公認会計士は、三大国家資格ともいわれ、監査や会計の専門家として活躍しています。公認会計士になるには、公認会計士試験に合格しなくてはなりません。
この記事では、公認会計士試験の科目や日程など基本的なことから、試験の特徴や合格率など知っておくと安心なことまでを解説します。

公認会計士試験とは

公認会計士の仕事とは

公認会計士試験について説明する前に、公認会計士の仕事に簡単に触れておきます。

公認会計士の仕事は、「監査業務」「コンサルティング業務」「税務業務」に大きく分けられます。

■監査業務
監査業務とは、貸借対照表などの財務諸表など企業の財務状況を表わす書類が適正に作成されているかをチェックし、意見を表明する業務です。これは公認会計士会計士だけに許された独占業務です。

■コンサルティング業務
企業の経営全般、財務、税務に関する助言や指導を行売りがコンサルティング業務です。公認会計士の豊富な専門知識や経験が活かされる仕事です。

■税務業務
公認会計士は、税理士会に登録をすれば税理士としての業務を行うことができます。税務業務の主なものは、納税者の代わりに税務署等への申告を行う「税務代理」、税務署に提出する書類の作成代行を行う「税務書類の作成」、税務に関する相談に応じる「税務相談」です。

公認会計士になるために必要な国家試験

公認会計士は国家資格です。公認会計士になるためには、公認会計士試験に合格する必要があります。公認会計士は、「短答式」「論文式」に分けて試験が行われることや、一度短答式に合格すれば、2年間は短答式試験が免除になるのが特徴です。

公認会計士試験の概要

受験資格

公認会計士試験は、年令、性別、学歴等に関係なく、誰でも受験することができます。

以前は大学卒業者でない人は1次試験に合格しないとならないなどの受験資格がありましたが、2006年に試験制在学中の人など幅広い層が受験するようになり、令和元年の試験では、合格者のうち68.9%が「学生」及び「専修学校・各種学校受講生」という結果でした。

試験科目【短答式・論文式】

公認会計士試験は「短答式」「論文式」の2段階試験になっています。短答式試験に合格した人が論文式試験を受けることができます。
「短答式」「論文式」それぞれの試験科目・試験時間・問題数・配点は次の通りです。

■短文式試験

試験科目 試験時間 問題数 配点
財務会計論 120 分 40 問以内 200 点
管理会計論 60 分 20 問以内 100 点
監査論 60 分 20 問以内 100 点
企業法 60 分 20 問以内 100 点

■論文式試験

試験科目 試験時間 問題数 配点
会計学
(財務会計論・管理会計論)
300 分 大問 5 問 300 点
監査論 120 分 大問 2 問 100 点
企業法 120 分 大問 2 問 100 点
租税法 120 分 大問 2 問 100 点
選択科目(※) 120 分 大問 2 問 100 点

試験の日程

公認会計士試験は短答式が年2回(12月・5月)、論文式が年1回(8月)に実施されます。令和2年公認会計士試験の日程は次の通り発表されています(第1回短答式試験は令和元年の12月に実施されますが、この試験からが令和2年公認会計士試験とされています)。


試験日程・願書受付・合格発表

■第1回短答式試験
・試験実施日[令和元年12月8日(日)]
・願書受付[インターネット:令和元年8月30日(金)~9月19日(木)・郵送:令和元年8月30日(金)~9月13日(金)
・合格発表[令和2年1月17日(予定)]

■第2回短答式試験
・試験実施日[令和2年5月24日(日)]
・願書受付[インターネット:令和2年2月7日(金)~2月27日(木)・郵送:令和2年2月7日(金)~2月21日(金)
・合格発表[令和2年6月19日(予定)]

■論文式試験
・試験実施日[令和2年8月21日(金)~8月23日(日)]
・合格発表[令和2年11月13日(予定)]


第1回短答式試験・論文式試験の時間割

■第1回短答式試験
・企業法[9:30~10:30(60分)]
・管理会計論[11:30~12:30(60分)]
・監査論[14:00~15:00(60分)]
・財務会計論[16:00~18:00(120分)]

■論文式試験
1日目
・監査論[10:30~12:30(120分)]
・租税法[14:30~16:30(120分)]

2日目
・会計学[10:30~12:30(120分)]
・会計学[14:30~17:30(180分)]

3日目
・企業法[10:30~12:30(120分)]
・選択科目[14:30~16:30(120分)]


試験会場

試験は11都道府県で実施され、東京のみ試験会場が2か所あります。

東京都
・東京理科大学(葛飾キャンパス)
・日本大学(経済学部キャンパス)
大阪府
・関西大学(千里山キャンパス)
北海道
・札幌第1合同庁舎
宮城県
・仙台合同庁舎
愛知県
・愛知学院大学(名城公園キャンパス)
石川
・金沢新神田合同庁舎
広島県
・広島工業大学専門学校
香川県
・香川県社会福祉総合センター
熊本県
・熊本地方合同庁舎
福岡県
・西南学院大学(中央キャンパス)
沖縄県
・那覇第2地方合同庁舎1号館

受験料

公認会計士試験の受験手数料は19,500円です。受験願書19,500円分の収入印紙を貼付して納付します。万一受験しなかった場合でも、受験手数料は返還されません。

公認会計士試験の特徴

試験合格後は、監査法人などで現場経験が必要

公認会計士になるためには公認会計士試験の合格が必要ですが、試験に合格してすぐに公認会計士として仕事ができるわけではありません。公認会計士になるまでのステップを簡単に説明すると次のようになります。

