ビジネスにおける申し出の使い方と類義語 例文を交えての解説

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会社からお客様への呼びかけで「何かお気づきの点がありましたら、お申し出ください」というフレーズを聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

しかし、申すは謙譲語でお客様に使うと失礼にあたるのではないか、実際はどうやって使うのか、など不安に思う人がいるかもしれません。「申し出」、「申し出る」といった言葉について解説いたします。

「申し出る」の意味

「申し出る」は意見や希望などを自分から言って出るという意味です。

「申す」と「申し出る」は別物

「申す」は謙譲語で相手を立てるために自分がへりくだって使います。一方「申し出る」は単純に自分から言うという意味です。

・取引先に対して「部長の●●は△△と申しておりました。」

→この場合、立てるべきは取引先です。●●部長の話していたことを伝えるときは部長をへりくだって「申して」と使います。

・「このイベントに参加したい方は申し出てください。」

→この場合、謙譲語ではなく、参加したい人は単純に参加の意を示して欲しいという意味です。

「お申し出」の使い方

文部科学省の文化審議会の「敬語の指針」が平成19年度に発表されています。様々な敬語に対する疑問や質問に文部科学省が答えており、「お申し出」の使い方も解説しています。

「申す」は謙譲語Ⅱ(相手に対する敬語)にあたる敬語です。しかし、「お申し出ください」「お申し込みください」という表現の中に含まれる「申す」は謙譲語Ⅱとしての働きは持っていません。したがって、「お申し出」や「お申し込み」は相手側の行為に対して用いることができます。

×お客様が申す。→謙譲語Ⅱは相手の行動に対しては使えない。
○お客様がお申し込みする。
○お客様のお申し出により、問題が解決した。

したがって、「お申し出ください」「お客様からのお申し出」といった表現は正しく、失礼にはあたりません。

「申し出」の類似・言い換え表現

失礼ではないといっても謙譲語かそうでないか紛らわしいため、使いたくないという場合は言い換え表現をつかうとよいでしょう。

●「申し出」の類語
要望、要求、お願いごと、リクエスト、伺い、請求、お願い、催促、頼み、提案、申込み、発案、提言、オファー

●「申し出」の言い換え表現
「お客様からの申し出」を言い換える場合、以下のような表現があります。

・お客様が〜との仰せです
・お客様が〜とおっしゃっています。
・お客様より〜というご提言
・お客様からの〜というご忠告
・お客様より〜というご要望
・お客様からの〜というご依頼

単純に「申し出」を言い換える場合は以下のような表現があります。

・自分から志願する
・自分からリクエストする
・自分からお願いする
・仕事を依頼する

「申し出る」やその言い換えを使った例文集

・販売促進イベントへの参加を申し出る。
・お心当たりのある方はおっしゃってください。
・書類をお忘れの方は速やかにお申し出ください。
・何かご意見がありましたら、気軽にお申し出ください。
・退職する場合は1ヶ月前までに直属の上司に申し出ましょう。
・A氏は会社の社長の辞任を申し出たため、臨時取締役会が開かれた
・大変申し訳ございませんが、今回のお申し出を辞退させていただきます。
・仕事でミスをした場合、自分から申し出るのが筋だ。
・ボランティアを志願する。
・お手すきの方はお申し出くださいませ。
・隣人のお手伝いを申し出る。
・お気づきの点がございましたら、スタップにご意見いただけますでしょうか。

まとめ 申し出るの4大ポイント

・「申し出る」は意見や希望などを自分から言って出ること
・「申す」は謙譲語Ⅱだが、「申し出る」は謙譲語Ⅱには分類されない
・「申す」は相手の言動に使うと失礼にあたるが、「申し出る」は使っても問題ない
・気になる人は言い換え表現を使うと良い(依頼、希望、要望、リクエストなど)

「申す」と「申し出る」は別物扱いであることを頭に入れておきましょう。
「申し出る」「申し込む」は相手の言動に使っても問題ありませんが、紛らわしい場合には言い換え表現を使うと相手にもしっかりと伝わります。