「海事代理士」は普段あまり見聞きすることのない職業ですが、海運業界で働く人や個人で船舶を所有している人は必ずお世話になる存在です。

この記事では「海事代理士」について、仕事内容、必要な資格や試験の難易度、活躍の場などを中心に解説します。

海事代理士とは

静謐
海事代理士は、法人や個人から依頼を受けて、船舶や船員に関わる申請や登記などに必要な書類作成と手続きをする仕事です。海上航海に関する法律と手続きの専門家という役割から、「海の法律家」「海の行政書士」のように呼ばれることもあります。

海事代理士の仕事内容

海事代理士は、船舶や船員に関する申請、届出、登記に必要な書類の準備と手続きを行います。

船舶に関する手続きの主なものは登記関係です。
大型の船舶は、新しく作られたり持ち主が変わった際には登記が必要になります。建造、売買、相続などで登記が必要になった場合には、海事代理士が必要書類の作成と手続きを行います。

船員に関する手続きは、船員手帳の交付や書換、乗組員の雇入届出など船員法関係の諸手続きです。
モーターボートやヨット、水上オートバイなどの操縦をするには免許が必要です。この免許は5年に1度の更新が義務付けられていますが、免許更新に必要な書類の準備、手続きを行います。

その他、旅客船事業、船舶による貨物運送事業、港湾荷役や造船業などの許認可、登録等に関わる手続きもあります。

海事代理士になるには

履歴書 A4 2枚

「海事代理士試験」に合格する

海事代理士は国家資格です。海事代理士になるためには「海事代理士試験」に合格し、海事代理士として登録することが必要です。

「海事代理士試験」は年1回、全国の主要都市で実施されます。試験内容は「筆記」と「口述」があり、筆記試験に合格した人、および筆記試験合格者と前年の筆記試験合格者で筆記試験免除の申請をした人が口述試験に進みます。

試験の内容の詳細、受験資格、合格基準は次の通りです。

▼試験の内容

1.筆記試験

・一般法律常識(概括的問題)
憲法、民法、商法(第3編「海商」のみ対象)

・海事法令(専門的問題)
国土交通省設置法、船舶法、船舶安全法、船舶のトン数の測度に関する法律、船員法、船員職業安定法、船舶職員及び小型船舶操縦者法、海上運送法、港湾運送事業法、内航海運業法、港則法、海上交通安全法、造船法、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律、国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律(国際港湾施設に係る部分を除く。)、領海等における外国船舶の航行に関する法律、船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律及びこれらの法律に基づく命令。

2.口述試験

・海事法令
「船舶法」「船舶安全法」「船員法」「船舶職員及び小型船舶操縦者法」

▼受験資格

学歴、年齢、性別等による制限なく、誰でも受験することができます。ただし、下記に当てはまる場合は、試験に合格しても試験に合格しなくても海事代理士の登録をすることはできない規定があります。

1.未成年者
2.禁錮以上の刑に処せられた者であって、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなってから二年を経過しないもの
3.国家公務員法、国会職員法、地方公務員法の規定により懲戒免職の処分を受け、当該処分のあった日から二年を経過しない者
4.第二十五条第一項の規定により登録の抹消の処分を受け、その処分の日から五年を経過しない者
5.心身の故障により海事代理士の業務を適正に行うことができない者として国土交通省令で定めるもの

▼合格基準

筆記試験:20科目の総得点240点の60%以上の得点
口述試験:4科目の総得点40点の60%以上の得点

※筆記試験に関しては、全科目受験者の平均正答率が60%を上回る場合には平均正答率以上の得点をあげた人を合格とします。

海事代理士試験の難易度はどれくらい?