[短答式試験合格]→[論文式試験合格]→[業務補助等の実務経験]→[実務補修・修了考査]

公認会計士になるには、試験に合格したうえで、公認会計士または監査法人を補助する業務補助、もしくは財務に関する監査・分析その他の実務に従事する実務従事で実務経験を2年間以上積まなくてはなりません(実務経験は試験合格前でも可)。
さらに会計教育研修機構が実施する実務講習を受けて単位を取得し、修了考査に合格すると公認会計士となることができるのです。

公認会計士試験の合格者は税理士登録も可能

公認会計士と税理士は別の資格ですが、公認会計士の資格を持っていれば、税理士試験を受験しなくても税理士として登録し、業務を行うことができます。
また、公認会計士の短答式試験に合格している人は、税理士試験の受験資格が得られます。

公認会計士試験の難易度

合格率

令和元年公認会計士試験の試験結果は次の通りです。

願書提出者数(a)[12,532人]
短答式試験受験者数 [10,563人]
短答式試験合格者数 [1,806人]
論文式試験受験者数[3,792人]
最終合格者数(b)[1,337人]
合格率(b/a)[10.7%]
※令和元年(平成 31 年)試験の短答式試験免除者は1,986人。

平成26年の試験以降、合格率は10%~11%で推移しています。この合格率は願書提出者数にしめる合格者数の割合となっています。受験者数は願書提出者数より少ないですので、実質の合格率はこれより少し高いものとなります。

難関の国家試験といわれる司法試験、不動産鑑定士と比べるといくぶん合格率は高いですが、それでも公認会計士試験も難関だということは間違いないでしょう。

必要な勉強時間はどのくらい?

公認会計士を受験する人は、受験期間を1.5年~2年としている人が多いようです。勉強時間の目安は、おおよそ3,500時間が目安といわれています。勉強期間を2年とした場合、毎日休みなく勉強したとして1日約5時間が必要です。週に2日休息日を入れるとしたら、1日約6時間が必要になります。
ほとんどの人は大学などの学校に通いながら、もしくは社会人として仕事をしながらの受験勉強となりますから、どれだけ上手く時間を確保できるかが重要なポイントでしょう。

公認会計士試験の科目免除制度

公認会計士試験には期限付きの科目免除制度があります。一度短答式試験に合格すれば、翌年から2年間は短答式試験を受験せずに論文式試験の受験が可能です。
もし論文式試験で不合格になっても、短答式試験合格後2年間は論文式試験の勉強だけに集中することができるので効率的です。免除制度とはいっても永久ではなく期限付きです。免除期間を上手く利用して試験合格を目指したいところです。

公認会計士試験の勉強方法

独学

公認会計士試験に挑む人の大半は、専門学校や予備校を利用しています。独学では無理なのだろうかと考える人もいると思いますが、公認会計士試験を独学で突破するのはかなり難しいというのが実情です。

公認会計士試験の受験勉強に費やす時間は3,500時間が目安とされていますが、これは予備校等に通って勉強した場合に一般的にかかるとされている時間です。独学の場合はこの何倍もの時間を要する覚悟が必要です。専門学校などの講座は法改正にも対応していますが、独学の場合はそのような情報も取りこぼさないようなルートを作っておく必要もあります。

独学は費用が抑えられることや自分のペースで勉強できることはメリットですが、本気で試験突破を目指すなら、専門学校や予備校に通うのが一番の近道といってよいでしょう。

専門学校や予備校に通う

公認会計士試験の勉強で最もスタンダードなのは、専門学校や予備校に通うことです。仕事をしながらでも通学できる夜間や週末に開講している講座もあります。昼間は大学、夜間は専門学校に通うというダブルスクールのスタイルで試験対策をする人も少なくありません。

学校に通うことのメリットは、カリキュラムがしっかり組まれているので片寄らずにまんべんなく勉強ができること、法改正などに対応していること、その場で質問ができること、自分のレベル感を把握しやすいこと、途中で挫折する心配が少ないことなどたくさんあります。費用はかかりますが、確実に効率的に試験対策をしたいなら、通学での勉強がよいのではないでしょうか。

通信講座を受ける

働きながら学校に通うのが難しい人や費用をおさえたい人は、通信講座を利用する方法もあります。
通信講座は自分生活スタイルに合った時間に勉強できるのが一番のメリットです。ただ、どうしても学習範囲にムラが生じたり、計画通りに実行できなかったりしてしまいがちです。自己管理をしっかり行うこと、試験直前には模試を受けるなどして自分のレベルを把握しておくことが必要でしょう。

公認会計士試験についてのまとめ

  • 公認会計士の主な仕事はは、監査業務、コンサルティング業務、税務業務です。
  • 公認会計士になるには、公認会計士試験に合格する必要があります。
  • 試験は「短答式」「論文式」の2段階になっています。一度短答式試験に合格すれば、2年間は短答式試験が免除されます。
  • 公認会計士試験に合格した後、業務補助等の実務経験を積み修了考査に合格すると公認会計士となることができます。
  • 公認会計士試験の勉強時間は3,500時間が目安といわれています。