この記事では「時差出勤」の意味や使い方について解説いたします。

昨今では導入する会社も増えてきましたが、未導入の会社に勤めている人にとってはあまり実感しにくい言葉かもしれません。

そこで今回は「時差出勤」のメリットやデメリット、導入に必要な事前準備や注意点なども含めて取り上げました。

それでは一つずつ確認していきましょう。

時差出勤とは


「時差出勤」とは、職場の全てまたは一部の始業時間と終業時間を変更する勤務形態です。

例えば始業時間8:30、終業時間17:30の会社が以下のような所定労働時間枠を設け、労働者の申し出あるいは会社指示により勤務時間帯を設定します。

  1. 8:00始業、17:00終業
  2. 9:00始業、18:00終業
  3. 10:00始業、19:00終業

時差出勤とフレックスタイム制の違い

「時差出勤」と似た言葉として、「フレックスタイム制」が挙げられます。

「フレックスタイム制」とは一定期間(清算期間)のうちあらかじめ決めた総労働時間の中で、労働者が自分の意思で始業時間や終業時間、1日の労働時間を決めることができる勤務形態です。

労働者の日々の都合や事情に合わせた出退勤を可能にし、ワーク・ライフ・バランスを向上させるメリットがあります。

したがって「時差出勤」よりも自由度が高い勤務形態であるといえるでしょう。

例えば1日のうち必ず勤務しなければならない時間帯(コアタイム)を定め、その前後の時間帯をフレキシブルタイムとします。

フレキシブルタイム中なら何時でも出社・退社しても良いのです。

またコアタイムは必ず設けなければならないというわけではありません。

全ての時間帯をフレキシブルタイムとすることも可能です。

時差出勤のメリット


「時差出勤」には、通常の出勤スタイルには見られないメリットがあります。

この項目では、そのメリットとして3つ取り上げました。

満員電車を回避できる

「時差出勤」すると、満員電車を回避できるというメリットがあります。

満員ラッシュの時間帯を外れているので、満員電車のストレスを避けて通勤することが可能です。

通勤による心身の負担を軽減することができるので、出勤後元気な状態で仕事に打ち込むことができるという効果も期待できるでしょう。

家庭と仕事を両立しやすい

家庭と仕事を両立しやすいというのも、「時差出勤」のメリットの一つです。

例えば共働きの夫婦で夫が「時差出勤」をしている場合、朝は夫が家事をやってから出勤し、夕方には妻が先に帰ってきて残りの家事をやる、といったことができます。

また小さな子どもがいる家庭であれば、子どもを幼稚園や小学校などに送ってから出勤するということも可能です。

時差のある国と時間を合わせやすい

「時差出勤」は時差のある国と時間を合わせやすいというのも、「時差出勤」のメリットです。

そうすると残業をしたりすることなく、海外の同僚や取引先などを円滑に仕事をすることができます。

例えば時差が1時間ある国であれば、1時間「時差出勤」することで労働時間を合わせることができるようになるというわけです。

時差出勤のデメリット

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「時差出勤」にはメリットだけではなく、デメリットも存在します。

