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この記事では「社会福祉主事」について解説します。福祉に関する資格はいくつかありますが、社会福祉主事は公的な機関に任用される役割です。仕事内容や資格取得の方法、社会福祉士との違い、気になる年収や活躍の場などを説明していきます。
社会福祉主事とは
社会福祉主事は1950年(昭和25年)に制定されており、社会福祉の資格の中で最も古いものとされています。
社会福祉主事の仕事内容
社会福祉主事とは、都道府県や市区町村の福祉事務所など公的な福祉施設で、生活に困っている人、障害を持った人、高齢者など、何らかの理由で社会生活を送ることが困難な人のサポートをする仕事です。
福祉事務所には、社会福祉主事を必ず配置する義務があります(福祉事務所のない町村には任意設置です)。
福祉事務所で社会福祉主事は、現業員(ケースワーカー)、査察指導員(スーパーバイザー)という立場で仕事をします。それぞれの役割を簡単に説明します。
<現業員(ケースワーカー)>
現業員の主な仕事は、福祉事務所を訪れた人の相談に乗ることです。生活保護申請書の受付を行ったり受給者や受給希望者の家庭や入院先などを訪問して、生活状況を調査する仕事もあります。受給者や希望者に仕事を探すように指導したり、生活の問題を解決できるような情報提供を行ったりする役割もあります。
<査察指導員(スーパーバイザー)>
生活保護の受給申請者に対して、受給資格の有無を調査する仕事です。福祉事業法では、7名の現業員につき1名の査察指導員の配置が義務づけられています。
生活保護の申請は現状員が受け付けた後、査察指導員は、財産や収入、家族構成などを調査します。また、受給希望者と面接を行い、制度の説明、受給意思の確認をします。
「社会福祉主事」と「社会福祉士」の違い
「社会福祉主事」と似た名前の資格に「社会福祉士」があります。この2つについて、仕事内容と資格取得方法を比較してみます。
まず仕事内容ですが、社会福祉主事も社会福祉士も福祉施設で困っている人の相談にのるという大きな仕事内容は変わりありません。
違うのは立場で、社会福祉主事は公的な福祉事務所で働く公務員です。社会福祉士は民間の福祉施設や介護施設などに勤務します。
資格の面で見ると、社会福祉主事は資格取得のための試験がありません。大学等で必要科目を履修する、養成機関を修了するなどの条件を満たせば社会福祉主事任用の資格を得ることができます。
いっぽう、社会福祉士は国家資格です。社会福祉士国家試験に合格しなければ、社会福祉士を名乗ることはできません。受験資格を得るには福祉系の大学を卒業する、一般大学を卒業したうえで養成施設に1年以上通うなどが必要です。
まとめると、社会福祉主事になるには大学での科目履修などの要件を満たしたうえで地方公務員試験に合格する必要があり、社会福祉士になるには福祉系の大学を卒業するなどの受験資格を満たしたうえで社会福祉士国家試験に合格する必要がある、ということです。
どちらの資格を取得するかは個人の希望や状況と照らし合わせて選択する形になりますが、社会福祉士の資格を持っている人は社会福祉主事任用資格もあわせて持つことができます。社会福祉士の資格を取得しておけば、どちらの職に就くことも可能ということになります。
社会福祉主事になるには
「社会福祉主事任用資格」を取得したうえで公務員試験に合格する
社会福祉法第十九条には、社会福祉主事の任用について次のようにうたわれています。
※「次の各号」というのは一般に社会福祉主事任用資格といわれるもので、詳細は次の章で説明します。
社会福祉主事は地方公務員が就く仕事のひとつです。従って、社会福祉主事になるには各都道府県の公務員試験に合格して採用され、社会福祉関連の部署に配属されなければなりません。その中から、社会福祉主事任用資格のある人が社会福祉主事としての仕事に就くことになります。
社会福祉主事任用資格を取得する方法
