「cf.」という表記を、書籍・論文・レポート・ウェブサイトなどで目にしたことはありませんか? 英字2文字とピリオドだけのシンプルな表記ですが、その意味や正しい使い方を正確に理解している人は意外と少ないかもしれません。
「cf.」は学術論文やビジネスレポートで特によく用いられる略語であり、意味を把握しておくことで文章の読解力が大きく向上します。また自分が論文やレポートを書く際にも、適切に使いこなすことで文章をすっきりと簡潔にまとめることができます。
本記事では「cf.」の読み方・意味・語源・使い方を丁寧に解説するとともに、同様に論文やレポートでよく使われるラテン語由来の略語「e.g.」「i.e.」についてもあわせて取り上げます。英語や文書作成に日常的に触れる方はぜひ参考にしてください。
「cf.」の読み方・意味・使い方
「cf.」は「シーエフ」と読み、「〜を参照せよ」あるいは「〜と比較せよ」という意味を持つ略語です。
研究論文・学術書・ビジネスレポートなどで、特定のページ・データ・文献を読者に案内したいときに使われます。例えば「第5章を参照してほしい」という内容を表現したい場合、「cf. chapter 5」と記述するだけで伝えることができます。
また「cf. 2010年度各都道府県における合計特殊出生率」という記述であれば、「2010年度の各都道府県における合計特殊出生率のデータを参照せよ」という意味になります。ウェブページでこのような表記に出会った場合、その文字列がリンクになっており、クリックすると参照先に直接移動できる形式になっているケースも少なくありません。
研究論文やレポートでは、他の書籍や論文からデータ・知見を引用することが日常的です。そのたびに「〜をご参照ください」「〜と比較してください」などと丁寧な文章で毎回記述していると、文章全体が煩雑になり読みにくくなってしまいます。「cf.」を使うことで、こうした問題を解決しながら文章をコンパクトかつ明快に保つことができます。
なお、「cf.」には「参照せよ」と「比較せよ」の2つの意味があります。文脈によって使い分けられますが、日本語圏の論文・レポートでは主に「参照せよ」の意味で使われることが多い点も覚えておきましょう。
「cf.」の語源はラテン語「confer」
「cf.」はラテン語「confer」を略したものです。英単語のような見た目から英語の略語だと思われがちですが、実際にはラテン語に由来しています。
ラテン語「confer」は「比べよ・照合せよ」を意味する命令形であり、英語の「compare(比較する)」に近い意味を持っています。また、「v.」や「vid.」という略語も同様に「参照」を意味する言葉として使われており、これらはラテン語「vide(見よ)」に由来します。つまり「cf.」「v.」「vid.」はいずれも同じような意味で用いることが可能です。
ラテン語由来の略語が現代の英文や日本語の学術論文でも使われ続けているのは、学術・法律・医学などの分野でラテン語の慣習が長く受け継がれてきたためです。
もし略語を使わずに「参照」を英語で表現したい場合には、「refer to〜」や「reference」といった表現が使えます。
・I will refer to the instruction.
(私はその説明書を参照します。)
例えば新しい家電製品やソフトウェアを購入した際、付属の説明書を確認しながら操作するという場面はよくあります。そのような「何かを参照・参考にする」という行為を英語で表現するときに「refer to〜」が使われます。
・There are so many reference books in this library.
(この図書館にはとても沢山の参考図書があります。)
「reference book」は「参考図書・参考書」を意味します。この例では「so many(とても沢山の)」が付いているため、「books」と複数形になっています。「reference」は名詞として「参照・参考・文献」という幅広い意味で使われる便利な単語です。
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「cf.」の具体的な使用例
「cf.」が実際にどのような場面でどのように使われるのか、具体的な例を挙げて解説します。
ページ参照の例
・「cf. P10」
(10ページを参照せよ)
研究論文やレポートの中で特定のページを参照させたいときに用いる、最も基本的な使い方です。例えば、現在のページで述べている内容を補足するデータが別のページに記載されている場合や、前のページですでに説明済みの内容のため繰り返しを省略したい場合に使われます。
「cf. P10」とだけ記されている場合は、その文書・論文内の10ページを参照することを意味します。もし参照先が別の書籍や論文である場合は、著者名・タイトル・発行年・ページ番号など、読者が参照先を特定できるだけの情報を明記することが重要です。
例えば「cf. 英語辞書のcompare」のように曖昧な書き方をしてしまうと、どの辞書を参照すればよいのかが特定できず、論文・レポートとしての信頼性が損なわれてしまいます。参照先は誰が読んでも一意に特定できる形式で記載するよう心がけましょう。
URLやPDFを参照する例
・「cf. https://abcde/fghigk/pdf」
(「https://abcde/fghigk/pdf」のPDFファイルを参照せよ)
インターネット上のウェブページや資料を閲覧していると、上記のような形でURLとともに「cf.」が記載されているケースがあります。これは、現在のページの内容を補完する情報やデータが当該URLに掲載されているため、そちらも合わせて参照するよう読者に示しているものです。