この項目では、そのデメリットとして3つピックアップしました。

社員同士のコミュニケーションが少なくなる

「時差出勤」すると、社員同士のコミュニケーションが少なくなる可能性があります。

物理的に労働時間が一致しなくなるため、労働時間が完全に被っている場合と比較して顔を合わせる時間も短くなるということです。

また同僚などと一緒にランチしたり、仕事終わりに食事に行ったりすることも難しくなるかもしれません。

担当者不在により業務が滞ってしまう場合も

「時差出勤」では担当者不在により業務が滞ってしまう場合もあるのがデメリットの一つとして挙げられます。

例えば11時から出勤するその人しか分からない内容の仕事があった場合、9時から出勤した人は11時までその仕事を進めることができません。

また取引先などから連絡があった場合も、担当者が出勤してからでないとやり取りができないということがあり得ます。

もし取引先などからの連絡待ちになっている案件があるなら、事前に同僚などにその情報を共有しておくと良いかもしれません。

そうすることにより、実際に連絡があっても遅滞なく仕事を進めることができるようになるというわけです。

会社側の時間管理の手間が増える

「時差出勤」すると、会社側の時間管理の手間が増えるというデメリットがあります。

全員が同じ時間帯に働いていれば、定時後に残っている人は残業をしていると判断できますし、残業時間の管理も容易です。

しかし「時差出勤」をしている人が混じっていると、誰が残業していて誰が「時差出勤」しているのか一人ずつ確認しなければなりません。

残業時間に応じた賃金の計算や、所定の残業時間の上限に抵触していないかを管理なども煩雑になります。

またシフトを考えたりする手間が発生したりすることがあるかもしれません。

労務面での対策としてはタイムカードを導入したり、パソコンのシャットダウン時間を自動的に勤怠に反映させたりすることなどが考えられます。

時差出勤の導入に必要な事前準備


「時差出勤」の導入に際しては、入念な事前準備が必要です。

この項目では、「時差出勤」の導入に必要な事前準備として3つご紹介します。

時間をずらした勤務パターンをいくつか用意する

「時差出勤」の事前準備として、時間をずらした勤務パターンをいくつか用意することが必要です。

そうしないと誰が何時に出勤するのかといった労務管理ができず、トラブルや混乱を招く事態になりかねません。

また取引先から連絡があって担当者が不在だった場合、何時頃に折り返しの連絡ができるのかを伝えることができなくなります。

そのような事態を未然に防ぐためにも、時間をずらした勤務パターンをいくつか用意しておいた方が良いといえるでしょう。

時差出勤の対象となる労働者を設定する

「時差出勤」の対象となる労働者を設定するというのも、「時差出勤」を導入する上で必要な事前準備の一つです。

これを事前に設定していないと、誰がどの時間に出勤すれば良いのか分からず混乱が起こってしまうかもしれません。

また労務管理の面でも、煩雑な確認作業や管理問題を引き起こしてしまうことでしょう。

そういったことがないように、「時差出勤」の対象となる労働者を事前に設定しておく必要があるというわけです。

就業規則を改訂する

「時差出勤」の導入に際して、就業規則を改訂することも必要です。

始業および終業の時刻は就業規則の必須の記載事項として挙げられます。

従来の就業規則に始業・終業時間を変更できる旨の定めがない場合には、「時差出勤」の導入時に労使の話し合いによって決めた始業・終業時間について記載しなければいけません。

時差出勤を導入する際の注意点

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「時差出勤」を導入する際には、留意しておかなければならない注意点がいくつかあります。

この項目では、「時差出勤」を導入する際の注意点として4つ取り上げました。

深夜割増賃金を考慮する

もし「時差出勤」を導入したことによって深夜時間帯に働いてもらうことになった場合、深夜割増賃金を考慮することが必要です。

労働者が法定労働時間を超える労働や法定休日労働、22時以降の深夜労働をした場合、会社は労働者に対し、労働基準法第37条により定められた割増賃金を支払う必要があります。

また法定時間外残業が22時を超えた場合は時間外手当25%割増に加え、深夜残業として25%の深夜手当を合計した割増率で計算しなければなりません。

なお深夜割増賃金が発生する時間帯は22時から翌朝の5時までです。

これらは上述のように法律で定められており、違反することは許されません。

一斉休憩を適用除外とする手続きが必要

「時差出勤」の導入に際しては、一斉休憩を適用除外とする手続きが必要です。

会社は労働者の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合には1時間以上の休憩を労働時間の途中に与え、自由に利用させなければなりません。

休憩は全労働者に一斉に付与することが原則ですが、労使協定を締結(特定の業種については不要)することにより一斉付与は適用除外となります。

労務管理を効率化できる仕組みを整える

労務管理を効率化できる仕組みを整えることも、「時差出勤」の導入には必要だといえるでしょう。

例えば「時差出勤」に多くの時間枠を設定すれば、それだけ人事・労務担当者による労働者の勤怠管理にかかる工数が増えてしまうことが予想されます。

そのようなことがないよう、柔軟に対応できる労務管理システムの導入やタイムカード、あるいは「時差出勤」の申請や許可にかかる手順の電子化など、労務管理事務を簡略化する工夫が必要です。

社内コミュニケーション確保のための対策

社内コミュニケーション確保のための対策も「時差出勤」の導入に際して考える必要があるでしょう。

先述のように、「時差出勤」のデメリットとして社員同士のコミュニケーションが少なくなることが挙げられます。

業務の連携や人間関係を円滑にするためにも、社内コミュニケーション確保の対策はしておいた方が良いということです。

まとめ この記事のおさらい

  • 「時差出勤」とは職場の全てまたは一部の始業時間と終業時間を変更する勤務形態
  • 「フレックスタイム制」とは一定期間(清算期間)のうちあらかじめ決めた総労働時間の中で、労働者が自分の意思で始業時間や終業時間、1日の労働時間を決めることができる勤務形態
  • 時差出勤のメリットは満員電車を回避できること、家庭と仕事を両立しやすいことなどが挙げられる
  • 時差出勤のデメリットは社員同士のコミュニケーションが少なくなること、会社側の時間管理の手間が増えることなどが考えられる
  • 時差出勤の導入に必要な事前準備としては、時間をずらした勤務パターンをいくつか用意すること、時差出勤の対象となる労働者を設定することなどがある
  • 時差出勤を導入する際の注意点として深夜割増賃金を考慮すること、労務管理を効率化できる仕組みを整えることなどが挙げられる