会社員は、年末になると給与明細とは別に所得額などが記載された書類を会社から渡されます。これが源泉徴収票です。
チラッと見て済ませてしまう人も多いと思いますが、確定申告など源泉徴収票が必要になるケースもあります。

この記事では、そもそも源泉徴収票とはどんなものなのか、いつもらえるのかといった基本的なことから、必要になるシチュエーションや無くした場合の対処などを分かりやすく説明します。

源泉徴収票とは

建築士
源泉徴収票とは、1年間に会社から支払われた給与や差し引かれた所得税の額などが記載された書類のことです。
所得には額に応じた所得税がかかりますが、これを毎月の給料や賞与から会社が天引きすることを源泉徴収といいます。今年はいくら給与が支払われて、所得税はいくら天引きされたのかが源泉徴収票でわかります。

源泉徴収票で特にしっかり確認したい項目は、本人の住所氏名のすぐ下の1行にある次の4つです。

1.支払金額
その年の給与や賞与の合計額です。いわゆる税込年収といわれるのがこの金額です。
ここから税金や保険料が引かれたものが手取年収です。

2.給与所得控除後の金額
税金や保険料は所得額によってかかる割合が決まっていますが、上記1.の支払金額全額に対して税金がかかるのではなく、給与所得控除額が差し引かれます。

給与所得控除は所得額によって決められています。
例として、税込年収(1.の支払金額のこと)が360万円以上660万円以下の場合は[支払金額×20%+440,000円]が給与所得控除です(令和2年度)。税込年収が400万円であれば、給与所得控除額は124万円となります。

3.所得控除の額の合計額
給与所得控除額のほかに、控除される金額を合計したものです。
どんなものが所得控除に含まれるかというと、まず誰にでも一律に適用される基礎控除があります。令和2年の基礎控除は48万円です。そのほかには、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除、地震保険料控除などが含まれます。

給与から天引きされているもの以外、個人で支払っている生命保険や地震保険など、また配偶者や扶養家族の有無などは、年末調整の資料に記入して会社に申告します。

4.源泉徴収税額
その年の所得税の金額です。
「2.給与所得控除後の金額」から「3.所得控除の額の合計額」を引いたものが課税所得金額で、この額に所得税の税率を掛けたものがその年の所得税額(源泉徴収税額)です。

税率は課税所得金額によって決まっていて、例として課税所得金額が195万円以上330万円以下の場合なら税率は10%です。

源泉徴収票が渡される時期に年末調整が行われますが、年末調整についても簡単に説明をしておきます。

年末調整とは、給与から源泉徴収した所得税額の過不足を年末に調整することです。

所得税額はその年の所得額と控除額が確定して初めて正確な額が決まります。毎月の給料や賞与から天引きされているのは、実は「おおよそこのくらいになるだろう」という暫定的な金額なのです。年末に所得税額が確定したところで、実際に天引きした金額と照らし合わせ、多く徴収していれば還付を、不足があれば追加徴収を行うのが年末調整です。

源泉徴収票はいつ必要になる?

退職 挨拶
源泉徴収票は自分で内容を確認するだけではなく、手続きなどで必要になるタイミングがあります。代表的なケースを紹介します。

転職する時

年の途中で退職して別の会社に再就職をした場合には、前職の会社から源泉徴収票をもらって転職先の会社に提出する必要があります。そうすると転職先の会社で、前職の源泉徴収を合算した形で年末に源泉徴収票を発行してくれます。

もし、退職をした年に再就職をしなかった場合については、自身で確定申告をしなくてはなりません。

確定申告を行う時

確定申告を行うときにも源泉徴収票が必要です。

平成31年度からは、国税関係手続の簡素化が図られたため、確定申告書の提出時に源泉徴収票を添付する必要がなくなりました。しかし、確定申告書には源泉徴収票の内容を記入する必要があります。確定申告をする予定がある人は、源泉徴収を捨てたり無くしたりすることがないように気を付けましょう。

会社員が確定申告が必要なケースとしては次のようなものがあります。

年収が2,000万円を超える場合
給与の収入金額が2,000万円を超える人については年末調整が行われませんので、確定申告をする必要があります。

副業による収入が20万円を超えた場合
源泉徴収の対象となる給与を2か所以上から受けていて、年末調整されなかった額が20万円を超えると確定申告の必要があります。

医療費控除を受ける場合
年間の医療費が10万円を超えた場合(生計を一にする配偶者やその他の親族の分を含む)は、確定申告をすることで医療費控除を受けることができます。

