体にはこれといった異常はないのに、どうしても仕事をする気にならない。自分にむち打って出勤しても、会社が近づくにつれて体調が悪くなったり、気分が陰鬱になったりして、職場に行けなくなってしまう。そんな「出社拒否」の状態におちいる人が、働き盛りのサラリーマンに急増しています。

出社拒否は本人の症状を裏づける身体的な所見にとぼしく、休日はふつうに過ごせたりするので、仮病やわがままに見られがちですが、実は重度の鬱病や精神疾患の前兆であり、放置すると自殺の可能性もある、大変危険な状態なのだと認識しなければなりません。
ここでは出社拒否の原因と対策について解説します。

出社拒否とは

出社拒否は、仕事や人間関係のストレスに起因する心の病気です。仕事の重圧や、職場の環境に適応障害を起こした状態とも言えますが、重症化すると、鬱や不眠症などの精神疾患のみならず、頭痛や腹痛、吐き気やめまいといった身体的な疾患、いわゆる心身症を伴うこともめずらしくありません。
症状は人それぞれですが、対応を誤ると症状が悪化して治療が困難になり、退職を迫られて自殺したり、長期の引きこもりになったりして、人生を棒に振ることも少なくありません。できれば早急に専門医の診察を受けるべきですが、周囲がすすめても、当の本人が受診したがらないことも多く、他の精神疾患と同様に対応が難しい病気です。

出社拒否をおこす人の特徴

出社拒否のおもな原因は、前述のように職場の人間関係や仕事のストレスにあります。かといってストレスやプレッシャーに弱い人が出社拒否になりやすいかというと、必ずしもそうではありません。
むしろ自分はメンタルが強いと信じている人や、まじめで責任感の強い人ほど出社拒否になりやすい傾向があります
また、神経質で他人の評価を気にしすぎる人や、人とのコミュニケーションが苦手な人もストレスをため込みやすい性格と言えますが、そのような人だけが出社拒否になってしまうわけでもありません。
要は「出社拒否は怠け者の甘え」だとか、「しょせん仕事ぎらいの仮病じゃないか」などと勝手に決めつけてはいけない、ということです。状況次第では、人は誰でも出社拒否になってしまう可能性があるのです。そのことをまず周知徹底しなければなりません。

出社拒否をおこさないためにできる対策

ビジネスマンのメンタル的な異常には、本人よりも職場の上司や同僚のほうが気づきやすいといわれています。出社拒否の初期は本人に自覚症状がないことが多く、あったとしても、仕事や人間関係の悩みを社内の誰かに相談することは、職場も仕事も大嫌いだと公言するようなもので、結果的に仕事も人望も失うのではないか、という不安があります。
その不安を取り除くためにも、社員の出社拒否対策には会社を挙げて取り組まなければなりません。

社員の心身の状態を互いに把握しあえるオープンな人間関係を構築し、メンタル面で異常を示す社員がいれば専門家の指導のもとに迅速かつ適切に対応し、職場環境を改善してストレスの原因を徹底的に除去しなければなりません

また出社拒否や適応障害に顕著な症状として、周囲の言動に過敏になり、ささいなことに心が傷ついて、症状をさらに悪化させる傾向があります。

出社拒否のことで部下や同僚から相談を受けたとしても、相手の心をえぐり出すような質問攻めにしたり、生半可な道徳観で叱責したり忠告したりするのは、かえって逆効果です。まず本人の話に耳を傾け、相手の気持ちと立場を理解したうえで、心療内科など専門医の受診をすすめるのがよいでしょう。

出社拒否も他の病気と同様に早期発見、早期治療が第一です。

出社拒否のまとめ

出社拒否は仕事や人間関係のストレスに起因する心の病気であり、仮病やわがままだと決めつけてはいけない。
出社拒否にはまじめで責任感が強い人がおちいりやすい。神経質な人や人とのコミュニケーションが苦手な人も要注意だが、状況次第では、誰でも出社拒否になる可能性がある。
出社拒否対策には会社をあげて取り組み、正しい対処法の周知徹底が必要。生半可な知識や道徳観で高飛車に対処するのは逆効果。
早期発見、早期治療が第一と心がけて、すみやかに専門医の受診とアドバイスをあおぎたい。