ここでは四字熟語の「自画自賛」について解説いたします。「自画自賛」という言葉はビジネスや日常生活でシーンを問わずよく使われます。一方で、「自画」と「自我」を混同した誤記や誤用も少なくありません。

そこで本校では「自画自賛」の正しい意味と使い方をはじめ、由来や類義語・対義語、英語表現にいたるまで多角的な視点から詳細に解説いたします。意味や由来を知ることで誤字や誤用を予防することができます。どうぞ最後までお読みください。

「自画自賛」の読み方・意味・使い方


「自画自賛」は「じがじさん」と読みます。意味は「自分が描いた書画に自分で賛辞を書き記すこと」。現代ではそれが転じて「自分の行為や発案などを自分で誉め称えること」という意味の故事成語として定着しています。

ちなみに「自画自賛」は「自画自讃」とも書きますが、「讃」は旧字で常用漢字に含まれないため、公文書やマスコミ等の報道記事では「賛」に置き換えて「自画自賛」と表記するのが基本になります。

「自画自賛」の由来


「自画自賛」という言葉は、古代の東洋画に詩歌や賛辞を書き記した「画賛」という書に由来します。「画賛」は画家が絵画の着想を得た詩歌や、絵画に関する記録などを画面に加筆することで、「賛」ともいいます。

「画賛」や「賛」は画家の作品に他の書家や文人が書きしるすのが一般的ですが、画家自身が書き入れることもあります。それを「自画賛」「自画自賛」といい、現在に伝わる「自画自賛」の由来となっています。

もともと「画讃」は「絵に書き添える詩文」のことで賛辞ではありませんが、「讃(賛)」という漢字に「褒める」という意味があるため、「自画自賛」もやがて本来の意味を離れて「独りよがりな自慢」をあらわすようになったと考えられます。

「自我自賛」は誤用


「自画自賛」を使うときに注意したいのは、「自画」を「自我」と間違えやすいこと。スマホやPCでは変換候補の順位によって「じが」=「自我」と自動変換されることが多く、SNSやメールで「自我自賛」という誤用を増やす要因となっています。

手書きでも「じが」=「自我」という誤用はよくあります。前述したように「自画自賛」の『じが』とは自分が描いた絵画のことです。その由来をしっかり覚えておけば、いざというときに誤字や誤解の予防ができます。

「自画自賛」のビジネス上での使い方

敬称
すでに述べたように「自画自賛」の意味は「自分の行為や発案を自分で誉め称えること」。一般的な使い方は、語尾に動詞の「する」をつけて「自画自賛する」と表現すること。ビジネスシーンはもちろん日常会話でもよく使われます。

ビジネス上では「自分の仕事ぶりや意見、発案などを自分で称賛すること」という意味で使われるのが基本。このような自己アピールは海外では常識的ですが、日本では自己顕示的な態度は嫌われることが多く、言動には注意しなければなりません。

「自画自賛」のビジネス上での例文

彼の履歴書には小学校から大学まで全て『優秀な成績で入学・卒業』と書いてあるんだが、履歴書で自画自賛する人もめずらしいね。
自社商品の営業トークでメリットばかりを強調しても、お客様には自画自賛としか思われないだろう。

「自画自賛」の類義語と例文

スキーマ
「自画自賛」と同じ意味の類義語としては「手前味噌」があげられます。「手前味噌」とは「自家製味噌」のこと。昔は各家庭で味噌を手作りしていたことから「うちの味噌が一番うまい」と自慢する意味の言葉になったと考えられます。

また「独善」や「自己顕示」も自画自賛に意味が類似する言葉になります。「独善」は「独り善がり(ひとりよがり)」と同じ意味で、自分の考えや行動が正しいと思い込み、他人の意見を無視して顧みないことをあらわします。

「自己顕示」は大勢の人を相手に自分の存在をことさらに目立たせようとすることを意味する言葉です。「独善」も「自己顕示」も身勝手なニュアンスが強く、「自分で自分を褒める」という意味はありません。その点が自画自賛とのちがいになります。

手前味噌の例文

手前味噌なお話ではございますが、弊社の新商品は予想を上回る売れ行きで、昨年末の発売以来、品薄状態が続いております。

「自画自賛」の対義語と例文

検討
「自画自賛」と逆の意味を持つ対義語には「自己批判」と「自己卑下」があります。まず「自己批判」は「自省」や「反省」の意味に誤解されがちですが、心理学では自己アイデンティティが崩壊して自分の誤りをみずからきびしく批判することをいいます。

たとえば新興宗教のマインドコントロールや、権力組織の強引な取り調べでは、相手の過ちを強制的に認めさせて公開の場で告白させたり、大勢でとがめたりすることで自我を萎縮させ、強い自己嫌悪を誘発させるという心理操作を行います。

この場合、「過ち」が事実かどうかは問題ではありません。反省や自白を強要された人はやがてストレスで自我が崩壊し、「私が誤っていた」「私が悪かった」という自己否定の概念にとらわれるあまり、やってもいない罪を認めてしまうことになります。

このような自我の崩壊や萎縮から「私が誤っていた」「私が悪かった」と思い込んでしまう精神状態のことを「自己批判」といい、重度のうつ病患者にも同様の傾向があることが知られています。

「自己批判」という言葉は単なる「反省」や「自省」の意味と誤解されがちですが、本来の意味は「反省」や「自省」とは全く別で、自分自身を否定的に評価する心理作用をあらわす専門用語です。

最後の「自己卑下(じこひげ)」は「自分は他の人よりも劣っていると考えること」。「自己批判」のように「自分は間違っていた」と思い込むのではなく、「自分には存在する価値がない」とか「人より劣っている」と思い込むことをいいます。

「自己批判」の例文

その教祖は信者全員を郊外の施設に隔離して社会的に孤立させ、「修養」と称する自己批判を強要した。

「自画自賛」の英語表現

MBA
「自画自賛」の英語表現としては「賞賛」を意味する「praise」を使った「praise oneself」「self-praise」「sing one’s own praises」があげられます。

ただし「praise」を使う表現は、現代ではやや型式ばったニュアンスになります。

「自画自賛」の口語的な表現としては「自分で自分のホルンを吹く」という意味の「blow one’s own horn」が一般的です。日本語の「ほら吹き」とは意味がちがいますのでご注意ください。

たとえば「Dad blew his own horn.」は「父は自画自賛した。」という意味。「父がほらを吹いた(嘘をついた)」という意味ではありません。

ほかには「自分で自分の肩をたたく」という意味の「pat oneself on the back」も「自画自賛」と同じ意味になります。

まとめ

  • 「自画自賛」は「自分の行為や発案などを自分で誉め称えること」を意味する故事成語です。
  • 「自画自賛」の語源は自分が描いた絵に自筆の賛を記すことで、自慢の意味ではありませんでした。
  • 「自画自賛」の類義語には「手前味噌」があります。
  • 「自画自賛」の対義語には「自己批判」「自己卑下」があります。
  • 「自画自賛」の英語表現には「praise oneself」「self-praise」「blow one’s own horn」などがあります。