業界研究をしていると、海に近い地域には必ず海運業界の会社があることが分かります。日本郵船や商船三井、川崎汽船など大手会社の名前はご存知でしょう。

しかし、実際にどのような仕事を行っているのか詳しい人は少ないかもしれません。そこで、今回の記事では以下のような点について解説いたします。

・貨物の海上輸送の他、どんなことを行っているのか
・海運業界の種類
・海運業界の課題
・海運業界を志望する上で押さえておきたいこと

海運業界を志望する人には大切なポイントが多くでてくるので、参考にしてみてください。

海運業界とは

海運業に携わる産業のことを海運業界と呼びます。私たちの身の回りにある日用品、木材、燃料となる石油、天然ガスなどのほとんどが船で運ばれています。時間はかかりますが、長距離輸送に適していること、他の輸送手段に比べて、低価格で貨物と運べることから、輸送手段として大いに活躍しています。

国内の大手3社は、日本郵船、商船三井、川崎汽船です。貿易業や海上における輸送業を主に行っています。

日本郵船

・戦後から歴史のある企業
・日本の高度経済成長を支えていた
・売上高は2兆円を超える大手


商船三井

・歴史が長い
・LNG船(液化天然ガスを輸送する船)において大きなシェアを占めている


川崎汽船

・売上高は1兆円を超える
・ばら積み船やコンテナ船、LNG船など幅広く所有している

海運業界の事業内容

海運業の主な仕事は「海上での貨物輸送、旅客輸送」です。コンテナ船やばら積み船、タンカーやフェリーなどを使って貨物や旅客を運びます。

船で様々な物を運ぶ

船舶で運ぶものは貨物だけではありません。人を載せる旅客用の船も海運業が運営しています。また、原料や材料を運ぶ、ばら積み船もあります。船の種類には以下のようなものがあります。

・タンカー:石油を運ぶ
・ばら積み船:鉄鉱石、石炭、木材チップなどを運ぶ
・LNG船:液化天然ガスを運ぶ
・コンテナ船:衣類、日用品、家電などの工業製品を運ぶ
・自動車船:完成した自動車を運ぶ

荷物を運ぶための船の調達と確保

海運業は船舶で貨物を運ぶだけではなく、その船の調達や確保も大きな仕事の一つです。船を保有することは巨額の資金が必要であるため、会社だけの負担だけではなく、金融機関に資金調達をお願いすることもあります。

ただ、船舶をたくさん確保するだけでは、メンテナンスコストもかかるため、船舶の調達や確保、維持にかかる支出に対して、運輸サービスでどれだけの収益が得られるかが黒字になるかどうかの分かれ目です。

海運業界には2種類ある

国内の港を結ぶ「内航海運」

船で国内の港から港へ荷物を運ぶことを内向海運と呼びます。食料品、日用品、産業基礎資材や石油など私たちの生活に欠かせないものばかりです。内航船は一度に大量の貨物を長距離運ぶことができます。

地震で陸路が断たれ、物資が届けられない事態が起こったときでも、内航船は運航できるため、物資の緊急輸送に役立ちます。一見、トラックや鉄道、空輸などが多くの物資を届けているイメージがありますが、内航海運は国内貨物の半分近くを占めているともいわれています。

海外の港を結ぶ「外航海運」

内航海運と対比する言葉が外航海運です。こちらは海外の港と国内の港の間で荷物を運ぶことを指します。日本は原油、天然ガスなどのエネルギー原料に始まり、工業原料、小麦や大豆などの食料まで海外からの輸入に頼っています。原油は99%以上、天然ガスは95%以上、小麦は85%以上が外国からの輸入品です。

また、輸出に関しては自動車や電気製品などの大型工業製品が大半を占めています。

外航海運は外国との貿易の99%以上を担っており、島国である日本にとってはとても重要な海運です。世界各国の経済状況にもよりますが、最近は貿易が益々盛んになり、海上輸送が大切な手段となっています。

海運業界の職種と仕事内容

海運業界の陸上職

陸上職の中にも種類があり、営業部門、管理部門、技術部門とに分かれています。

<営業部門>

営業
資源・エネルギー会社や各種メーカーなどと新規運送契約を結んだり、既存契約の更改のために顧客との窓口として交渉します。数十年かけて交渉したり、数億円の契約をしたり、と会社の経営を左右する大きな役割を担っています。

船隊整備

案件によってどの船を使うかが異なります。最適な場所に最適な船を手配する仕事です。
運航管理

貨物、燃料補給や寄港地などの航海計画を立て、自分の担当する船に指示を出す仕事です。寄港地での入出港の手続きも業務の一つです。

<管理部門>
財務、法務、企画、人事などのどの会社にも必要な管理系の部署ももちろんあります。
<技術部門>
建造
新しい船舶を造る部署です。環境に配慮した低い燃費で運航できる船や安全性の高い船、使い勝手の良い船、コストを下げた船など、新しい船舶にはたくさんの課題があります。それらを考慮した船を考案、設計、船価交渉などを担当します。全ての交渉がうまくいけば、造船所で新造船の建造が始まります。
技術支援
実際に航海している運航船とやり取りをし、技術情報を収集、分析します。トラブル対策や安全確保、保守・修繕支援をして、海運業全体の発展に役立てています。
技術開発
環境保護や国際規則などが以前と比べて目まぐるしく変化しています。船舶を実際に造る上で多様化するルールに従って、技術開発を行います。高性能、信頼性、コスト評価などを行い、外国に負けない船づくりに力を入れています。

