ビジネスにおける「その節は」の使い方 類似表現との違いを解説

お客様との会話やビジネスメールで「その節は」という表現を使う機会は少なくありません。しかし、「その節は」「その折は」「その際は」の使い分けを正確に理解できているでしょうか。似たような言い回しを混同して使ってしまうと、相手に違和感を与えたり、丁寧さが損なわれたりするリスクがあります。本記事では、「その節は」の意味と正しい使い方を丁寧に解説し、類似表現との違いや英語での表現方法まで網羅しています。読み終えれば、ビジネスシーンで自信を持って使い分けられるようになります。

目次

「その節は」とは

「その節は」とは、過去のある時点や出来事を話題に上げる際に使用する言い回しです。「あの時は」「この前は」と同じ意味合いで使われ、相手との共通の記憶をやり取りの糸口にする効果があります。日常的な口語表現と比べて改まった響きがあるため、ビジネスシーンや改まった文章の中で自然に馴染みます。

「その節は」を使う場面・使い方

ビジネスシーンで「その節は」を使用するのは、過去にあった出来事を話題にする時です。たとえば、先週の商談で顔を合わせたお客様と偶然街中で再会した際に「その節はどうも」と声をかけることができます。また、以前のプロジェクトでお世話になった取引先へのメールに「その節は大変お世話になりました」と添えることで、礼儀正しい印象を与えられます。

さらに、「その節は」は会話を自然に発展させるための「きっかけの言葉」としても機能します。「その節はお世話になりました。その後、お変わりございませんか」のように、過去の出来事にふれてお礼を述べた後、次の話題へとスムーズに繋げることができます。定型的な挨拶になりすぎず、相手との関係を温める効果もある表現です。

「その節は」を使う際の注意点

「その節は」は過去の出来事に限定して使用する表現であるため、未来の出来事に対しては使用できません。「次回お会いする節は、ぜひよろしくお願いします」のような使い方は誤りです。未来の出来事を指す場合は「その際は」や「その折は」を選ぶのが適切です。

また、過去の出来事を指す場合でも、数十年前のような遠い過去に対して「その節は」を使うのは適切ではありません。「その節は」は比較的現在に近い過去の出来事を指す言葉です。ずっと昔の話題を持ち出す際には「その折は」を使うほうが自然な表現になります。このような時制のニュアンスを押さえておくことが、正しい使い分けの鍵となります。

「その節は」の類義語・類似表現との違い

「その節は」と似た表現には「その際は」「その折は」「その時は・その頃は」「先日は・この間は」などがあります。それぞれの使い分けを把握することで、より豊かなビジネス表現が身につきます。まず各表現の特徴を比較表でまとめます。

表現 過去 未来 主なニュアンス・注意点
その節は 〇(比較的近い過去) × 改まったビジネス表現。遠い過去には不向き。
その際は × 場所・時間の特定も可能。未来限定。
その折は 〇(遠い過去も可) 場所・時間の特定はせず、機会・時期に使う。
その時は・その頃は 口語的・フランク。ビジネスでは注意が必要。
先日は・この間は × 具体的な日時を指す言い換え。表現に変化をつけられる。

「その節」と「その際」の違い

「その際は」は、現在もしくは未来の出来事に対して使用する表現で、過去の出来事には使用できません。場所や時間を具体的に指定して使えるため、アポイントメントや訪問予定などビジネス上のやり取りで頻繁に登場します。

「来週火曜日の15時に、貴社までご挨拶にお伺いいたします。その際は、どうぞよろしくお願いいたします」

このように、訪問や会議など具体的な予定と組み合わせて使うのが「その際は」の典型的な用法です。過去の場面に「その際は」を使ってしまう誤りが多いため、「その際は=未来」と覚えておくとよいでしょう。

「その節」と「その折」の違い

「その折は」は「その際は」と同じく未来の出来事に対して使用できますが、場所や時間などを具体的に特定するのではなく、ある機会や時期に対して使用する表現です。そのため、相手の都合に合わせて柔らかくお願いするニュアンスが生まれます。

