飲みの席で急に笑いが止まらなくなる人や、日常的にちょっとしたことでもすぐ笑ってしまう人を見て「笑い上戸だな」と感じたことはないでしょうか。笑い上戸という言葉は普段よく使われますが、その語源や、笑い上戸の人がどのような心理を抱えているのかまで知っている人は多くありません。
この記事では、笑い上戸の意味や語源、英語表現、類語といった基礎知識に加えて、笑い上戸な人に共通する特徴と、周囲の人がどう付き合えばいいのかを解説します。笑い上戸の相手が身近にいる人にとって、関係を築くヒントになるはずです。
笑い上戸の意味とは
笑い上戸に含まれる「○○上戸」は、お酒が好きな人や、お酒をたくさん飲める人を指す言葉です。ここに「笑い」がついて「笑い上戸」となることで、お酒に酔うと笑ってしまう癖があるという意味が生まれました。同時に、普段から笑いやすい癖を持つ人についても、笑い上戸と呼ぶようになっています。
つまり笑い上戸とは、些細なことでもすぐに笑う性格であるさまを表す言葉です。お酒の席に限らず、日常のさまざまな場面で使われる表現だと考えるとわかりやすいでしょう。
笑い上戸の語源に隠された2つの説
「上戸」という言葉の語源には、大きく2つの説があります。
1つ目は、平安時代の階級分けに由来するという説です。働き手が多く納税額も多い家は「上戸」と呼ばれ、働き手が減って納税額が少なくなるにつれて「中戸」「下戸」と分類されていました。当時は階級によって婚礼などの祝いの席で出す酒の量も決まっており、上戸は8瓶、下戸は2瓶を出すのが習わしだったといわれます。この量の違いから、酒をたくさん飲める人を「上戸」、飲めない人を「下戸」と呼ぶようになったという説です。
2つ目は、中国の秦の始皇帝の時代にまで遡る説です。万里の長城を守る兵士は、寒さの厳しい山の上にある門「上戸」と、平地で寒くない門「下戸」のどちらかに配属されました。上戸を守る兵には寒さをしのぐための酒が、下戸を守る兵には疲労回復のための甘いものが配られていたそうです。この違いから、上戸・下戸という言葉が酒を飲めるかどうかを示す表現として広まったとされています。
笑い上戸を英語で言うと
笑い上戸を英語にする場合、どの意味で使いたいかによって表現が変わります。お酒に酔うとよく笑うという癖を表すなら、「laughing drinker」や「happy(merry) drinker」といった言い方が近いでしょう。
一方、お酒とは関係なく日常的によく笑う人を指したいときは、「a person who starts laughing at the drop of a hat」という表現が使われます。直訳すると「帽子が落ちただけで笑い出す人」となり、些細なきっかけでも笑ってしまうというニュアンスをよく表しています。
日本語の「笑い上戸」は1つの言葉でお酒の癖と日常の癖の両方を表せますが、英語では場面ごとに言葉を選ぶ必要がある点が特徴といえます。
笑い上戸の類語表現
笑い上戸と同じ「些細なことでもすぐに笑う性格であるさま」を表す言葉に、「箸が転がっても笑う」「箸が転んでも笑う」があります。
箸が転がる、転ぶといった出来事は、特別面白いわけでもなく、日常のなかで普通に起こるようなささいな場面です。そうした何気ない場面でつい笑ってしまうという点で、この2つの表現は笑い上戸とほぼ同じ意味を持つ類語として使われています。
笑い上戸な人に見られる特徴
笑い上戸という言葉は1つですが、そこに当てはまる人には大きく2つのタイプがあります。お酒を飲むと笑ってしまう人と、日常的に笑う癖がある人です。同じ言葉で表現されるものの、性格の傾向はかなり違います。
お酒を飲むと笑ってしまうタイプは、普段は内気な性格をしている人が多い傾向にあります。思いっきり笑うことができない代わりに、内面には笑いたいという気持ちを持っていて、それをしまい込んでいる場合が少なくありません。お酒を飲んで自制心のリミッターが緩んだり外れたりすることで、抑えていた気持ちが表に出てきて、よく笑うようになったり笑いが止まらなくなったりするわけです。
対して、日常的に笑っているタイプの笑い上戸は、明るく陽気な人が多い傾向にあります。笑いたいという欲求を素直に表現できているため、常日頃から笑う姿を見せています。笑いの沸点が低く、他の人にとっては些細なことでも面白く感じて笑っているケースが多いようです。
同じ笑い上戸という言葉でくくられていても、どのような状態で笑うのかによって内実は大きく異なります。どちらのタイプに当たるのかを見極めることが、付き合い方を考えるうえでの出発点になります。
笑い上戸な人の特徴1:ストレスを発散できる
