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ここでは副詞の「こぢんまり」という言葉について解説いたします。「こぢんまり」は「こじんまり」とも書きます。どちらの表記が正しいのでしょうか。また「こぢんまり」と「小さい」とで意味のちがいはあるのでしょうか。
「こぢんまり」はよく使われる言葉にもかかわらず意味や表記があいまいです。そこでこの記事では「こぢんまり」と「こじんまり」のどちらが正しいか、その意味や使い方、類義語と対義語、英語表現などについて詳しく解説いたします。
「こぢんまり」はビジネスシーンや日常生活を問わず使用頻度が高いので、正しい知識を習得すればさまざまな場面で役立ちます。ぜひ最後までお読みください。
「こぢんまり」と「こじんまり」正しいのはどっち?
結論から先にいうと「こじんまり」は誤り。「こぢんまり」が正解です。「こぢんまり」の「ぢ」の古い発音は「でぃ(di)」でしたが、現代では「じ」と同じ発音のため「こぢんまり」と「こじんまり」が混同されるようになりました。
ただし「こぢんまり」を正解とする説には異論もあります。たとえば「こぢんまり」の語源は「小締まり(こしまり)」とする説。その音が変化して「こじんまり」となり、最終的に「こぢんまり」になったといわれます。
この場合、正しい表記は「こじんまり」になりますが、1986年に内閣が告示した「現代仮名遣い」では「こぢんまり」が正しいと認定しているため、マスコミなどの表記もすべて「こぢんまり」に統一されています。
「こぢんまり」の意味と使い方
「こぢんまり」という言葉は「小さいながらも、ほどよくまとまり、落ち着きがある様子」をあらわします。単に小さいだけでなく、外観や機能が整っていて不満や不足がないことをあらわす言葉です。
「良いか悪いか」でいえば、「小さいといえば小さいが悪くはない」という、あいまいなニュアンスを含みます。これは小さいものを好む日本人の感覚にマッチする一方、「欲を言えば大きい方が良いのだが」という本音も含んだニュアンスです。
そのため使い方によって否定的な意味になる場合もありますが、基本的には「庶民的で親しみやすい」という意味で用いられます。たとえば「こぢんまりした家」は単に「小さい」とか「貧相な」というより「かわしらしい」に近いニュアンスです。
また「こぢんまりと座る」は肩身がせまそうに居住まいを正した様子をあらわします。否定的な用法の場合でも「あの居酒屋はこぢんまりとしているが雰囲気はいい」などと逆説的に褒めることも多く、「こぢんまり」自体にネガティブな意味はありません。
「こぢんまり」は副詞ですので、名詞のように単独で用いることはありません。また動詞や形容詞のような活用形もなありません。使うときは「こぢんまりとした(庭)」「こぢんまりした(家)」というように用いるのが一般的です。
「こぢんまり」の語源
「こぢんまり」の語源には諸説あります。最も有力な説は、京言葉の「ちんまり」に接頭辞の「小(こ)」がむすびついたもの。「ちんまり」は「小さくまとまっていること」をあらわす言葉で、「こぢんまり」と同じ意味を持ちます。
一方、「小(こ)」は単に小さい意味ではなく「小汚い」「子ざっぱりした」「小賢しい(こざかしい)」などのように 動詞や形容動詞などにつく接頭辞で、「少し」「なんとなく」という意味をあらわす用法です。
「こじんまり」という表記が誤りとされる根拠も「ちんまり」が語源だと認定しているからです。
ほかにも前述した「小締まり(こしまり)」の音が変化して「小〆(こじんまり)」「こぢんまり」になったとする説があります。
漢字表記は「小ぢんまり」
前述したように「こぢんまり」の語源は京言葉の「ちんまり」に接頭辞の「小(こ)」がむすびついたもの、とする説が有力です。それとは別に「小締まり(こしまり)」が語源とする説もありますが、いずれも「こ」は接頭辞の「小」が語源です。
したがって「こぢんまり」の漢字表記は「小ぢんまり」になります。ただし現代では「小ぢんまり」という漢字交じりの表記は使わず「こぢんまり」とひらがなにするのが一般的です。
「こぢんまり」の類義語と例文
「こぢんまり」と同じ意味の類義語としては、語源となった「ちんまり」をはじめ「小体(こてい)」「小ぶり」「コンパクト」などをあげることができます。
「ちんまり」は「小さな」「こぢんまりした」という意味をあらわす京言葉です。「こぢんまり」の語源といわれ、意味もほぼ同じです。
「小体」は「こぢんまりとしていること」「つつましいこと」「質素なこと」などをあらわします。「こぢんまり」よりも質素なニュアンスがある言葉です。
「小ぶり」の漢字は「小振り」です。文字通り「野球のバットなどを小さく振る」という意味のほかに「他の同種のものに比べてやや小さめのもの」という意味があります。
「コンパクト」は「小さくまとまっているもの」という意味の英語です。日本語では小さな鏡がついたファンデーション用のケースを意味する名詞にもなっています。
「小体」を使った例文
「こぢんまり」の対義語と例文
「こぢんまり」と逆の意味を持つ対義語としては、「盛大」「壮大」「大々的」などをあげることができます。
「盛大」は事業やイベントが大きな規模で開催され、非常ににぎわっていること。また、その様子をあらわす言葉です。
「壮大」は、構想や計画のスケールが大きく立派なこと、ものごとの規模が圧倒されるほど大きいことを意味します。
「大々的」は、ものごとを大がかりに行うこと。「大々(または大大)」は「大きい感じを与えること」「太っていること」「場所を広くとっていること」などを意味する言葉です。
「大々的」を使った例文
「こぢんまり」の英語表現
「こぢんまり」を英語で表現する場合には、「cozy」「modest」「homey」「small」などを使うことができます。
「cozy」は「部屋や環境などが適して居心地がよい」「こぢんまりした」「気楽でくつろげる」「親しみやすい」などの意味があります。「こぢんまり」の訳語として最もマッチする言葉です。
「modest」は「控えめで慎み深い」「内気で恥ずかしがり屋」「しとやかで上品な」など謙虚な人の性質をあらわす意味でよく使われる言葉です。ほかにも「規模がそれほど大きくない」「数量が並みで多すぎない」「地味で質素な」といった意味もあります。
「homey」は「わが家のような」「自宅のように居心地が良い」「気楽な」という意味の単語です。ただし「小さい」というニュアンスは強くありません。またスラングでは「マブダチ」「悪仲間」という意味もあります。
最後の「small」はご存じのように「小さい」「せまい」「少ない」という意味の言葉です。「こぢんまり」の「小さい」という意味を伝えたい場合は最適ですが、「small」には「つまらない」「了見がせまい」という否定的な意味もあるので注意が必要です。