「お手すきの折にも、ご確認いただければと存じます」
「お近くにお越しの折には、ぜひお知らせいただきたく、お待ち申し上げております」

また、「その折は」は過去の出来事に対しても使用できます。「その節は」が比較的現在に近い過去を指すのに対し、「その折は」はより遠い過去の出来事にも自然に使えます。年月が経過した出来事を振り返る際に「その折は」を選ぶと、より丁寧で格式のある表現になります。

「息子が小学生の折には、大変お世話になりました」

「その節」と「その時は」「その頃は」の違い

「その時は」「その頃は」は、過去・未来の両方に使用できる点では便利な表現ですが、口語的でフランクな印象を与えやすい言葉です。友人同士の会話や親しい間柄では自然な表現ですが、取引先や目上の方に対するビジネスシーンでは、より改まった「その際は」「その折は」を選ぶほうが無難です。

「その時はよろしくお願いいたします」→「その際は」のほうが適切
「息子が小学校の頃に、大変お世話になりました」→「その折は」のほうがより丁寧

ビジネスメールや商談の場では、相手への敬意を示すためにも、改まった表現を意識的に選ぶことが大切です。

「その節」と「先日は」「この間は」の違い

「先日は」「この間は」は、「その節は」の代わりに具体的な過去の日時や出来事を指定して言い換える表現です。同じ相手に対して毎回「その節はお世話になりました」と繰り返していると、定型文的な印象を与えてしまうことがあります。そのような場合には「先日の会議の折には」「この間ご紹介いただいた際には」などと具体的に言い換えることで、表現の幅が広がり、相手に対する誠実な気持ちも伝わりやすくなります。

「その節は」を使った例文

実際のビジネスシーンで使われる例文を確認しておきましょう。

「その節は大変お世話になりました」
「貴地出張の節は、一方ならぬご高配にあずかりまして、誠にありがとうございました」
「追伸 なお、本状と行き違いですでにお手配済みの節は、失礼のほどご容赦ください」

3つ目の例文は、ビジネス文書の追伸部分でよく見かける表現です。「すでに対応済みの場合には」という意味合いで使われており、相手への配慮を示す丁寧な言い回しです。覚えておくと、書面でのやり取りに役立ちます。

「その節は」の英語での表現方法

英語で「その節は」に相当する表現としては、“on that occasion”(その機会に、あの時に)が広く使われます。ビジネス英語でも自然に通用する表現です。

“Thank you for all your help on that occasion.”
「その節はお世話になりました」

日本語の「その節は」と同様に、過去の特定の出来事や機会を指して感謝を伝える場面で使われます。海外の取引先とやり取りする際にも応用できる表現として押さえておきましょう。

まとめ

  • 「その節は」は、現在に比較的近い過去の出来事を話題にする際に使う改まった言い回し。未来や遠い過去の出来事には使用しない。
  • 「その際は」は未来の出来事を話題にする時に使用する。場所や時間を具体的に指定できる点が特徴。
  • 「その折は」は、過去(遠い過去を含む)にも未来にも使える柔軟な表現。未来に使う場合は場所・時間の特定をせず、「ある機会・時期に」というニュアンスで使用する。
  • 「その時は」「その頃は」は口語的でフランクな響きがあるため、ビジネスシーンでの使用には注意が必要。「その際は」「その折は」に言い換えるのが無難。
  • 「先日は」「この間は」は、「その節は」の言い換えとして具体的な出来事を指定できる表現。表現がマンネリ化した際の代替として有効。
  • 英語での「その節は」は “on that occasion” を使用する。
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このサイトの記事はマナラボ編集部によって執筆されています。

マナラボ編集部は敬語・ビジネスマナーに関わる仕事を経験した方が記事執筆をおこない、編集者によってファクトチェックを行っております。

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