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「礼節」は日本人の和の精神を象徴する理念のひとつですが、言葉としての「礼節」を使う機会はあまり多いとはいえません。
そこでこの記事では「礼節」の意味と慣用句の使い方をはじめ、「礼節のある人とは?」という日本人としてあるべき心得についても解説していきます。
「礼節」はこう使う!|「礼節」の意味と慣用句の使い方
「礼節」とは「礼儀」と「節度」を意味する言葉です。
「礼儀」は人が秩序ある生活や人間関係を維持するために守るべき行動の規範をあらわします。
「節度」は、古くは「指図(さしず)」や「法度(はっと)」といった命令や規則の意味ですが、現代では「行き過ぎない適度な程合い」という意味で用いられます。
「礼節」の意味をよくあらわすことわざに「衣食足りて礼節を知る」があります。
「人は服や食事に困らないほど生活が豊かになって、初めて礼儀作法や節度をわきまえることができる」という意味の格言です。
逆にいえば「衣食足りて礼節を知る」の意味は「生きることもままならない生活を送る人にとって礼儀や作法は二の次だ」ということでもあると解釈できます。
ここに示されるように「礼節」とは「衣食」のように生命を維持するためではなく、地域や職場などのコミュニティで秩序ある人間関係を形成するために必要な文化的作法だといえるでしょう。
礼節を使った慣用句には「礼節を重んじる」「礼節を欠く」「礼節をわきまえる」などがあります。
次項では各慣用句の具体的な使い方について解説します。
「礼節を重んじる」の具体的な使い方
「礼節を重んじる(または重んずる)」とは、「礼儀や節度を重視すること」「礼儀作法や配慮をないがしろにしないこと」などの意味をあらわす慣用句です。
日常会話ではあまり使われませんが、フォーマルなスピーチやビジネス文書ではよく使われる言葉です。
日常での使い方
- この町は外国人住民ばかりですから、日本人の礼節を重んじろなんていえるわけがありませんよ。
ビジネスメールや文書での使い方
- オープニングスタッフの接客研修では、チームワークと礼節を重んじた実践的な接客マナーを基礎から指導いたします。
- 弊社では社内コンプライアンスを遵守する立場から、社長をはじめ役員、社員ともども礼節を重んじて日々の職務に従事するとともに、職場環境の一層の改善に取り組んでおります。
対面での会議や商談での使い方
- 社員一人一人が礼節を重んじる姿勢を身につけることでハラスメントを防止できるのではないかと考えます。
- お客様に対しましては常に礼節を重んじたサービスを提供させていただくように心掛けております。
「礼節を欠く」行為の具体的な例
「礼節を欠く」とは「礼儀や節度がないこと」を意味する言葉です。
ビジネスシーンでは社会生活に必要なルールやマナーをわきまえない行為が「礼節を欠く」とみなされます。
この項では例文ではなく、礼節を欠く行為の具体例をシーン別に紹介いたします。
メールや書類での不適切な表現
ビジネスでやりとりする書類やメールにはさまざまなルールやマナーがあります。
相手の名前や肩書きを間違えるのは論外ですが、初めてメールする相手に「お世話になっております」と書いたり、外部宛のメールや文書の中で自社の社員や役員に敬語を使ったりすることも礼節を欠いた行為となります。
またSNSの感覚でビジネスメールに顔文字や絵文字を入れたり、「エモい」「バズる」といったカジュアルな流行語を使うこともNGです。
職場での公私混同も礼節を欠いた行為とみなされます。
例えば取引先の担当者が友人で、飲み会の翌朝に「昨夜は飲み会サンキューでした」とフランクなメールを送ってきたとしても、同じノリでの返答は控えて、「昨夜は遅くまでお付き合いいただきありがとうございました」と礼儀正しく対応するのがよいでしょう。
会議や商談でのマナー違反
会議の席では互いの意見を尊重することが重要です。
相手の話をさえぎって発言したり、議長の指示を無視したり、自説を一方的に展開したりすることは著しく礼節を欠いた行為とみなされます。
商談の席では身だしなみに気を配り、相手に好印象を与えるようにふるまうことが大切です。
取引先やお客様を訪問する際は必ずアポを取りましょう。遅刻は絶対にしてはいけません。
逆にマナーを意識しすぎて不必要にへりくだったり、慣れない敬語に言葉を詰まらせたりするとかえって相手に不快感を与えてしまいます。
「礼節を欠く」とは節度を欠くことも意味します。
「礼節」とは「礼儀」をわきまえるだけでなく「節度ある行動」を意味することを忘れないでください。
会議や商談の席においてもマナーは重要ですが、あまりに丁寧すぎると「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」となり、かえって尊大な印象を与える結果になってしまいます。
ビジネスシーンではルールやマナーを守りつつ、親しみある言動も織り交ぜて相手に好印象を与えるように心がけましょう。
職場での人間関係と礼節
職場で守るべき礼節としては、社会人としての立場をわきまえること、同期や部下に対して公平平等に接すること、異性とは適切な距離感を保つこと、相手が格下でも見下した態度はとらないことなどがあげられます。
上司や部下、先輩や後輩、異性と同性といった立場の違いをわきまえず、無神経で身勝手な言動によって周囲の人々にストレスを与えるような行為は礼節を欠くとみなされます。
「礼節をわきまえる」の具体的な使い方
「礼節をわきまえる」とは「社会生活や人間関係の秩序を維持するために不可欠な礼儀や節度をよく心得ていること」を意味する慣用句です。
ここではシーン別に具体的な例文を紹介します。
日常生活での使い方
- 礼節をわきまえない人はゴミ出しのルールすら守らないから困る。
- 日頃のあいさつひとつをとっても、礼節をわきまえることがいかにむずかしいかを思い知らされる。
ビジネスメールや文書での使い方
- お客様に対しては、たとえ形式的なメールであっても、礼節をわきまえて感謝の気持ちをお伝えすることが大切です。
- 取引先が我が社の子会社であっても礼節をわきまえて対等かつ良好な関係の構築を心がけたい。
対面での会議や商談での使い方
- 先程どなたかが「勝手な発言は慎め」と私におっしゃいましたけれども、私としては礼節をわきまえた順当な発言であったと自認しております。
- あなたはお若いのに名刺交換ひとつされるのにも、きちんと礼節をわきまえておられる。Z世代もまんざら捨てたものではありませんね。
「礼節」の類語や言い換え表現
「礼節」の類語や言い換え表現としては外来語の「エチケット」「マナー」「ルール」、日本語では「礼儀作法」があげられます。
古い言葉では、「折り屈み(おりかがみ) 」があげられます。これは「腰やひざを折ってかがむ」という意味から「立ち居振る舞い」や「行儀作法」をあらわす言葉です。
近年では、コンピュータでデータをやりとりする手順や規則を意味するIT用語の「プロトコル」も礼儀や社会的規範の意味で用いられるようになっています。
「礼節」のある人とは?
ここまで熟語の「礼節」について解説してきましたが、具体的に「礼節」のある人とは、どのような人をいうのでしょうか。
一言でいえば相手を不快にさせない人です。
公私を問わずマナーやエチケット、ルールを守り、周囲の人々に対していつも礼儀正しく慎みの気持ちをもって対応できること、行き届いた気配りができる一方で、マナーの形にとらわれずシーンに応じて柔軟に対処できることが礼節のある人の特徴です。