ください。
ビジネスシーンでの「すべからく」
「すべからく」はビジネスシーンでも使われることがある表現です。「すべからく」は義務や命令などの意味合いがある言葉なので、そのような場面で用いられます。
また「すべからく」は末尾に「べき」や「すべき」などを伴います。それらの点を踏まえて、ビジネスシーンではどのように「すべからく」を使用するのか以下の例で確認していきましょう。
- 給料をいただいている以上、すべからく真面目に働くべきだと考えている。
- 先方に迷惑をかけてしまったため、すべからく謝罪をすべきだ。
- 皆が快適に過ごせるよう、すべからく環境整備をすべきだと思う。
「すべからく」の使い方・例文
先述のように、「すべからく」は末尾に「べき」や「すべき」などを伴って使います。そのことは「すべからく」が指示や命令のニュアンスがあることからもイメージしやすいかもしれません。
また「すべからく」の使い方を理解する上では、具体例を一つずつ確認するのが最も手っ取り早いといえるでしょう。そこで以下の例文を、一つずつご確認ください。
- 社会人として、すべからく納税すべきだというのが自分の意見だ。
- 今は全員がすべからく結婚すべきだという時代ではない。
- 良い成績を残したいならすべからく努力すべきだろう。
「すべからく」と「おしなべて」の使い分け
「すべからく」と似た表現として「おしなべて」が挙げられます。その意味や違いを知ることで、それぞれを適切に使い分けることが可能です。
そこでこの項目では「すべからく」と類似の表現と、「すべからく」と「おしなべて」の使い分けについてピックアップしました。それぞれ順番に確認していきましょう。
「すべからく」と「おしなべて」の使い分け
「おしなべて」は「総じて」や「概ね」「普遍的」といった意味です。漢字では「押し並べて」と表現し、古典文学などにも登場します。
上記のように「おしなべて」は「すべからく」と異なる意味がありますが、両者を混同してしまったり、誤って使ってしまったりするケースが散見されます。それはどちらも、言葉の響きや漢字からでは意味を推測できないからかもしれません。
意味が全く異なる言葉なので、しっかりと区別をする必要があります。また「おしなべて」は「すべからく」と違い、後ろに「べき」や「すべき」といった言葉を必要としないという点も大きな違いです。
それらの点を踏まえて、以下の「おしなべて」の例文を確認しておきましょう。
- 学生の間で、これらのアニメはおしなべて人気だった。
- 採用担当の腕が良いのか、今年の新人はおしなべて優秀だ。
- 彼は話がうまいので、言っている内容がおしなべて理解できた。
「すべからく」と類似の表現
「おしなべて」以外の「すべからく」と類似の表現は「当然」や「無論」などが当てはまります。「当然」は「そうであるべきこと」や「道理にかなっていること」といった意味です。
「無論」には「もちろん」や「言うまでもなく」という意味があります。またそれらの表現を使った例文としては、下記のようなものが挙げられるでしょう。
- 高い給料が欲しいなら、当然優秀なビジネスマンにならなければならないだろう。
- 彼は人から何かをしてもらえるのが当然のように思っているふしがある。
- 休みなく働き続けたら体を壊すのも当然だ。
- 例え友達であっても、家にお邪魔する時は無論手土産を持っていくものだ。
- 家計が厳しいなら、無論お金の使い方を見直すべきだろう。
- 早く内定をもらいたいが、無論どんな会社でも良いわけではない。