【間違い多し】「号泣する」とは?「大泣き」との違いや本来の意味、例文などを徹底解説

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この記事では「号泣する」の意味や使い方について解説いたします。

日常会話などでも盛んに使用される表現の一つですが、実はその意味を誤って覚えているという人も少なくありません。

事実、文化庁の令和四年国語に関する世論調査によると「号泣」の意味を正しく覚えていた人は3割程度でした。

そこで今回は「号泣する」の正しい意味や使い方、「大泣き」との違いや類語表現なども含めてまとめました。それでは一つずつ確認していきましょう。

「号泣する」の意味 | よくある間違いとは

冒頭でも解説した通り、「号泣する」はその意味を間違えて使ったり覚えていたりしている人が少なからず見受けられます。

というのも日本語には「泣く」表現がたくさんあるから。たとえば「嗚咽」もその一つですね。

そこでこの項目では「号泣」のよくある間違いと誤用されるようになった理由、「号泣する」の正しい意味と語源、正しい使い方と例文をピックアップしました。

号泣のよくある間違い | なぜ誤用されるように?

「号泣」のよくある間違いとして、例えば「映画館で映画を観て、感動して号泣した」のように「激しく泣くこと」という意味で覚えているというケースです。声を出さずにただ激しく泣くことを「号泣」とはいいません。

なぜこのように誤用されるようになったかは実ははっきりとした理由が分かっていません。平成22年に文化庁が実施した「国語に関する世論調査」によると、「号泣」を「激しく泣くこと」という意味だと思っている人が48.3%もいることが判明しました。

いつ、なぜ誤用されるようになったかは定かではないので、いつの間にかそのように誤用されるようになったということです。これはテレビやネット記事などで「号泣」を「激しく泣くこと」という意味で使用されているのをそのまま覚えてしまったからではないかと推測されています。

号泣するの意味と語源

「号泣する」の正しい意味は「大声を出して泣くこと」や「泣き叫ぶこと」です。「激しく泣く」という点においては誤用の意味と共通していますが、「号泣する」は「大きな声を出す」ということも含まれています。

先述した映画館の例では、映画を観て感動しても激しく泣き叫ぶという人はいないでしょう。なぜなら映画館は周囲の人への迷惑にならないよう、極力音を出さないように静かに泣く場所だからです。

したがってひっそりと静かに泣いているのに「号泣する」という表現は適していません。この際に「号泣する」の正しい意味をしっかりと覚えておきましょう。

また「号」という字には「大きな声をあげる」という意味があります。例えば「号令」は「多くの人が動くように大きな声で指示すること」という意味ですが、ここでも「号」という字がついていると考えると覚えやすいかもしれません。

そのため「泣」という字の前に「号」という字がついて上記のような意味になったというのが「号泣する」の語源です。

「号泣する」の正しい使い方・例文

「号泣する」の正しい意味を確認したところで、ここでは正しい使い方とその例文を確認していきましょう。上述のように「号泣する」は「大きな声を出した上で泣くこと」という意味があります。

その点を踏まえると例えば「あの高校は甲子園の決勝で試合に負け、部員一同が号泣していた」のように使います。あと一歩で日本一になれるという試合で負けてしまうというのは非常に悔しいものです。

その時の泣き方といったらひっそりと泣くというよりも、大きな声を出して泣いているという方がイメージしやすいでしょう。したがってこの例では部員一同が大きな声をあげて泣いているということが読み取れます。

それ以外にもいくつか例を確認した方が「号泣する」の使い方をイメージしやすいでしょう。そこで以下に「号泣する」の例文を複数ピックアップしました。

例文
  • 号泣するほどの出来事に遭遇することもなく、日々が過ぎていった。
  • 彼は非常に繊細なので、ちょっとしたことでもすぐに号泣する
  • 彼女があれほど号泣する姿を見せたのは初めてのことだった。

「号泣する」と「大泣き」の違い

「号泣する」と似た表現として「大泣き」が挙げられます。一見すると同じような意味を持つ言葉だと感じられるかもしれませんが、実はこの二つには少し異なる点があるのです。

そこでこの項目では両者の意味の比較をした上で、使い分けのポイントと例文をご紹介します。それでは早速確認していきましょう。

両者の意味の比較

これまでに度々解説した通り、「号泣する」とは「大きな声を出して泣くこと」という意味です。それに対して「大泣き」には2つの意味があります。

一つ目は「号泣する」と同様で「大きな声を出して泣くこと」という意味です。そしてもう一つは「激しく泣くこと」という意味があります。

「大泣き」が「号泣する」と似ているとされるのは、「号泣する」と同じ意味で使われることもあるからです。ここまでの内容をまとめると「号泣する」は「大きな声を出して泣くこと」に対してだけ使われるのに対し、「大泣き」はその意味に加えて「激しく泣くこと」という意味もあります。

使い分けのポイントと例文

「大泣き」は2つの意味があるため、使い分けのポイントを把握しておきましょう。「大泣き」がどちらの意味で使用されているかは、その時々の文脈から判断する必要があります。

例えば先述の「映画館の例では、映画館で大きな声を出して泣くとは考えづらいため「激しく泣くこと」という意味で用いられていると推測できるといった具合です。このようにどちらの意味がより適切かを比べてみて、適切な意味を当てはまると良いでしょう。

また「大泣き」を使った例文としては次のようなものが考えられます。合わせて一つずつ確認しておきましょう。

例文

先日スーパーに買い物にいった際、お菓子を買ってほしいと大泣きしている子供に遭遇した。

今年一番ヒットしたドラマを観て、予想以上の結末に思わず大泣きした。

辛いことがあった時には思いっきり大泣きしてすっきりするようにしている。

「号泣する」の類語表現、言い換え

「号泣する」の類語表現、言い換えは「大声で泣く」が最適かもしれません。なぜなら他にも泣くことに関連する言葉はいくつかありますが、「大声をあげて」という意味も含んでいる言葉はほとんどないからです。

「大声で泣く」を使った例文としては、下記のようなものが挙げられます。上記の意味がある言葉だということを理解した上で一つずつ確認していきましょう。

大声で泣く
  • 大声で泣くとすっきりするので、必ずしも悪いことではない。
  • これまでに大声で泣くという経験をしたことがない。
  • 彼が大声で泣く時は、失恋をしたからであることが多い。

涙を流す、泣き崩れるなどの類義語

「大声で泣く」以外の表現としては、「涙を流す」や「泣き崩れる」といったものが挙げられます。「泣き崩れる」とは「取り乱して激しく泣く」という意味があります。

またそれらを使った例文としては、下記のようなものが考えられます。

涙を流す
  • このアニメの感動的な結末に、多くの人が涙を流すことになった。
  • 涙を流す機会は、大人になっていくとどんどん減っていくものだ。
  • これまでで最も涙を流したのは、娘の結婚式の時だ。
泣き崩れる
  • 街中を歩いていると、突然泣き崩れる人に遭遇した。
  • 泣き崩れるほどの経験をすることはそれほど多くないが、自分は何度か経験したことがある。
  • 最愛の彼女から突如別れ話をされ、ショックのあまり耐えきれずその場で泣き崩れた

声を出さずに泣くこととは違う?

「号泣する」はこれまで取り上げてきたように、泣くだけではなく大声をあげているという意味も含まれています。したがって声を出さずに泣くことと「号泣する」は別物です。

大声をあげた上で泣くというのが「号泣する」を使う上でのポイントなので、しっかりと覚えておくようにしましょう。もしも声を出さずに泣くことを表現したいなら、「涙を流す」や「ひっそりと泣く」など別の言葉が適しています。