ウェブページ上では、URLの文字列やそれに続くテキストがリンクになっており、クリックするだけで参照先に直接移動できる形式になっていることが多くなっています。PDFを参照させる場合も同様で、クリック一つで対象のファイルを開くことができます。このように「cf.」はデジタルの文書環境でも非常に利便性の高い略語です。
「cf.」以外によく使われるラテン語由来の略語
「cf.」と同様に、論文・レポート・学術文書でよく使われるラテン語由来の略語がほかにもあります。代表的なものとして「e.g.」と「i.e.」を取り上げます。これらを正しく使い分けることで、文章の表現力がさらに高まります。
| 略語 | 読み方 | 意味 | ラテン語の語源 | 英語の相当表現 |
|---|---|---|---|---|
| cf. | シーエフ | 〜を参照せよ・比較せよ | confer | refer to / compare |
| e.g. | イー・ジー | 例えば | exempli gratia | for example |
| i.e. | アイ・イー | 言い換えると・つまり | id est | that is |
「e.g.」の意味と使用例
「e.g.」は「イー・ジー」と読み、「例えば」という意味の略語です。英語の「for example」に相当し、「cf.」と同様にラテン語に由来しています。元々はラテン語で「例えば」を意味する「exempli gratia(エクセンプリー・グラーティア)」を縮めたものです。ラテン語がほとんど日常的に使われなくなった現代では、この略語の読み方について定まった発音があるわけではなく、「イー・ジー」という読み方が一般的に用いられています。
「e.g.」の使い方としては、具体的な例を挙げる際に使います。以下の例を見てみましょう。
・2015年の国勢調査によると、人口100万人以上の都道府県は30以上存在する。
e.g. 東京都/神奈川県/大阪府/愛知県/埼玉県/千葉県/兵庫県/北海道/福岡県 他
この例では、人口100万人以上の都道府県の一例として代表的な都道府県を列挙しています。「e.g.」の後に続くリストはあくまでも例示であり、それ以外にも該当するものが存在することを暗示しています。この点が後述の「i.e.」との大きな違いです。
なお、日本では「example」を略した「ex」も「例えば」の意味でよく使われますが、日本国外ではほとんど通用しません。国際的な論文や英語の文書では「e.g.」を使うのが標準的です。
「i.e.」の意味と使用例
「i.e.」は「アイ・イー」と読み、「言い換えると」「つまり」という意味の略語です。これはラテン語「id est(イド・エスト)」の略語であり、英語では「that is」に相当します。
「e.g.」が例を挙げるために使われるのに対し、「i.e.」は前に述べた内容を別の言葉で言い換えたり、より具体的・明確な表現に置き換えたりする際に使われます。前後の内容が完全にイコールの関係になる点が特徴です。
・日本の首都(i.e. 東京都)は世界有数の鉄道都市だと言われている。
この例では、「日本の首都」と「東京都」が完全にイコールの関係にあることを「i.e.」が示しています。「e.g.」の場合は例示の一つに過ぎませんが、「i.e.」の場合は前の言葉と後の言葉が同一の内容を指していることを意味します。
論文やレポートで「i.e.」を使う際は、この「言い換え」の意味をしっかり意識して、前後の内容が本当にイコールになっているかを確認することが大切です。
「cf.」「e.g.」「i.e.」の使い分けポイント
3つの略語はいずれもラテン語由来で論文・レポートで頻繁に使われますが、意味と用途が異なります。混同しないよう、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 「cf.」:読者に別のページ・文献・データを参照・比較させたいときに使う。
- 「e.g.」:具体的な例を複数挙げるときに使う。例はあくまで一部であり、他にも該当するものが存在することを示す。
- 「i.e.」:前の言葉・概念を別の表現で言い換えたり、内容を限定・明確化するときに使う。前後の内容は完全に同じものを指す。
例えば「人気のスポーツ(e.g. サッカー、野球、バスケットボール)」という文は「人気のスポーツの例として、サッカーや野球などがある」という意味になります。一方「日本最大の都市(i.e. 東京)」であれば「日本最大の都市、すなわち東京」という意味で、東京以外には該当しないことを示します。このように文脈と意図によって使い分けることが正確な文章表現につながります。
まとめ
- 「cf.」は「シーエフ」と読み、「〜を参照せよ」「〜と比較せよ」という意味を持つ。論文・レポート・学術文書で広く用いられる。
- 「cf.」はラテン語「confer」に由来しており、英語の「refer to〜」や「reference」に相当する表現である。同様の意味を持つ略語として「v.」「vid.」(ラテン語「vide」の略)もある。
- 「cf.」を使う際は、参照先が誰でも一意に特定できる情報(ページ番号・著者・タイトル・URLなど)を明記することが重要である。
- 「e.g.」は「イー・ジー」と読み、「例えば」という意味。ラテン語「exempli gratia」の略で、英語の「for example」に相当する。具体的な例を複数示す際に使う。
- 「i.e.」は「アイ・イー」と読み、「言い換えると・つまり」という意味。ラテン語「id est」の略で、英語の「that is」に相当する。前の内容を別の言葉で言い換えるときに使う。
- 3つの略語はいずれもラテン語由来だが、用途が異なるため正確に使い分けることが、質の高い文書作成につながる。

