これもひとえにってどのような場面で使う言葉?類義語と例文

ビジネスシーンで頻繁に耳にする「これもひとえに」という表現。スピーチや挨拶文、お礼状など、フォーマルな場面で使われることが多い言葉ですが、その正確な意味や使い方、漢字表記まで把握している方は意外と少ないかもしれません。

なんとなく雰囲気で使ってしまうと、誤用につながるリスクもあります。本記事では、「これもひとえに」について以下の点を丁寧に解説します。

・「これもひとえに」の意味と語源
・正しい使い方と注意点
・ビジネスシーンで使える例文
・類義語と言い換え表現
・英語での表現方法

また、関連する言葉について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

目次

「これもひとえに」の意味と語源

「これもひとえに」という表現を正確に理解するために、まず「これも」と「ひとえに」の2つのパーツに分けて意味を確認しましょう。

前半の「これも」は、直前で述べた事柄を指し示す指示語「これ」に助詞「も」が付いた形です。「この結果も」「この出来事も」というニュアンスで、直前に述べた内容を受けて話を展開する役割を担います。

後半の「ひとえに」は副詞で、「そのものだけで重ならないこと」を意味する「一重(ひとえ)」に由来します。現代語では「偏に」と漢字表記しますが、「偏」は常用漢字外であるため、実際の文章ではひらがなで「ひとえに」と書かれるケースがほとんどです。由来の「一重」とは漢字が異なる点に注意が必要です。

「ひとえに」には、現代語において主に以下の2つの意味があります。

・ただひたすら、そのことだけを行う様子
・理由や原因がただそれだけであることを強調する気持ち

これらを踏まえると、「これもひとえに」とは、ある結果が生まれた理由や原因がただ一つであることを明確に示し、それに対して感謝や謝罪の気持ちを強く表す表現といえます。単に「おかげです」と言うよりも、その理由が唯一無二であると強調できるため、フォーマルな場で重みのある言葉として機能します。

「これもひとえに」の使い方と注意点

「ひとえに」は副詞であるため、「これもひとえに」は単独で文を完結させることができず、必ず後に来る動詞や文節を修飾する形で使います。

たとえば「これもひとえに、皆様のご支援のおかげです」のように、「何のおかげなのか」「何が理由なのか」を後に続けて初めて意味が成立します。「これもひとえに。」と句点で止めてしまうと、文法的にも意味的にも不完全な表現になってしまうため注意が必要です。

また、「これも」は指示語を含む表現です。そのため、「これもひとえに」の前には必ず「これ」が指し示す具体的な内容が述べられている必要があります。前の文脈なしに突然「これもひとえに」と言っても、聞き手には何のことか伝わりません。

使い方の基本的な流れは以下のとおりです。

  1. まず「何が起きたか(結果・出来事)」を述べる
  2. 次に「これもひとえに」で理由・原因を一つに絞って示す
  3. 最後に感謝・謝罪などの気持ちを表す言葉で締める

この構成を守ることで、「これもひとえに」本来の強調効果が最大限に発揮されます。

「これもひとえに」の例文

実際のビジネスシーンや挨拶の場でどのように使われるのか、感謝と謝罪それぞれのシチュエーションで例文を紹介します。

感謝を伝える場面での例文

  • 新しくお店をオープンすることができました。これもひとえに、皆様のご援助によるもので、大変ありがたく存じます。
  • 今回、この大会で優勝できました。これもひとえに、〇〇様のご指導の賜物と心から感謝申し上げます。
  • こうしてお店が10年以上続けられたのも、これもひとえに皆様のご愛顧とご支援によるものと深く感謝しております。
  • この度、本プロジェクトを無事に成功させることができました。これもひとえに皆様の並々ならぬ努力とお力添えがあったからこそです。誠にありがとうございました。
  • 我が社もここまで大きくなり、大変嬉しく思っております。これもひとえに、皆様の温かいご支援のおかげと心より感謝しております。
  • この度、我が社の書籍を出版できました。これもひとえに、〇〇出版株式会社の▲様のお人柄のおかげと深く感謝いたします。

謝罪の場面での例文

  • この度の失態、誠に申し訳ありませんでした。これもひとえに私の不徳の致すところであり、深くお詫び申し上げます。

感謝の場面だけでなく、謝罪の場面でも使えるのが「これもひとえに」の特徴です。「不徳の致すところ」などの表現と組み合わせることで、深い反省と誠意を伝える格調ある謝罪文になります。

「これもひとえに」の類義語・言い換え表現

「これも」は指示語を含む表現のため、類義語は「ひとえに(偏に)」を中心に整理します。意味合いによって以下の3グループに分類できます。

人の働きや恩恵に感謝の意を示す表現
おかげさまで、皆さんのおかげで、皆様のおかげで、どれもこれも
ただそれだけが理由であることを示す表現
主に、主として、ひとつには
ただそれのみである様子を示す表現
ただただ、どこまでも、他でもなく、全くもって

