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この記事では、「冥利に尽きる」の意味や使い方、類語、英語表現について解説します。
「冥利に尽きる」という言葉は聞いたことがあっても、どうやって使って良いのか迷いますね。
ビジネスシーンでも「冥利に尽きる」は使われる言葉です。この記事を通して「冥利に尽きる」の正しい意味と使い方を覚えてください。
「冥利に尽きる」の読み方・意味・使い方
「冥利に尽きる」とは、「その立場にいる者としてこれ以上幸せはないと思う」ことの意味で、「みょうりにつきる」と読みます。
「冥利に尽きる」は、それぞれの人がその立場でこれ以上にないと思うほどの恩恵を受けた時に使う表現です。例えば、映画俳優が主演作で有名な映画賞を受賞したら、「役者冥利に尽きる」と思うでしょう。
役者だけでなく、「研究者冥利に尽きる」「作家冥利に尽きる」「選手冥利に尽きる」など、それぞれの分野で功績を認められたり、大きな成果を得た場合にも、「冥利に尽きる」は使われます。また、「男冥利につきる」や「女冥利につきる」などの言い回しもあります。
「冥利に尽きる」は、お金にかえられないような恩恵を受けた時に使う表現です。接待を受けやすい立場の人が、高級料理をご馳走になって「冥利に尽きるね」と言うのは誤りです。これは単なる「役得」であって「冥利」にはなりません。誤った使い方には注意しましょう。
また、「商売冥利(しょうばいみょうり)」という言い回しがあります。
これは「神仏が知らないうちに商売に加護利益を与えてくれる」という意味の他に「商売上いい加減なことはできない」という意味もあります。これは、商売で神様に恩恵を受けているのだから、商売で誤魔化したりいい加減なことはしない、という商人の誓いの言葉でもあります。
「冥利に尽きる」の語源
「冥利に尽きる」の「冥利」とは、仏教の因果報酬の思想から生まれた言葉です。
因果応報(いんがおうほう)とは、「善い行いをすれば良い結果が得られ、悪い行いをすれば悪い結果が得られる」という考え方です。「冥利」は、「善行をしているうちに得られる思いがけない仏の恵み」を意味します。
一方、「尽きる」は、「なくなる」「終わる」の意味がありますが、「〇〇に尽きる」という形になると「極限まで達する」「極まる」という意味になります。
つまり「冥利に尽きる」は、「思いがけない仏の恵みが極限に達するまで得られる」ことで、そこから派生して、職業や地位、立場によって得られる恩恵の意味になりなりました。
「冥利に尽きる」の例文
「冥利に尽きる」は日常会話ではあまり使いませんが、一般的な文面ではよく使われます。特に以下のような職種などに関して使用されることが多くなっています。
- 著名な科学誌に論文が掲載され、研究者冥利に尽きます。
- 教え子たちが還暦の会を開いてくれて、これほど教師冥利に尽きることはありません。
- ドームでコンサートが開催できるなんて、まさに「ミュージシャン冥利に尽きる」です。
- そこまで喜んでもらうと、作り手冥利に尽きます。
また、「男冥利」や「女冥利」では、以下のような例文があります。
- こんな男冥利に尽きる話を、だれが断るでしょう。
- 一度に3人もの男性に告白されるとは、女冥利につきますね。
前述したように、冥利は「お金にかえられない恩恵」の意味ですから、以下のように「役得」の意味で使うのは誤りです。
・官僚が天下りできるのは、まさに冥利に尽きます。
・厨房で高級料理が味わえるなんて、料理人冥利に尽きますね。
正確な意味を知らずに雰囲気だけで「冥利に尽きる」を使わないでください。
「冥利に尽きる」のビジネス上での使い方
ビジネス上で「冥利に尽きる」のような幸運が訪れることは、そう多くはありません。
しかし、ラッキーなことはいつ訪れるかわかりません。そのような時に「冥利に尽きる」の正しい使い方を知っていれば、困ることはありませんし、ビジネスのスキルアップにもつながります。ここでは、ビジネス上での例文をいくつか紹介します。
- このような感謝のお手紙は、担当者として冥利に尽きます。
- 社長から直接お褒めの言葉をいただくなんて、社員冥利に尽きます。
