この記事では、「視能訓練士」の意味やなり方、勤務場所、年収、勤務体系、将来性について解説します。

「視能訓練士」という職業をご存じですか?なんとなく目に関係する仕事とは想像できても具体的に何をするのかわかりませんね。

「視能訓練士」は医療機関の目に関する分野では必要不可欠な仕事です。この記事を通して、「視能訓練士」に関する知識を学び、職業の選択肢を広げてください。

視能訓練士とは

「視能訓練士」とは、病院などの医療機関において視機能の検査や矯正可能な視力障害者視力回復をおこなう国家資格を持つスペシャリストのことです。

視機能訓練士の国家資格は、1971年施行された「視能訓練士法」によって誕生しました。
この法律は、資格訓練士の資格を定めるとともに、視機能訓練士の業務が適正に運用され、医療の普及および向上を目的としています。

昭和初期において、日本の弱視・斜視・両眼視に関する知識や医療技術は、欧米と肩を並べるものでしたが、第二次大戦後は大きく衰退してしまいました。
しかし、1955年に大型弱視鏡が寄贈されたことを契機に再び注目され、1957年には日本初の視能訓練士が誕生。1960年代には次々と全国各地に視能訓練士が登場したのです。

そして、日本弱視斜視研究会(現・日本弱視斜視学会)を中心に眼科医たちが、視能訓練士の身分を制度化することを行政に働きかけ、視能訓練士法への道が開かれました。

以来、視能訓練士の有資格者は増え続け、2019年3月31日現在で、16,199名に達しています。

視能訓練士の仕事内容

視能訓練士の仕事には、「視機能検査」「視能矯正」「検診業務」「視力低下者のリハビリ指導」があります。

〇視機能検査
人の目には複雑でさまざまな機能があります。視能訓練士は、眼科医などの指示のもと遠視、近視、乱視、白内障、緑内障などの検査や目の画像診断検査、正確な手術をおこなうための手術前検査などをおこないます。
さらに、眼鏡やコンタクトレンズなどを作る際の検査も大切な仕事のひとつです。
〇視能矯正
「見る力」は8歳までに決まると言われています。視機能の異常は早めに発見して治療することが大切です。視能訓練士は、お子様の斜視や弱視、眼筋麻痺などの検査を実施し、視力の向上や両眼視機能を回復させる視力訓練をおこないます。
〇検診業務
視機能の異常を早期に発見するには、集団検診などを積極的に受けることが重要です。
視能訓練士は、3歳児健康診断や就学時健康診断、生活習慣病検診などに参加し、お子様から大人まで幅広い検査をおこなっています。
〇視力低下者のリハビリ指導
高齢による白内障や生活習慣病での目の合併症などによる視力低下者が増えています。
この視力が低下した人をフォローするのも視能訓練士の重要な仕事です。ひとりひとりの生活パターンなどをヒアリングして、その人に合ったリハビリの方法を指導します。

視能訓練士の仕事の大変なこと

視能訓練士は、視力に関するプロフェッショナルでやりがいのある仕事ですが、その分大変なこともあります。
もっとも大変なことは、精度の高い検査結果が求められることです。患者さんに合わせた検査を迅速かつ的確におこなわなければなりません。また、医療技術は日々進化しています。常に最新の知識や技能を身につけなければなりません。

また、患者さんの悩みを解消させてあげるのも視能訓練士の大切な仕事ですが、全ての患者さんの悩みを正確に聞き取ることは容易ではありません。さらに、連携する眼科医とのコミュニケーションも不可欠で、患者や医師との人間関係に疲れてしまう視能訓練士も少なくありません。

視機能の回復をサポートしても、なかなか改善されない場合もあります。コミュニケーションが円滑でも、結果が伴わないのは精神的に辛いことです。
常にタフな心を維持しなければならないのも大変ですね。

現役の視能訓練士の悩みのひとつに、「知名度の低さ」があげられます。一般の人に「視能訓練士」といっても、どんな仕事をしているのか理解されにくいのです。具体的な説明をするのが面倒で「看護師」や「眼科関連の仕事」と言っている人も多いようです。

視能訓練士になるには

興味があるからと言って、すぐに視能訓練士にはなれません。視能訓練士法という法律に従って、視能訓練士の国家試験に合格しなければなりません。

「視能訓練士国家試験」の合格が必要

視能訓練士の国家試験は、厚生労働省主管で毎年2月、東京都および大阪府にて実施。
試験科目は、「基礎医学大要」「基礎視能矯正学」「視能検査学」「視能障害学及び視能訓練学」の中から出題されます。

受験には、「受験願書」「写真」「返信用封筒」「受験資格を証明する書類」が必要で、受験手数料が15,800円かかります。受験手数料は、同額の収入印紙を受験願書に貼り付けます。

知能訓練士の国家試験を受けるためには、「受験資格」が必要となります。高校を卒業しても受験することはできません。

国家試験の受験資格を得る方法

視能訓練士の国家試験を受験できる資格を得るには、大きく以下の3つの方法があります。

(1)視能訓練士養成所を卒業する
高校卒業後、都道府県知事が指定した視能訓練士養成所(専門学校など)にて3年以上、視能訓練士として必要な知識及び技能を修得し卒業すれば、受験資格が得られます。
(2)短大や大学を卒業し、視能訓練士養成所で1年以上修業
高卒後、短大や大学または看護師や保育士の養成機関で指定の科目を履修し卒業後、視能訓練士養成所で1年以上必要な知識や技術を修得します。
(3)外国の視能訓練士の学校を卒業する
外国の視能訓練士の養成学校を卒業または外国で資格訓練士に相当する免許を受けた人で、労働大臣が日本の養成学校で学んだのと同等であると認定されれば、受験資格は与えられます。

