「破天荒」は「豪快で大胆」ではない!正しい意味と例文

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この記事では「破天荒」について解説いたします。日常会話やニュースなどでも散見される表現ではありますが、その意味や使い方を誤解しているという人も少なくありません。

そこで今回は「破天荒」の意味や語源、使い方や類語なども交えてピックアップしました。この記事の中で一つでも参考になる情報があれば幸いです。

「破天荒」の意味とは

「破天荒」は誤解されやすい言葉の一つです。日常会話やネット記事などでも用いられる表現ですが、その意味を誤解しているというケースも散見されます。

そこでこの項目では「破天荒」の意味と語源についてまとめました。それでは順番に確認していきましょう。

「破天荒」とはどのような状況を指すのか

「破天荒」は「はてんこう」と読み、「これまでに誰もなし得なかったことをする様」という意味です。もう少し平たくいうと、これまで誰もできなかったことを初めて行う「前人未到」であることを意味します。

よく誤解されますが、「破天荒」は「大胆不敵であること」や「無茶苦茶なことをすること」といった意味はありません。しかしながらそのような意味であると誤解している人が散見されます。

実際に文化庁が調査したところ、「破天荒」を「大胆不敵であること」や「無茶苦茶なことをすること」という意味だと思っている人が過半数だったそうです。これには大きく二つの理由が考えられます。

一つ目は前人未到であるという意味から転じて、これまでに誰もやったことがない程に大胆であると解釈されてしまったからです。そして二つ目は「破天荒」という字面が誤用の意味を連想させるからだと考えられています。

間違いやすい言葉であるということを認識し、正しい意味をしっかりと理解しておきましょう。

「破天荒」の語源と歴史

「破天荒」の語源は中国の唐代における故事です。唐代に官吏になるための科挙という試験で100年以上合格者が1人も出なかった荊州(けいしゅう)という地がありました。

荊州は天荒と呼ばれ、1世紀以上も科挙の合格者が出ないという土地だったのです。そんな中、ついに劉蛻 (りゅうぜい)という人物が科挙に合格しました。

この快挙は「天荒を破る」と讃えられ、この故事から誰もなし得なかったことを初めて行うことを「破天荒」と表現するようになったというわけです。

このように言葉の語源を知ると、その言葉の意味も忘れにくくなるという副次的な効果も期待できます。そのためその言葉の意味を丸暗記するというより、語源も合わせて確認した方が覚えやすいかもしれません。

「破天荒」はどう使う?日常で使える例文や誤用

「破天荒」という言葉の意味を理解したところで、実際にはどのように使ったら良いのかも気になるところでしょう。そこでこの項目では「破天荒」の使い方について取り上げました。

具体的にどのように使うかを確認するために例文をピックアップしています。また誤用についても取り上げているので、それらを踏まえた上で一つずつ確認していきましょう。

「破天荒な性格」とは

日常会話やネット掲示板などで「破天荒な性格」という表現が使われていることがあります。しかしながらこれは「破天荒」を「大胆不敵な」という意味で解釈して使っている誤用です。

「破天荒」は先述のように「これまでに誰もなし得なかったことをする様」という意味なので、性格に対して使用するのは適切ではありません。なぜなら「破天荒な性格」を換言すると、「前人未到な性格」という不可思議な意味になってしまうからです。

「破天荒な性格」という表現は、「破天荒」を「大胆不敵な」や「無茶苦茶をする」といった意味だと誤解した上での表現だと推察されます。その誤解の上だと、「破天荒な性格」は「大胆不敵な性格」や「無茶苦茶をする性格」だと解釈できるからです。

しかし「破天荒」という言葉の正しい意味を考えると、「破天荒な性格」という表現は適切ではないということが分かるでしょう。この表現は誤用であるため、使用しないように気をつける必要があります。

「破天荒」の間違った使い方

「破天荒」は上述のように、「大胆不敵な」や「無茶苦茶をする」というようなニュアンスで使われることがあります。しかしながら、「破天荒」にはそのような意味はありません。

その点を踏まえた上で、以下に正しい意味での「破天荒」の使い方を例文で列挙しました。正しい意味と間違った使い方との違いを意識しながらご確認ください。

例文
  • 彼が残した功績を考えると、破天荒な人だったといっても過言ではない。
  • 彼女の破天荒な人生は、まるでジェットコースターに乗っているかのように刺激的だ。
  • 私の上司は破天荒な営業成績を叩き出したことで有名だ。

「破天荒」の類語とその使い分け

「破天荒」には様々な類語がありますが、意味が全く同じというわけではありません。そこでこの項目では、「破天荒」の類語とその使い分け方について取り上げました。

「破天荒」と類語では何が違うのかを確認することで、適切に使い分けることができるようになることでしょう。その違いと使い分け方に注視した上で、以下をご参照ください。

「破天荒」と「革新的」の違い

「破天荒」と混同されがちな言葉として「革新的」が挙げられます。「革新的」は「制度や習慣などを改めて新しくしようとする様」という意味です。

「破天荒」と「革新的」は、これまでになかったものを取り入れるという点では共通しています。

その一方で「破天荒」は制度や習慣などに関係なく前人未到なことを成し遂げることをいうのに対し、「革新的」は制度や習慣などを改めて新しく使用とする様をいうという点が大きな違いです。

共通している面もあるからこそ、どの点が違うのかをしっかりと確認しておくことが重要だといえます。そうすることで、言葉を適切に使い分けることができるようになることでしょう。

「破天荒」と「突飛」の違い

「破天荒」の類語として、「突飛」が挙げられます。「突飛」は「とっぴ」と読み、「常識からひどく外れていて、人々があっと驚く様」という意味です。

一般的な常識から離れたことをしているという点においては、「破天荒」も「突飛」も共通しているといえます。

また「破天荒」と「突飛」の違いとしては、「破天荒」がポジティブなニュアンスがあるのに対し、「突飛」はネガティブな意味で使われることがあるという点です。

常識からひどく外れるというのは、あまり好ましいことではないことが多いといえるでしょう。したがって「突飛」はネガティブな意味として使用されることも度々あります。

このような違いがあるということを確認することで、「破天荒」と「突飛」の違いが分かりやすくなることでしょう。似たような言葉の違いを理解する上では、細かいニュアンスの違いまで確認することが肝要だといえます。