この記事では「アーリーリタイア」について解説いたします。
昨今よく取り上げられるようになった言葉ですが、まだ十分に認知されているとは言い難いかもしれません。
そこで今回は「アーリーリタイア」のメリットやデメリット、必要な資金や考えておくポイントなども交えてピックアップしました。
目次
アーリーリタイアとは
「アーリーリタイア」とは定年を待たずに「早め(アーリー)」に「退職・引退(リタイア)」することを意味し、「早期リタイア」などとも呼ばれます。
具体的には定年退職を迎える前を指しますが、現在の一般的な正規雇用の定年は60歳または65歳です。
それよりも前に自らの意思で退職したならば、「アーリーリタイア」といえるでしょう。
「アーリーリタイア」と「セミリタイア」の違い
「アーリーリタイア」の中には、完全に仕事を辞めるのではなくアルバイトや投資などで最低限の収入を得つつ自由な時間を過ごす「セミリタイア」というスタイルもあります。
貯蓄だけで生活をするのが不安だったり、社会との接点が少なくなってしまうのが怖かったりする人には「セミリタイア」の方が良いかもしれません。
アーリーリタイアのメリット
この項目では、「アーリーリタイア」のメリットとして3点取り上げました。
仕事をするストレスがなくなる
「アーリーリアイア」すると、仕事をするストレスがなくなります。
例えば満員電車や長時間労働、職場での人間関係や理不尽な社命などから一切解放されるということです。
どんなに仕事が好きな人でも少なからずストレスは受けるものですから、そのストレスがなくなるのは大きなメリットだといえるでしょう。
自由な時間が生まれる
これまで仕事をしていた時間がなくなるわけですから、その分自由な時間が生まれます。
好きなだけ趣味に打ち込んだり、自由なタイミングで旅行したりして過ごすこともできるでしょう。
好きな時に好きなことをできるのも、「アーリーリタイア」のメリットです。
自分の好きなこと・やりたいことを優先できる
自分の好きなことややりたいことを優先できるのも「アーリーリタイア」ならではのメリットだといえます。
これまで仕事の関係で断念していたことがあるという人も少なからずいるでしょう。
「アーリーリタイア」をすれば、そういった制約に縛られることもありません。
アーリーリタイアのデメリット
「アーリーリタイア」は良いことばかりではなく、マイナスな点ももちろんあります。
この項目では、「アーリーリタイア」のデメリットを3つピックアップしました。
仕事で得ていた収入がなくなる
「アーリーリタイア」をすると、仕事で得ていた収入がなくなってしまいます。
何か別の収入源がない限りお金は減っていく一方ですから、生涯暮らしていけるだけの十分な蓄えが必要です。
また突発的に大きな支出が発生した時などに不安を覚えることがあるかもしれません。
人間関係が希薄になり孤独感を感じやすい
仕事をしていれば職場や取引先の人などと接する機会もありますが、「アーリーリタイア」をするとそういった接点がなくなります。
その為人間関係が希薄になり孤独感を感じやすいというのはデメリットです。
仮に接点を持てたとしても、仕事をしている人とは話の内容や考え方が合わないといったことが起こるかもしれません。
社会的な信用度が下がる
仕事をしていないと、どうしても社会的な信用度が下がってしまいます。
例えば賃貸マンションを契約したりローンを組んだりしようとしても断られてしまう可能性が十分にあるということです。
アーリーリタイアに資金はいくら必要?
安定した収入がない「アーリーリタイア」には、今後生活をしていけるだけの潤沢な資金が必要です。
この項目では、「アーリーリタイア」に資金がいくら必要なのかを年代別に取り上げました。
なお各年代の共通の前提条件は以下の通りです。
・生活費は65歳までは年間360万円、65歳~90歳までを年間300万円として計算する
・35歳に退職した場合の年金額は基礎年金80万円×2、厚生年金20万円(平均標準報酬額30万円10年間勤務)として計算する
・45歳に退職した場合の年金額は基礎年金が同上、厚生年金40万円(平均標準報酬額30万円20年間勤務)として計算する
・55歳に退職した場合の年金額は基礎年金が同上、厚生年金60万円(平均標準報酬額30万円30年間勤務)として計算する
30代でアーリーリタイアを目指す場合
仮に35歳で「アーリーリタイア」を目指す場合、65歳までは360万円×30年間=1億800万円、65歳以降は(300万円-年金収入180万円)×25年間=3000万円、合計1億3800万円必要です。
大学卒業後の23歳から働いたとして、12年間で毎年1150万円のペースで貯金し続けなければ到達できません。
その為30代での「アーリーリタイア」はかなり難しいといえます。
40代でアーリーリタイアを目指す場合
45歳で「アーリーリタイア」を目指すなら、65歳までは360万円×20年間=7200万円、65歳以降は(300万円-年金収入200万円)×25年間=2500万円、合計9700万円が必要になってきます。
30代よりは現実的ですが、40代で1億円弱の貯蓄を持てる人もそれほど多くはいないでしょう。
50代でアーリーリタイアを目指す場合
例えば55歳の場合、65歳までは360万円×10年間=3600万円、65歳以降は(300万円-年金収入220万円)×25年間=2000万円で合わせて5600万円です。
23歳からの32年間で年間175万円、毎月14.6万円貯金を続けられれば貯められます。
あとは家族構成や出費の多寡などによって上記の数字は変わってくるので、大まかな目安にしていただけると幸いです。
アーリーリタイアに向けて考えておくべきポイント
一度「アーリーリタイア」をすると、何かあった時に容易に仕事をすることができなくなるかもしれません。
そこでここでは、考えておくべきポイントを3つご紹介します。
家族構成を踏まえて必要な資金を計算する
親や配偶者、子どもなど家族構成によって必要な資金は大きく変わります。
特に子どもは何かとお金がかかるので、余裕を持って計算した方が良いでしょう。
アーリーリタイア後の収入源を確保する
「アーリーリタイア」後に収入源が全くないと、貯蓄が減っていく一方になってしまいます。
不動産投資などの不労所得など、何か収入源を確保しておいた方が安心です。
自由な時間でなにをしたいのかを考える
いざ自由な時間ができたとして、なにもしたいことがなければ毎日が退屈になってしまうものでしょう。
そうならないように、自由な時間でなにをしたいのか考えておくことが重要です。
まとめ この記事のおさらい
- 「アーリーリタイア」とは定年を待たずに「早め(アーリー)」に「退職・引退(リタイア)」することを意味し、具体的には定年前に退職することを指す
- 「アーリーリタイア」と異なり、「セミリタイア」は完全に仕事を辞めるのではなくアルバイトや投資などで最低限の収入を得つつ自由な時間を過ごすことを意味する
- 「アーリーリタイアのメリット」として、仕事をするストレスがなくなったり自由な時間が生まれたりすることが挙げられる
- 「アーリーリタイアのデメリット」は、仕事で得ていた収入がなくなったり、人間関係が希薄になり孤独感を感じやすかったりすることが考えられる
- 「アーリーリタイア」には多くの資金が必要で、例えば35歳では1億3800万円は必要だと試算できる
- 「アーリーリタイアに向けて考えておくべきポイント」として、家族構成を踏まえて必要な資金を計算したり「アーリーリタイア」後の収入源を確保したりすることが挙げられる