国家試験の難易度はどれくらいか

視能訓練士の国家試験は、午前と午後2時間ずつ「基礎医学大要」「基礎視能矯正学」「視能検査学」「視能障害学及び視能訓練学」の中から出題されます。
出題は多肢選択式で、一般問題が1問1点(129点満点)、臨床問題が1問2点で(40点満点)、合計169点満点になっています。
合格のボーダーラインは、102点です。

平成31年に実施された第49回視能訓練士の国家試験では、受験者数834人に対して合格者数が819人、合格率が98.2%
第48回が、97.7%、第47回93.1%、第46回94.0%、第45回88.9%、44回90.6%で、平均して9割以上の受験者が合格しています。
他の国家試験と比較すると合格しやすい試験と言えるでしょう。

視能訓練士がおもに勤める場所

では、視能訓練士の国家試験に合格したら、どのような場所に勤務できるのでしょうか?

公益社団法人日本視能訓練士協会が2019年に実施した新卒の視能訓練士の就業調査によると、85.2%が私立系の医療機関、10.3%が国立系の医療機関で、その他が4.4%となっています。

私立系の医療機関とは、私立の大学病院や私立の眼科のある病院、眼科診療所、レーシックセンターなどです。
国立系の医療機関は、国立の医療センターや国公立の大学病院、国立大学、都道府県市町村立の病院、公立に準ずる病院や診療所などが当てはまります。
その他の中には、視能訓練士の学校や養成所、福祉関係などが含まれます。

このように視能訓練士の8割以上が私立系の医療機関に就業し、そのうち医療法人および個人の眼科診療所が半分以上を占めています。

視能訓練士の年収

視能訓練士は国家資格ですから、年収も多いと思われがちですが、実態はあまり良いとは言えません。

公益社団法人日本視能訓練士協会が2015年に実施した実態調査では、もっとも多い年間所得は「300万円~400万円未満」で、平均年収は366.4万円と報告しています。
日本全体の平均年収が420万円と言われていますから、決して良い年収とは言えません。
但し、平均年収に関しては高額所得者が平均値を押し上げているとの批判もあり、全体の真ん中をとる中央値でみる方が、実態に近いと判断できます。
中央値の平均年収は、約360万円になっているので、資格訓練士の年収はほぼ平均になっています。

勤務場所では、私立の大学病院が495.6万円と最も高く、公立の大学病院、公立の医療機関、国立の医療機関、私立の眼科病院、国立大学、私立病院、眼科診療所の順になっています。

年収に関しては、経験年数や地域によっても差がありますので、あくまでも参考として考えてください。

視能訓練士の勤務体系と休日

視能訓練士の勤務先はほとんどが医療機関のため、勤務体系は勤務する医療機関によって異なります。
しかし、ほとんどの病院や診療所は、休診日や診療時間が決まっているので、視能訓練士の勤務体系もそのスケジュールに合わせたものになります。
一般的な診療所では、残業などもほとんどないので、比較的自分の時間を作りやすいと言えるでしょう。
但し、医療従事者である限り、最新の医療情報や知識を身につけることは不可欠です。勉強会や研修など休日に参加するものも少なくありません。

公益社団法人日本視能訓練士協会が2015年に実施した実態調査では、一週間の平均勤務日数が「5日」が56.6%と最も多く、年間の有給休暇20~29日が35.6%、全体の約3割が10日~19日の有給を消化しています。

視能訓練士の仕事は、比較的勤務体系も明確で、やりがいを感じる仕事です。
しかし、勤務先の多くは小さな眼科診療所ですから、勤務体系や仕事内容に差があるのも事実です。

視能訓練士の将来性

高齢化に伴い眼科医療の需要は増加し、眼科医一人に対する視能訓練士の数は不足傾向にあります。
また、医療機関においてさまざまな専門外来が誕生しているように眼科でも疾患ごとの専門外来が期待され、このような観点から、視能訓練士の需要が高まることは明白でしょう。

しかし、需要と供給のバランスも重要です。視能訓練士の将来性を見込んで、さまざまな学校や養成所が誕生し、多くの受験生を輩出しています。
比較的取得しやすい国家資格なので、多くの視能訓練士が誕生し、需要を越してしまうような状況になる可能性も考えられます。

当分の間は、視能訓練士の需要は増加することは明白ですが、需要と供給のバランスを保つことが今後の大きな課題になるでしょう。

まとめ この記事のおさらい

・「視能訓練士」は、病院などの医療機関において視機能の検査や矯正可能な視力障害者視力回復をおこなう国家資格を持つスペシャリスト。
・視能訓練士の仕事は、「視機能検査」「視能矯正」「検診業務」「視力低下者のリハビリ指導」など。
・視能訓練士になるには「視能訓練士国家試験」の合格が必要。
・受験資格には「視能訓練士養成所を卒業する」「短大や大学を卒業し、視能訓練士養成所で1年以上修業」「外国の視能訓練士の学校を卒業する」のいずれかの条件が必要。
・平成31年度の合格率は98.2%と比較的容易になっています。
・視能訓練士の勤務先は、85.2%が眼科診療所などの私立系の医療機関。
・平均年収は366.4万円、一週間の平均勤務日数は「5日」が56.6%と最も多くなっています。
・高齢化や外来の専門化に伴い視能訓練士の需要が高まることは明白ですが、需要と供給のバランスを保つことが今後の大きな課題になるでしょう。

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