2019年の海事代理士試験の結果は、次のようになっています。

筆記試験:受験者数[288名] 合格者数[156名] 合格率[54.2%]
口述試験:受験者数[165名] 合格者数[97名] 合格率[60.6%]

口述試験の受験者には前年の筆記試験合格者の9名が含まれるため、最終的な合格率を正確には出せませんが、仮に288名中97名が合格したとすると、合格率は約34%となります。

2/3の人が不合格ですので決して難易度が低いものではありませんが、同じように手続き関係の代行を行う行政書士試験の合格率が10%前後なのと比較すると、海事代理士の方がだいぶ合格率が高くなっています。

海事代理士試験は受験者数も少なく専門のスクールもありません。海事六法や国土交通省のサイトで公開している過去問題等を利用して試験対策をすることになるでしょう。

海事代理士事務所の求人は少ない

海事代理士は海洋に関する仕事に関わる人にはなくてはならない存在ですが、一般的にはさほどメジャーな職業とはいえません。

行政書士と比べてみると、海事代理士試験の合格者は毎年100名~150名前後、行政書士試験の合格者は4,000名~5,000名前後と、人数に大きな差があります。

実態としては、海事代理士の資格を持つ人が海事代理士の仕事一本だけで生活していることはあまりなく、行政書士などの業務と兼業している人がほとんどです。

海事代理士専門の事務所もありますが、数が少ないうえに個人で経営する小規模な事務所が多いため、海事代理士専門の事務所の求人は非常にレアなものになっています。

海事代理士を目指すのであれば、初めから海事代理士一本でというよりは、行政書士や社会保険労務士の資格を取って働きながら、プラスアルファとして海事代理士の資格も取得し、業務の範囲を広げるというのもやり方のひとつです。

自分で事務所を開いて独立することもできますが、その際にも「海事も請け負える行政書士」ということが強みになります。

海事代理士の年収

失業手当 計算
海事代理士はそもそもの人数が少ないということや、行政書士などと兼業している人がほとんどだということから、海事代理士だけの給料が分かりにくくなっています。

行政書士の年収を参考に考えると、兼業で海事代理士をしている人の年収は、おおよそ500万円前後がメインといえるのではないでしょうか。

海事代理士の勤務体系と休日

チルアウト
海事代理士は法律に関する手続きを行う仕事なので、基本的には官公庁が開いている、平日の日中が仕事時間になります。

行政書士事務所などに勤務する場合も、基本的に平日の9:00~18:00位までが勤務時間のところが多いでしょう。ゴールデンウィークなど、官公庁が閉まるときは行政書士事務所も休みとなるのが一般的です。

クライアントとの打ち合わせがあれば相手の都合に合わせることになりますが、いずれにしても仕事が深夜に及ぶようなことはないと考えてよいでしょう。

海事代理士の将来性

ニアミス
海の法律に関するプロフェショナルである海事代理士は、海運がなくならない限り、常に一定の重要がある仕事です。

ただ、需要が急減することがない代わりに、急増することも考えにくいといえます。近年では経済的な理由から、日本の海運会社が外国籍の船舶を使って運航するケースも増えているようで、海事代理士の仕事は少しずつ減ってきている現状もあります。

独立して海事代理士の仕事をメインにやっていくには、海運会社と太いパイプを持っているなどの強みがないとなかなか厳しいことが予想されます。

海事代理士の仕事を長く続けていくためにも、兼業できる資格を取得しておくことが必要でしょう。

海事代理士がおもに勤める場所

喧々諤々
海事代理士は、海事代理士で働く、行政書士事務所などで働く、独立開業する、が主な働き方です。ほかには、海事代理士の資格を活かして、海運会社で働く道もあります。

いずれにしても海事代理士の仕事だけで生活を立てている人は非常に少なく、ほかの仕事と兼業をしているのが実際のところです。

事務所に就職するにしても独立開業するにしても、海事代理士の資格と合わせて、行政書士や社会保険労務士の資格を取得しておいて損はありません。

まとめ この記事のおさらい

  • 海事代理士は、船舶や船員に関わる申請や登記などに必要な書類作成と手続きをする仕事です。
  • 海事代理士になるためには「海事代理士試験」に合格し、海事代理士として登録することが必要です。
  • 海事代理士試験は一次試験の筆記と二次試験の口述に分かれています。
  • 2019年度の海事代理士試験の合格率は、筆記が54.2%、口述が60.6%でした。
  • 海事代理士は専業の人は少なく、行政書士などと兼業している人がほとんどです。
  • 海事代理士の仕事がなくなることは考えにくいですが、需要は少しずつ減少しているのが現状です。
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