海運業界の海上職

貨物を船舶で輸送する際に、船舶を運航する役目が航海士、機関士です。近年は運航が自動化され、昔に比べると航海士や機関士の人数は減少しています。また、労働力の安い東南アジアからも航海士や機関士を採用し、コストを抑えています。

航海士
航海と荷役が主な仕事です。船を操り、貨物を守ります。航海士には階級があり、経験により昇進します。船舶の責任者は船長と呼ばれます。港湾管理者とのやり取りや船舶の運航管理など、幅広い業務を行います。船長は船舶の運航に関する最終判断を行います。
機関士
船内に巨大プラントを操るのが機関士の役目です。重要な任務はプラントの運用と保守点検です。メインエンジンや電気、水などの必要不可欠なプラントを点検、補修します。機関士にも階級があり、責任者は機関長と呼ばれます。機械やシステム、エンジンやプロペラなど船舶に関する細かい知識が必要です。
通信士
海上での他の船舶とのやり取りや陸上との連絡を担当するのが通信士です。
料理人
長時間の航海の場合、乗組員に料理を提供する料理人も必要です。

海運業界の現状と課題

燃料価格の高騰などのコスト増大

海運業界では基本的にコンテナ船とLNG船、その他の船舶を保有しています。それぞれ、輸送できる物が異なるためです。海運を行う企業では船舶の管理やメンテナンスのために莫大な費用がかかります。

また、近年は原油価格が高騰し、船舶で必要となる燃料の価格にも影響が出ています。そのため、運航コストやメンテナンスコストが増加し、経営の大きな負担となっています。

環境への配慮

省エネ製品が売れる時代、船舶も例外ではありません。環境に配慮した、かつ省エネ性能を搭載した機械に移行すべきであるとの動向が強まっています。

しかし、これは海運業にとっては難しい課題の一つでもあります。環境には優しいけれども性能が落ちてしまうのではという懸念点があるのです。性能が落ちれば、外国船との競争に負け、国内の企業が外国船で貨物を運んでしまう、という状況にもなりかねません。

今後は省エネで環境に配慮した、かつ性能は維持したままの機材の導入が必要となってくるはすです。

自己資本比率を維持する

海運業界は海外との貿易にも影響するため、景気の波を受けやすい業界だといわれています。日本からの輸出や海外からの輸入が減れば、その分、船が余ってしまいます。逆に好景気になれば、かなり頻繁に船舶を利用するため、海運業も盛り上がります。

しかし、安定感がないため、自己資本比率を高めに保つことが課題の一つでもあります。

海運業界へ転職を志望する際の注意点

海運業界は英語能力は必須

海上輸送を通じて、海外とのやり取りも多いため、英語は必須の能力です。主にライティング、リーディングを使います。書類関係で英文のものが多いため、速読+精読の力が必要です。

また、陸上系の業種でも海外とのやり取りが多いため、リスニングとスピーキングの力が必要となってきます。

したがって、英語の全てのスキルが仕事で必要となります。

海運業界の中でも主力の企業は難関

海運業界全体で見ると、リーマンショック後の立ち直りに時間がかかっており、一昔前に比べると業績は厳しい状況になっています。しかし、それでも年収が良いこと、専門的な分野であることなどから海運業自体は人気があります。大手3社は就職、転職ともに難関企業です。

平均年収は700〜800万円と他の業界と比べてもかなり上位を占めています。競争が激しく、優秀な人材が多いことから、狭き門だといわれています。

海運業界、海外赴任も覚悟をしておくべき

東洋経済によると、海外勤務者の数が多いのは三菱商事や三井物産などの総合商社やソニー、キャノンなどの大手電機メーカーが上位を連ねているようです。

しかし、海外勤務者の割合で見ると、海運業はかなり上位を占めています。貿易関連や国際協力機構(JICA)など元々海外との仕事がメインである会社や団体はもちろん、商船三井、川崎汽船などの海運業も海外赴任は免れません。

※参考 東洋経済

海運業界のまとめ

・海運業界とは海上での貨物の輸送を主に行う企業のこと
・国内の港から港へ輸送するルートを内航海運、海外の港と日本の港を結ぶルートを外航海運と呼ぶ
・海運業界には陸上職と海上職があるが、どの職種も英語は必須である
・燃料価格の高騰や環境経配慮した船舶の確保が難しい状況にある
・世界経済に左右されやすい業界なので、自己資本比率を維持するのが大きな課題の一つ
・海運業界を志望する人は海外赴任も視野に入れておく必要がある

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