社会福祉主事任用資格を取得するには、5つの方法があります。
1.大学などで指定科目を履修する
大学や短期大学において、厚生労働大臣が指定する社会福祉に関する科目を3つ以上履修して卒業する。
社会福祉概論、社会保障論、社会福祉行政論、公的扶助論、身体障害者福祉論、老人福祉論、児童福祉論、家庭福祉論、知的障害者福祉論、精神障害者保健福祉論、社会学、心理学、社会福祉施設経営論、社会福祉援助技術論、社会福祉事業史、地域福祉論、保育理論、社会福祉調査論、医学一般、看護学、公衆衛生学、栄養学、家政学、倫理学、教育学、経済学、経済政策、社会政策、法学、民法、行政法、医療社会事業論、リハビリテーション論、介護概論
原則としては大学などで履修した科目の名称と指定科目名が一言一句同じでなければなりませんが、末尾に「論」「学」などがつく場合や、1.2などが加わって複数の科目に区分される場合、指定科目の読替えにあげられている科目の場合は、指定科目を履修したことと認められます。
詳しくは厚生労働省のサイトに記載があります。
社会福祉主事任用資格の取得方法
2.通信教育を修了する
全国社会福祉協議会が経営する中央福祉学院の社会福祉主事資格認定通信課程または日本社会事業大学の通信教育過程を修了する。
3.指定養成機関を修了する
社会福祉主事養成機関で指定の科(22科目・1,500時間)を修めて卒業する。指定養成機関の多くは2年制または3年制の専門学校です。
4.講習会を受講する
都道府県等がおこなう講習会で指定の科目(19科目・279時間)を修了する。
5.社会福祉士、精神保健福祉士等の資格を取得する
社会福祉士、精神保健福祉士等の資格を取得している人は、ほかに講習等を受ける必要はありません。
社会福祉主事任用資格には、資格証明証や登録証はありません。履修済みの科目が記載された大学の成績証明証などを提出することにより、任用資格を証明することになります。
社会福祉主事の年収
社会福祉主事は、地方自治体の一般職または行政職として採用され、給料は公務員給与規定に準じます。総務省発表の「平成30年地方公務員給与実態調査結果の状況」によると、一般行政職の平均月給は367,741円、福祉職は370,914円となっています。年収はこれにボーナス(期末手当・勤勉手当と呼びます)を加えた額になるでしょう。
社会福祉主事の勤務体系と休日
福祉事務所で働く社会福祉主事の勤務時間は、基本的に午前8時30分から午後5時15分です。家庭訪問なども基本的にこの時間内に行います。休日は土日祝で、年末年始も休みになります。
夜勤や休日出勤など時間が不規則になることは考えにくい職業ですので、体力的な負担は少ないといえるでしょう。
社会福祉主事の将来性
生活保護の受給世帯は年々増加し、社会福祉の充実はどの自治体でも重要課題となっています。このことから考えると、サポートを行う社会福祉主事のニーズはますます高まることが予想されます。
福祉に携わる専門職スタッフが必要とされているのは公的機関だけではありません。社会福祉主事任用資格を持っていることで、民間の福祉施設や介護施設の就職に有利なことも考えられ、資格を持った人の活躍の場は広がっていくことでしょう。
社会福祉主事がおもに勤める場所
社会福祉主事の勤務先で最もスタンダードなのは都道府県などの福祉事務所に任用されて働くことです。福祉事務所には、社会福祉主事を必ず配置する義務があります。福祉事務所以外では、公的な社会福祉施設で相談員や指導員として働くこともできます。
公的な施設以外で働く場合、社会福祉主事任用資格を有していても「社会福祉主事」という職ではなくなります。しかし、社会福祉主事任用資格が活かせるのは公務員の職だけではありません。知識を活かしてケアハウス、デイサービスなどの老人介護福祉施設、障害者福祉施設、一般病院などで福祉に関わる仕事に就く人もいます。
社会福祉主事についてのまとめ
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