「二律背反」の意味とは?実例をもとに簡単に解説

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二律背反という言葉を聞いたことがある人は多いことでしょう。

しかし実際には正しい意味で使用していない人も多く、奥が深い言葉でもあります。

この記事では、正しい二律背反の意味や使い方から、実際のビジネスシーンでの例、言い換え表現などをわかりやすく解説します。

二律背反の意味や読み方とは


「二律背反」は「にりつはいはん」と読み、「反対の意味を持った考え方や決まり事が並び立っている矛盾した様子」という意味の言葉です。ここでの「律」は規定や掟のように物事の基準となるものを指し、「二律」とは二つの基準となるものが並んでいることを表します。

また「背反」とは「お互いに相容れない」という意味です。これらの意味が合わさることで、上記のような意味になります。

二律背反のビジネスでの意味や使い方

二律背反はビジネスでの意味は「矛盾した関係の二つのものが存在すること」で、このようなことはビジネスの場でよくあることです。二律背反のビジネスでの使い方としては、例えば次のようなものが考えられるでしょう。

今日の大量消費社会においては、地球環境保護という一見二律背反の課題に立ち向かう必要がある。

大量に商品を生産し、大量にそれを消費するという社会ではその分ゴミや不用品なども膨大な量になります。この例では、そういった一見相反することに立ち向かう必要があるということです。

二律背反のビジネスシーンでの実例


二律背反は特段ビジネス用語というわけではありませんが、状況自体はビジネスのシーンにおいてもたびたび見受けられます。

例えば商品の開発を行なう際にコスト面の削減を呼びかけつつも品質の良よい商品を開発しようとすることは、突き詰めて考えると、二律背反の関係にある状態です。

また労働人口の減少による人手不足で仕事量が増えているにもかかわらず、残業をなくそうとする社会の取り組みなども二律背反の関係にあるといえるかもしれません。

世の中には確固たる大切な事柄は確かに存在しますが、それらは決してひとつではなく複数存在しています。しばしばあちらを立てればこちらが立たずといった状態に陥ってしまうこともあるのです。

二律背反の例文

新しく人を雇わないにもかかわらず、残業を禁止しようとする会社の二律背反した考え方に辟易とする。
銃で人を撃つことを禁じながら社会全体に銃を流通させる考え方は二律背反のようにも思える。
勉強時間をこれ以上増やすと睡眠時間が減り、睡眠時間を確保すれば勉強時間を増やせない。成績を上げるにはこの二律背反する状況を何とかしなければならない。
売り上げを上げるためにセールを続けたところかえって売り上げが下がってしまったので、二律背反するこの課題は別の方向で解決が必要だと気づいた。

二律背反と矛盾の違いとは


二律背反と似た言葉として、「矛盾」が挙げられます。「矛盾」は「むじゅん」と読み、「二つの物事が食い違っていて、辻褄が合わないこと」という意味です。

一見同じように思われるかもしれませんが、二律背反は「矛盾する二つの命題が並んでいる様子」を表しているので完全に同じものではありません。また二律背反はどちらの命題も同じくらいの妥当性があり、どちらも正しいものだという違いもあります。

それに対して矛盾はどちらかに妥当性が存在しなかったり、あるいはどちらかが間違っているということがあり得るということです。日常会話などでは、二律背反よりも矛盾の方がよく使われるかもしれません。

混同して用いられることがある言葉ではありますが、実際には上記のような違いがあります。この機会にその違いを押さえておきましょう。

二律背反の類語・言い換え表現


二律背反の類語・言い換え表現は「パラドックス」「トレードオフ」などが適当でしょう。「パラドックス」は「正しく見える前提や論理から、納得し難い結論に行き着いてしまうこと」です。

また「トレードオフ」は経済用語で、同時には存在し得ない二律背反する関係を意味します。これらの類語・言い換え表現を使った例文としては、以下のようなものが考えられるでしょう。

「ブライスのパラドックス」で言われているように、道路が増えれば渋滞が必ずしも解決するわけではない。

「ブライスのパラドックス」とは有名なパラドックスの一つで、道路が増えると移動時間が減るどころか、渋滞が増えてかえって移動時間が長くなってしまうケースがあるというものです。
普通に考えると移動時間が短くなりそうな気がしますが、交通工学では必ずしもそうならないことがあるということが分かっています。

時給で働いている人にとって、労働時間と賃金はトレードオフの関係にある。

時給で働く人が賃金を増やそうと思うと、最も手っ取り早いのは労働時間をその分増やすことです。逆に休みが欲しければ労働時間が減るので、その分賃金も減ります。

このように同時には存在し得ない二律背反する関係を経済用語で「トレードオフ」と表現されるのです。

まとめ この記事のおさらい

  • 「二律背反」は「にりつはいはん」と読み、「反対の意味を持った考え方や決まり事が並び立っている矛盾した様子」という意味の言葉
  • 「上司の指示とマニュアルの内容が反している」ことや「働きかた改革の一環として有給休暇取得を促進させるため、平時の残業時間が伸びてしまう」ことなどが挙げられる
  • 二律背反は「矛盾する二つの命題が並んでいる様子」を、矛盾は「二つの物事が食い違っていて、辻褄が合わないこと」を意味しており、同じ意味の言葉ではない
  • 二律背反の類語・言い換え表現は「パラドックス」や「トレードオフ」といったものがある