笑うという行為には、ストレスをやわらげる働きがあるといわれています。笑うことで気持ちが切り替わり、それまで感じていた緊張やストレスが解けていく感覚を持つ人も多いでしょう。
ストレスが軽くなれば、日常の中で苛立ちを感じる機会も減り、心に余裕が生まれます。その結果、周囲の人とぶつかることも少なくなり、周りに対しても良い影響を与えやすくなります。笑うことが心身の健康につながるという指摘もあり、笑い上戸な人は自分自身のコンディションを保つ手段を、無意識のうちに持っているといえるかもしれません。
笑い上戸な人の特徴2:周囲から好印象を抱かれやすい
笑い上戸な人は笑顔でいる機会が多く、その表情を周囲の人が目にする機会も自然と増えます。笑顔を見せる回数が多いことが、好印象につながりやすい理由のひとつです。
笑顔は、相手に対して警戒心を持っていないというメッセージにもなります。人は相手の表情や言葉から感情を読み取って人付き合いを進めるものです。そのなかで笑顔は好意的な印象を生みやすいため、笑い上戸な人は「親しみやすい」という印象を相手に与えやすくなります。
笑い上戸な人の特徴3:普段は自分を抑えている
お酒に酔うと笑うようになるタイプの笑い上戸に当てはまる特徴です。普段の状態では、笑いたいという気持ちを持っていても、それを表に出せないことが多くあります。
理由は人それぞれですが、何らかの事情でその気持ちを内側にしまい込んでしまい、発散する機会がないまま溜め込んでいくケースが目立ちます。お酒を飲んで酔いが回ると、普段自分を律していた自制心が緩み、それまで抑え込んでいた分が一気に表に出てきます。結果として、酔っている間は笑いが止まらなくなってしまうのです。
自制心が働きにくくなっている状態では、笑いたいという気持ちが生まれたときにそれを止めるものがなく、素直に笑いが出てしまいます。お酒を飲むとよく笑うようになる人は、普段は内気で大人しく見えても、実は笑いたい気持ちを自制心で抑え込んでいるタイプが多いといえるでしょう。
笑い上戸な人の特徴4:ポジティブで楽観的
この特徴は、日常的に笑う癖があるタイプの笑い上戸に当てはまりやすいものです。
笑い上戸の人は、常に笑顔を見せています。ネガティブな感情や考え方を抱えていると、なかなか笑顔にはなれません。だからこそ、頻繁に笑っている姿からは、その人の物事の受け止め方が前向きであることがうかがえます。
笑い上戸のこの楽観的な部分は、周囲の人にもプラスに働くことが少なくありません。笑い上戸な人がポジティブに笑顔を見せることで、周囲の感情もそれに引っ張られて明るくなっていく場合があります。
笑い上戸な人の特徴5:ストレスを抱え込んでいる場合もある
笑うという行為は、多くの場合プラスの思考によるものです。しかし、ストレスを感じたことを表に出さず、隠すため、あるいは忘れるために笑ってしまう人もいます。
こういったケースでは、笑い上戸に見えていても実際はストレスを感じている可能性があります。笑うことでその場をごまかしていても、感じたストレス自体は内側に溜まっていってしまいます。抱え込んだままにしておくと、いずれ本人の負担になるでしょう。
お酒を飲むと笑い上戸になるという人の場合にも、日常のなかで「笑いたい」という気持ちを押し殺して抑え込んでいることがあります。この自制心による抑え込み自体がストレスの原因になっているケースもあります。笑い上戸の人がすべて楽観的なわけではなく、ストレスを抱え込みながら笑っている人もいるという点は、覚えておきたいところです。
笑い上戸な人との付き合い方
笑い上戸の人との付き合い方は、その笑いがお酒によるものなのか、日常の癖によるものなのかで変わってきます。
お酒によるタイプの場合は、お酒の席での性格の変化を理解しておくことが大切です。酔って笑い上戸になった状態は、自制心が緩んだことで、その人が普段心の内に抑え込んでいた一面が表に出ているにすぎません。人格が変わったわけではなく、普段はそれを抑えているだけです。別人として扱うのではなく、同じ人物の一面として受け止めながら付き合うとよいでしょう。
日常の癖によるタイプの場合は、その笑いが前向きな思考から来ているとは限らない点を知っておく必要があります。笑っているからといって、必ずしも良い感情を抱いているわけではありません。ストレスを隠すための笑いだった場合、溜め込みすぎると本人の負担が大きくなり、いずれ表に出てしまう可能性もあります。
相手の笑いがストレスを隠すためのものだと感じたときは、それに気づいていることをあえて指摘せず、さりげない配慮を心がけるのがひとつの方法です。笑い上戸という一言でくくらず、相手がどちらのタイプで、どんな気持ちで笑っているのかに目を向けることが、良い関係を続けるための第一歩になるでしょう。

