エスタブリッシュメントの意味とは?|国内外の4つの事例や使い方、類語まで解説

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この記事では「エスタブリッシュメント」の意味や使い方について解説いたします。

今まで何となく見聞きしたことはあっても、それがどんな言葉なのか理解していないという人も多いかもしれません。

そこで今回は「エスタブリッシュメント」の語源や事例、類義語なども含めて取り上げました。

それでは一つずつ確認していきましょう。

「エスタブリッシュメント」の意味とは

千載一遇
「エスタブリッシュメント」は英語の「establishment」の音をそのままカタカナ表記したもので、「既存の権力的勢力やその体制」のことを表しています。

つまり国家や政府機関、富裕層などのように強力な権力を持った特権階級や支配階級などの勢力、および彼らが作り上げた社会秩序・体制のことです。

国や組織において「エスタブリッシュメント」は意思決定や方針決定などに強い影響力を持っています。

「エスタブリッシュメント」の語源

英語の「establishment」を分解すると、「e」と「stablish」と「ment」に分けられます。

「e」はoutと同じく「外側」、「stablish」は「stand」と同じで「立っている」という意味です。

そして「ment」は名詞を作る接尾辞で、これら3つが合わさって「establishment」となり「外側に立つ人」という意味になります。

言い換えると、多くの一般の人たちの外側から体制を動かしている「影の勢力」というイメージの言葉です。

なお「establish」には「設立する」という意味がありますが、これも内側で準備中だったものが外に立ち現れることから「設立する」という意味を持っています。

「エスタブリッシュメント」の事例


先述の「エスタブリッシュメント」の意味や語源だけでは、今一つ分かりにくいところがあるかもしれません。

そこでこの項目では、「エスタブリッシュメント」の具体的な事例として4つご紹介します。

昔ながらの経営文化をもつ大手日本企業

日本国内で使われる「エスタブリッシュメント」は、昔ながらの経営文化をもつ大手日本企業を指すことが多いかもしれません。

つまり日本における富裕層や権力者は、誰もが知っているような大手日本企業やその関連企業に属している人であることが多いということです。

かつて日本では「一億総中流」といわれていた時代がありました。

その潮流からか現在でも中流意識を持つ人が大多数で、富裕層といわれる人の数や保有財産は欧米諸国に比べると少ないものです。

バブル崩壊後は格差が広がったとはいわれていますが、それでも外国と比較すると日本における富裕層と庶民との差はまだまだ小さいと言わざるをえません。

つまり日本の「エスタブリッシュメント」は、世界的に見ると小粒だということです。

アメリカの大統領制

アメリカの大統領制における「エスタブリッシュメント」の事例としては、近年では2016年の大統領選挙戦がイメージしやすいかもしれません。

それまで民主党は8年間にわたり、当時のオバマ大統領を中心とした社会的に強い権力を持つ「エスタブリッシュメント」でした。

そこへ登場した共和党のトランプ陣営は「反エスタブリッシュメント」であり、「エスタブリッシュメント」である民主党に不満を持っていた国民がこぞってトランプ氏に投票した結果トランプ氏の勝利となったというわけです。

ただし富豪であるトランプ氏自身がそもそも「エスタブリッシュメント」でもあるため、「反エスタブリッシュメント」層が期待したような既存体制への変革が行われていたかどうかは疑問に思う人もいるかもしれません。

ヨーロッパの王侯貴族

「エスタブリッシュメント」は英語圏でよく使われる言葉です。

イギリスの場合は新興国であるアメリカなどとは異なり、現在でも「王侯貴族」という存在が残っています。

生まれながらに裕福な生活と高貴な身分を保障されている理不尽極まりない存在ではありますが、そんな彼らがイギリスでは「エスタブリッシュメント」の代表です。

その他には政治家や上級弁護士、オックスフォードやケンブリッジといった名門大学の学者、ロスチャイルド家のような金融投資家なども「エスタブリッシュメント」と呼ばれています。

インドのヒンドゥー教におけるカースト制度

インドの「エスタブリッシュメント」は、政治機関の他にヒンドゥー教における支配階級が含まれています。

インドではヒンドゥー教を信仰している人が非常に多く、ヒンドゥー教ではカースト制度によって階級が決まっています。

「バラモン」、「クシャトリア」、「ヴァイシャ」、「シュードラ」順に階級が高くなっているのです。

インド政府は1950年からカースト制度における差別を禁じていますが、カースト制度は深く根付いていて現代でも未だに差別が残っています。

「バラモン」はインドにおける支配階級であり、「エスタブリッシュメント」だといえるでしょう。

「エスタブリッシュメント」の使い方

国家公務員
「エスタブリッシュメント」の使い方としては、次のようなものが挙げられます。

かつて日本では、「エスタブリッシュメント」である自民党に対する有権者の不満が高まった末に政権交代が起こったことがある。

日本では自民党が政治における「エスタブリッシュメント」とされていますが、過去に何度か政権交代がありました。

いずれも自民党に対する有権者の不満が高まったゆえの政権交代です。

日本では「エスタブリッシュメント」という概念は浸透しないだろう。

上述したように、日本は他国と比較して貧富の差が小さく、社会保障も充実しています。

また宗教を信仰していないという人も多く、国全体に影響するような階級もないので日本で「エスタブリッシュメント」の概念は浸透しないだろうということです。

「エスタブリッシュメント」の類義語と例文

副業
「エスタブリッシュメント」の類義語としては、「インスティチューション」が適当でしょう。

「インスティチューション」は英語で「institution」と書き、「機関」や「設立」、「制度」や「公共施設」といった意味があります。

特定の目的のために設立され、統一された組織という点で、「インスティチューション」は「エスタブリッシュメント」の類義語だといえるでしょう。

まとめ この記事のおさらい

  • 「エスタブリッシュメント」は英語の「establishment」の音をそのままカタカナ表記したもので、「既存の権力的勢力やその体制」のことを表す
  • 「エスタブリッシュメント」の語源は英語の「establishment」で「外側に立つ人」という意味があり、多くの一般の人たちの外側から体制を動かしている「影の勢力」というイメージを表す
  • 「エスタブリッシュメント」の事例としては昔ながらの経営文化をもつ大手日本企業やアメリカの大統領制、ヨーロッパの王侯貴族やインドのヒンドゥー教におけるカースト制度といったものが挙げられる
  • かつて日本では「一億総中流」といわれていた時代があったことから現在でも中流意識を持つ人が大多数で、富裕層といわれる人の数や保有財産は欧米諸国に比べると少ない
  • 「エスタブリッシュメント」は英語圏でよく使われる言葉で、イギリスでは現在でも「王侯貴族」という存在が残っている
  • 「エスタブリッシュメント」の類義語は、「機関」や「設立」、「制度」や「公共施設」といった意味がある「インスティチューション」が適当