類義語を使った言い換え例文

先ほどの例文を類義語で言い換えると、どのような表現になるでしょうか。それぞれ見てみましょう。

おかげさまで、新しくお店をオープンすることができました。これらは他でもなく、皆様のご援助によるもので、大変ありがたく思っております。
今回、この大会で優勝できました。ただただ、〇〇様のご指導の賜物と心から感謝申し上げます。
こうしてお店が10年以上続けられたのも、他でもなく、皆さんのご支援によるものと深く感謝しております。
この度の失態、誠に申し訳ありませんでした。どれもこれも、私の不徳の致すところであり、深くお詫び申し上げます。

感謝の場面でも謝罪の場面でも、類義語による言い換えは可能です。ただし、「ただただ」「おかげさまで」「他でもなく」などは、「これもひとえに」と比べるとやや口語的・カジュアルな印象を与えます。

以下の表で、フォーマル度の違いを整理しておきましょう。

表現 フォーマル度 主な用途
これもひとえに 高い スピーチ・挨拶状・改まった場面全般
他でもなく やや高い 文章・ビジネスメール
ただただ 中程度 口頭・やや改まった会話
おかげさまで 中程度 日常的なお礼・会話
皆さんのおかげで 低め カジュアルな会話・メール

大勢の前でのスピーチや公式な挨拶文、ビジネスレターなど、フォーマルな場面では「これもひとえに」を選ぶのが無難です。日常会話やカジュアルな社内コミュニケーションでは、「おかげさまで」や「皆様のおかげで」のほうが自然に響くこともあります。場面に応じて使い分けることが大切です。

「これもひとえに」の英語表現

「これもひとえに」を英語で表現する場合、日本語の直訳は難しいですが、「〜なしにはできなかった」という意味を持つ without を使った構文が最もよく使われます。

This would not have been possible without everybody’s contribution.
(日本語訳)これもひとえに皆様のおかげです。
(直訳)皆様のお力添えがなければ、これを成し遂げることはできなかったでしょう。
※「would not have been possible without ~」で「〜なしには不可能だった」という意味の仮定法過去完了を使った丁寧な表現です。
I could not have managed to do it without the guidance from the seniors.
(日本語訳)これもひとえに先輩方のご指導のおかげです。
(直訳)先輩方からのご指導がなければ、やり遂げることはできなかったでしょう。
※「could not have managed to ~」は「〜できなかったに違いない」という仮定法の表現で、感謝の気持ちを強調する際に適しています。
I couldn’t have done that without your cooperation.
(日本語訳)これもひとえに、あなたのご協力があったからこそです。
(直訳)あなたの協力なしに、それを成し遂げることはできなかったでしょう。
※比較的シンプルな構造で、スピーチや感謝の手紙にも使いやすい表現です。
All the failure is caused by my carelessness.
(日本語訳)今回の失敗は、ひとえに私の不注意が原因です。
(直訳)すべての失敗は、私の不注意に起因しています。
※謝罪・反省の場面では、原因を明示する「be caused by ~(〜が原因である)」という表現が対応します。

英語では、感謝の場面では without ~(〜なしには)、謝罪・反省の場面では be caused by ~(〜が原因である)という構文がそれぞれ「ひとえに」のニュアンスを表現するのに適しています。

「これもひとえに」まとめ

「これもひとえに」は、ビジネスや公式な場で欠かせない表現の一つです。本記事の内容を以下にまとめます。

  • 「これもひとえに」は、ある事柄が起きた理由や原因が一つであることを明確に示す表現。
  • 「ひとえに(偏に)」は副詞であり、「これもひとえに」は単独では使えず、後に続く動詞や文節を修飾する形で使う。
  • 「これも」は指示語のため、前の文脈で「これ」が指す内容を必ず述べてから使う。
  • 感謝のスピーチや挨拶状だけでなく、謝罪の場面でも使用できる。
  • 漢字では「偏に」と書くが、常用漢字外のためひらがな表記が一般的。
  • 類義語には「おかげさまで」「ただただ」「他でもなく」などがあるが、いずれもやや口語的・カジュアルな表現であり、フォーマルな場面では「これもひとえに」を使うのが適切。
  • 英語では without ~(〜なしには)を使った仮定法の構文が、感謝の気持ちを伝える「ひとえに」のニュアンスに最も近い。

「これもひとえに」を正しく使いこなすことで、挨拶や謝罪の場面での印象が格段に高まります。ビジネスの重要な場面で自信を持って使えるよう、ぜひ本記事の例文や用法を参考にしてみてください。

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このサイトの記事はマナラボ編集部によって執筆されています。

マナラボ編集部は敬語・ビジネスマナーに関わる仕事を経験した方が記事執筆をおこない、編集者によってファクトチェックを行っております。

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