その年に、健康診断や予防接種などセルフメディケーション税制の対象となる費用を支払った場合は、セルフメディケーション税制を適用して所得控除を受けることもできます。医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらか一方のみ適用することができます。

住宅ローンの審査や、誰かの扶養親族になる時

住宅ローンを組んだり、結婚などライフステージの変化により、誰かの扶養家族になるときにも源泉徴収票が必要です。

住宅ローンを組む際には収入証明として源泉徴収票の提出を求められるのが一般的です。誰かの扶養家族になる場合にも、収入条件に合致しているかの確認が必要なため、源泉徴収票が必要です。

住宅ローンを組んだ場合には、住宅ローン控除も受けることができます。住宅ローン控除を適用するには、ローンを組んだ年に確定申告をする必要があります。初年度に確定申告を行っておけば、2年目からは年末調整に含まれるので確定申告は不要です。

源泉徴収票はいつもらえる?

社会保険
源泉徴収票は1年間の給料が確定しないと作成することができません。給料が確定して年末調整が行われた後に発行、配布されますので、会社から源泉徴収票をもらうタイミングは12月末もしくは1月となります。

会社は翌年の1月31日までに源泉徴収票を税務署へ提出しなければならないとされていますので、遅くとも1月中には配布されるはずです。

退職している場合のもらうタイミング

退職した場合は、その年の1月1日から退職日までの源泉徴収票が発行されます。退職した後に発行されますので、一般的に郵送等で届くことになるでしょう。

1か月ほどしても届かない場合には、会社に連絡をして「源泉徴収票をください」と依頼すれば対応してもらえます。

源泉徴収票をもらえないケース

したたか
会社員として雇用主から給与をもらっていれば源泉徴収票をもらえます。しかし、個人事業主やフリーランスの人は会社に雇用されているのではなく、請負契約や業務委託で仕事をしていることになります。この場合の収入は給与所得ではないので、源泉徴収票は発行されません。

個人事業主やフリーランスでも、業務の種類によっては源泉徴収の対象となります。

イ 原稿料や講演料など
 ただし、懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等については、一人に対して1回に支払う金額が5万円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。

ロ 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金

ハ 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬

ニ プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金

ホ 映画、演劇、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金

ヘ ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金

ト プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金

チ 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
(国税庁HPより引用)

個人事業主やフリーランスは、源泉徴収がされた場合にも年末調整はありません。所得税の過不足を調整するには、自身で確定申告することが必要です。

源泉徴収されている場合にも源泉徴収票は発行されませんが、年末に支払調書がもらえる場合もあります。しかし、支払調書は必ずもらえるものではありませんので、報酬と源泉徴収の額は日頃から自分で記録しておくことが必要でしょう。

勘違いしやすいのは、自分はアルバイトだから源泉徴収票はもらえないのではないかと思ってしまうことです。源泉徴収票は会社に雇用されているのであれば、正社員だけでなくパートやアルバイトの人ももらうことができます。もしもらっていなければ、遠慮なく会社に問合せをしてみましょう。

会社が源泉徴収票を発行しない場合はどうする?

源泉徴収票がもらえない場合、在職中なら翌年の1月末まで、退職した会社なら退職日から1か月を目安に会社に催促をしてみましょう。

それでも発行してくれな場合には、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出するのが得策です。この源泉徴収票不交付の届出書が税務署に届くと税務署から会社に指導が入ります。税務署から指導が入ればたいていの会社は源泉徴収票を発行してくれます。

源泉徴収票を無くした場合の対処法

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源泉徴収票が必要になったがどこを探しても見つからない、どうやら無くしてしまったようだ、という場合は、会社に再発行の依頼をすれば大丈夫です。「源泉徴収票を紛失したので再発行をお願いします」と伝えれば問題ありません。

まとめ この記事のおさらい

  • 源泉徴収票は1年間に会社から支払われた給与や差し引かれた所得税の額などが記載された書類です。
  • 源泉徴収票の4項目「支払金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」でその年の収入と控除額、所得税が分かります。
  • 源泉徴収票は、転職する時、確定申告を行う時、住宅ローンの審査、誰かの扶養親族になる時などに必要です。
  • 源泉徴収票は12月末もしくは1月に配布されます。
  • 退職した場合は退職日から1か月のうちには届くのが一般的です。
  • 個人事業主やフリーランスは年末調整がなく源泉徴収票をもらいません。
  • 源泉徴収票を会社が発行してくれない場合は、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出するという方法があります。
  • 源泉徴収票を紛失した場合は会社に再発行を依頼しましょう。