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この記事では「内憂外患」の読み方や意味について解説いたします。あまり聞き覚えがない言葉で、どういった意味や使い方をする言葉なのか分からないという人もいることでしょう。
そこで今回は「内憂外患」の意味や場面別の使い方、日本における内憂外患の時代や英語表現なども含めてピックアップしました。この記事の中で一つでも参考になる内容があれば幸いです。
内憂外患の読み方や意味とは
内憂外患は「ないゆうがいかん」と読み、「国内の心配事と外国によってもたらされるやっかいなこと」という意味の四字熟語です。
内は国内を、外は外国をさし、「憂(うれ)い」「患(わずら)い」ともに、不安や心配ごとを示しています。
「内憂外患こもごも至る」といういい方で、よく国内の心配事と外国からもたらされる心配事が立て続けに起こるというように使われるようになりました。
内憂外患のビジネスシーンでの用法
内憂外患は、国内外に問題がたくさんあることという意味で使われた言葉ですが、現在は国だけではなく、会社や組織の中でもよく使用される言葉となっています。
内憂外患は、ビジネスにおいて、取引先にやっかいな人がいて、あれこれと意見を変えてきて思うように取引が進まず頭を抱えてしまうことをあらわします。
同じ部署にいる部下は全く使えず、常に足手まといになる存在です。何度も同じミスをするうえ、注意してもあまり響かず成長が全然見られない、一緒に仕事をしていて不安要素しかない人物をあらわします。
自分自身が仕事を進める上で、外部にも身内にも不安がありなかなか仕事がはかどらない、不安が山積みというときに使えるでしょう。
【場面別】内憂外患の使い方と例文
内憂外患は日常会話やビジネスシーンなど、非常に幅広い場面で使われる言葉です。そこでこの項目では、内憂外患の使い方と例文を場面別にピックアップしました。
会社の状況を表す
会社が社内・社外の両面で問題を抱えている状況で「内憂外患」は用いられます。会社の状況を表す際の「内憂外患」を使った例文としては、以下のようなものが考えられるでしょう。
ベテランが次々と辞めていくのは、社内にとって大きな憂いごとです。その一方で取引先がどんどん減っていくのは社外における問題だといえます。
この例では、ベテランが退社する社内の憂いごとと取引先が減っていく社外の問題を抱えている状況が内憂外患だということです。
家庭の状況を表す
家庭内を「内」、家庭の外を「外」として家庭の状況を「内憂外患」と表すことがあります。つまり家庭内外でそれぞれ問題を抱えている状況だということです。
家庭の状況において「内憂外患」を使うと、次のような例文を作ることができます。
仕事がうまくいかないのは家庭の外の問題、そして夫婦仲が悪くなったことは家庭の内の問題です。つまり家庭の内外どちらでも問題を抱えている状況だといえます。
今回の例だと、仕事がうまくいかないことから喧嘩などをして夫婦仲が悪くなり、その状況に対して内憂外患だと表現しているということです。
政治の状況を表す
日本国内の状況を「内」、日本国外のことを「外」として考えると、政治の状況においても「内憂外患」を使うことができます。日本国内外でどちらも問題がある状況だということです。
政治の状況においての「内憂外患」は下記のようなケースが考えられるでしょう。
国内が不景気で苦しんでいるというのは国内の問題なので「内」、諸外国との外交問題がうまく進まないのは国外との問題なので「外」のことです。この例では、国内の不景気と国外の外交問題の両面において、首相はかなり悩んでいるということが読み取れます。
今回の例に限らず、どの国も国内外において様々な悩みや問題を抱えているものです。そしてそれらの問題を解消して国をより良くしていくことが政治の役割だといえるでしょう。
内憂外患の類語
「内憂外患」の類語は「内患外憂」や「内患外禍」などが考えられるでしょう。またそれらの類語を使った例文は、下記のようなものがあります。
「内患外憂」は「ないかんがいゆう」と読みますが、意味は「内憂外患」と同じです。そのことは「憂」と「患」が入れ替わっただけであることからも分かるでしょう。
この例では、新人採用が進まない社内の事情と、社外での交渉がうまくいってない状況が内患外憂だということです。
「内患外禍」は「ないかんがいか」と読み、これも「内憂外患」と同じ意味がある言葉です。今回の例では、父と喧嘩する一方で職場で毎日のように叱責を受けている状況を「内患外禍」と表現しています。
内憂外患の対義語
「内憂外患」の対義語としては「内平外成」や「天下泰平」などが挙げられます。以下にはそれぞれの例文を取り上げました。
「内平外成」は「ないへいがいせい」と読み、「国内がよく治っており、諸外国との関係も良好なこと」という意味です。その状況を作り上げたのは首相だと見なされていることから、国民からも大いに指示されているということが読み取れます。
「天下泰平」の読みは「てんかたいへい」で、その意味は「世の中がよく治まり、穏やかな様子」です。これまでの人類史では多くの疫病や戦争などがあり、それらのことを勉強すると現代に生まれたことを強く幸福に思うということでしょう。
日本における内憂外患の時代
日本において内憂外患の時代と呼ばれていた頃があります。それは徳川家が世の中を治めていた江戸時代です。
江戸時代後期は財政が悪化して多くの国民が困窮し、米価が高騰して大塩平八郎の乱が起こるなど、政治情勢が非常に不安定になっていました。そんな中で黒船が来航するなど国外からの外圧が次々と迫ってきたのです。
徳川慶喜が天保の改革を行うなどしましたが失敗に終わり、また外国からの開国を執拗に要請されるなどされていました。結局大政奉還により徳川家は政権を朝廷に返上し、日本は開国に至ったというのは広く知られるところです。
日本国内では財政や政治状況が安定せず、その一方で外国からは黒船がやってくるなどして落ち着かない状態になっていたこの時代は、正しく日本における内憂外患の時代であったといっても過言ではないでしょう。
内憂外患の英語表現
「内憂外患」の英語表現は「troubles at home and abroad」や「internal and external troubles」などが適切でしょう。「at home」は「家」、つまり「内」のことです。
「abroad」は「外国」など「外」を表す単語で、また「troubles」は「問題」という意味なので「troubles at home and abroad」はこれらが合わさって国内の心配事と外国によってもたらされるやっかいなこと」という意味になります。
また「internal」は「内部の」や「国内の」、「external」は「外部の」や「外国の」といった意味です。したがって「internal and external troubles」も上記と同じような意味として使われます。
なお「in」(im)は「内」、「ex」は「外」という意味があり、その後ろに同じ言葉を伴って対義語のように使われるケースも多いです。例えば「internal phone number」は「内線電話番号」、「external phone number」は「外線電話番号」を表します。
また「import」は「輸入」、「export」は「輸出」といった具合です。したがってこれらのことを知っておくと、英単語の意味を理解する上で役に立つかもしれません。
まとめ この記事のおさらい
- 「内憂外患」は「ないゆうがいかん」と読み、「国内の心配事と外国によってもたらされるやっかいなこと」という意味がある
- 「内憂外患」は会社や家庭、政治の状況を表す際などに使われる
- 「内憂外患」の類語は「内患外憂」や「内患外禍」などが考えられる
- 「内憂外患」の対義語としては「内平外成」や「天下泰平」などが挙げられる
- 「内憂外患」の英語表現は「troubles at home and abroad」や「internal and external troubles」などが適切