- プロジェクトの成功は、まさに部長冥利に尽きると言えるでしょう。
- 難局に社員が一丸となって立ち向かう姿は、社長冥利に尽きると言っても過言ではありません。
また、「冥利に尽きます」は、あまり日常会話では使いませんが、接客業の人や料理人がお客様にお褒めの言葉を頂戴した場合には使うことがあります。
「冥利に尽きます」
「冥利に尽きる」には「ありがたい」という気持ちが込められているので、より丁寧な感謝の表現になります。
「冥利に尽きる」の返し方
「冥利に尽きる」は「(自分にとって)これ以上ありがたいことはない」という最大級の感謝を込めた言葉です。「冥利に尽きる」への返し方としては、「こちらこそ、お役に立てて幸いです」「喜んでいただき大変うれしく存じます」などと返答するのが良いでしょう。
より丁寧に返したい場合は、「何かまたお役にたてることがございましたら、いつでも遠慮なくお申し付けしつけくだされば幸いに存じます」と伝えることで相手に与える印象をさらに高めることができます。
また会社の上司や先生が「社長(教師)冥利に尽きる」と言う場合には謙遜のニュアンスも含まれますので、「それは社長(先生)のご才覚と人徳のなせる業かと存じます」「まさに先生(社長)の人望の賜物ですよ」などと相手を立てるのが良いでしょう。
「冥利に尽きる」の類語と例文
「冥利に尽きる」の類語としては、「冥加に余る」「願ってもない」「身に余る」「恐れ多い」「僥倖」「幸甚」「果報者」などがあります。
ありがた過ぎてもったいないこと。
(例文)
・冥加に余って光栄でございますが、私には分不相応かと思われます。
願っても叶わないようなことが運よく起きること。
(例文)
・今回のご提案は、弊社としても願ってもないことです。
処遇などが過分であり、自分にふさわしくないこと。
(例文)
・私が最優秀賞を受賞するなんて、まさに身に余る光栄です。
申し訳なくて頭があがらない。大変にありがたい。
(例文)
・このようなお品をいただけるとは、恐れ多いことでございます。
思いがけない幸運。幸運を持つこと。
(例文)
・今回のプロジェクトの成功は、まさに僥倖と言えるでしょう。
この上もない幸せ。非常にありがたいと思うこと。
(例文)
・素晴らしいご提案をいただき、大変幸甚に存じます。
運のよい人。幸運に恵まれた人。
(例文)
・あんなステキな奥さんをもらうなんて、君は果報者ですね。
「冥利に尽きる」の英語表現
「冥利に尽きる」は「to get more blessing than one deserves」と訳されます。日本語では「自分の価値よりも多くの恩恵を得る」という意味ですが、固い表現なので一般的にはあまり使われません。多く使われるのが「lucky」です。また、「honor」も「光栄」という意味では「冥利に尽きる」に近い表現ができます。
(あんなに多くの生徒に慕われるなんて、彼は教師冥利に尽きます。)
・I felt honored and privileged to be an engineer.
(まさに技術者冥利に尽きます。)
・It is a very great honor for me to be awarded this prize.
(この賞を戴くことは冥利に尽きます。)
まとめ この記事のおさらい
- 「冥利に尽きる(みょうりにつきる)」とは、「その立場にいる者としてこれ以上幸せはないと思う」ことの意味です。
- それぞれの分野で功績を認められたり、大きな成果を得た場合に「冥利に尽きる」は使われます。
- 「冥利に尽きる」は「善い行いをすれば良い結果が得られる」という仏教思想から生まれた言葉です。
- 「冥利に尽きる」の返し方としては「お役に立てて幸いです」「喜んでいただき大変うれしく存じます」。「(○○の)ご人徳のなせる業かと存じます」「人望の賜物です」 などの表現が良いでしょう。
- 「冥利に尽きる」の類語は、「冥加に余る」「願ってもない」「身に余る」「恐れ多い」「僥倖」「幸甚」「果報者」などです。
- 「冥利に尽きる」は「to get more blessing than one deserves」と英訳されますが、一般的には「lucky」や「honor」が使われます。