私たちの生活に欠かせないですが、保険料率や支払額を算出するのに「アクチュアリー」が活躍しています。特定のに携わる専門職ということもあり、アクチュアリーという言葉をここで初めて聞いて人も多いのではないでしょうか。

この記事では、アクチュアリーの仕事内容、アクチュアリーになるための試験や難易度、アクチュアリーの年収や将来性について解説します。
アクチュアリーを目指している人にはもちろんのこと、この記事でアクチュアリーを初めて知った人にも、さまざまな職業を知るうえで役立てていただける内容です。

アクチュアリーとは

アクチュアリーは保険数理の専門家です。数理統計学をもとに死亡率・事故発生率の計算や保険料の算出、年金計算などを行います。アクチュアリーは日本語では、保険計理人・保険計理士・保険数理士などと訳されます。

数理統計学とは、確率論を応用して対象とする現象の数値データから、全体的な規則性を求める技法のことをいいます。ほとんどの人にとって普段は見聞きすることがないなじみの薄い言葉ですが、保険や年金の世界ではなくてはならいものです。

アクチュアリーの始まりは17世紀のイギリスにあります。組合員から一定額を集めて万が一のときに遺族に支払うという制度あったのですが、毎月の掛け金上昇によって立ち行かなくなりました。その後、掛け金を一定にするのではなく、加入者の年齢や加入年数によって掛け金や保険料が変わる生命保険のシステムが生まれます。
このときに、統計学を用いて支払額や掛金率を算定する専門家「アクチュアリー」が誕生しました。

アクチュアリーの仕事内容

アクチュアリーの活躍場所のメインは、保険(生命保険、損害保険)、年金分野です。

生命保険分野では、全体の収支を分析するとともに、適正な保険料の算定や将来の保険金や給付金の支払いに備える準備金の評価などを行います。

生命保険は何十年に渡る契約です。常に収支のバランスを保ち、加入者へ確実に保険金支払いができるようにしなければなりません。死亡や病気、怪我や事故はいつ起きるのか分からない不確定要素です。アクチュアリーは死亡率、病気の羅漢率、事故率など将来起きることの発生確率を分析し、保険商品の開発や掛け金の算定などを行います。

保険会社は、人々の生活スタイルが多様化に伴いさまざまな商品やサービスが求められるようになるとともに、会社の健全性が強く求められるようになっています。アクチュアリーの仕事は掛け金の算定や商品開発だけにとどまらず、リスク管理の部門においても重要になっています。

年金分野では主に企業年金制度を扱います。企業年金とは企業が従業員を対象として実施する年金制度です。企業年金実施時には、アクチュアリーは確率・統計の手法を用いた年金数理計算により掛金を算出します。また実施後も定期的に掛金や積立水準を検証します。

保険・年金以外でも様々な分野で活躍している

アクチュアリーは現在、生命保険や損害保険事業、年金事業だけでなく、さまざまな分野に活躍の場を広げています。保険会社では掛け金の算定だけでなく、会社の経営管理や収益管理、商品開発に関するコンサルティングを行ったり、監査法人という立場で財務状況に関する外部監査を行うアクチュアリーも増えています。

また、アクチュアリーの高い専門性はERM(エンタープライズ・リスク)分野にも貢献しています。企業のリスクマネジメントが急速に重要性を増してきている今、EMS分野でのアクチュアリーの活躍が今後ますます期待されることでしょう。

アクチュアリーになるには

アクチュアリー試験に合格する必要がある

アクチュアリーの仕事をしている人を「アクチュアリー」と呼ぶこともありますが、日本で「アクチュアリー」は、一般的に公益社団法人日本アクチュアリー会の正会員のことを指します。
正会員になるには日本アクチュアリー会主催の資格試験全科目に合格しなければなりません。

アクチュアリーは新しい資格のように思われますが、日本アクチュアリー協会は明治32年創立の歴史ある団体です。昭和11年にはアクチュアリー会の正会員資格試験がスタートしています。

アクチュアリー資格取得までの流れは次の通りです。

第1次試験(基礎科目)5科目全てに合格「準会員」

第2次試験(専門科目)2科目に合格

プロフェッショナリズム研修(初期教育)を受講「正会員」※第1次試験の1科目以上に合格すると「研究会員」になります。
※プロフェッショナリズム研修は準会員であれば受講可能です。

アクチュアリー資格試験は第1次試験(基礎科目)と第2次試験(専門科目)から成ります。第2次試験に合格し、プロフェッショナリズム研修(初期教育)を受講した人が正会員として認定されます。
第1次試験、第2次試験ともに、東京と大阪で年1回実施されています。

第1次試験(基礎5科目)

第1次試験は「第2次試験を受けるに相当な基礎的知識を有するか否かの判定」を目的とし、次の基礎科目5科目から成ります。

「数学」
「生保数理」
「損保数理」
「年金数理」
「会計・経済・投資理論」

受験資格は次の通りです。

(1)学校教育法による大学を卒業した者
(2)試験委員会が大学を卒業と同等の資格試験受験に必要な基礎的学力を有すると判断した者

第2次試験(専門2科目)

第2次試験は「アクチュアリーとしての実務を行う上で必要な専門知識および問題解決を有するか否かの判定」を目的とし、第1次試験全科目(5科目)に合格した人に受験資格があります。科目は次の3つのコースから1つを選択します。

生保コース……「生保1」、「生保2」
損保コース……「損保1」、「損保2」
年金コース……「年金1」、「年金2」

どのコースも、専門科目2科目から構成されています。また、どのコースを選択して合格した場合でも正会員資格としての区別はありません。

試験の難易度はどれくらいか

アクチュアリー試験は非常に難易度が高いといわれています。日本アクチュアリー会が発表した2018年度の各科目の合格率は次の通りです。

▼第1次試験
「数学」13.0%
「生保数理」12.8%
「損保数理」23.5%
「年金数理」35.2%
「会計・経済・投資理論」14.1%

▼第2次試験
「生保1」14.7%
「生保2」13.5%
「損保1」10.8%
「損保2」15.3%
「年金1」14.1%
「年金2」17.1%

全科目に合格するのに要する期間は最短で2年ですが、正会員資格を取得するまでの平均年数は8年程度となっています。
2019年3月6日現在の正会員数は1,765名と発表されています。大変希少価値の高い資格といえるでしょう。

アクチュアリー試験は、試験対策の書籍や講座がほとんどない状況でが。日本アクチュアリー会のサイトには参考書籍や過去問題が掲載されています。受験する人は参考にするとよいでしょう。

アクチュアリーの年収

アクチュアリーは何度が高い専門職であるため、高い年収が期待できます。アクチュアリーの求人では600万円位~1200万円位が中心になっています。金額の幅が大きいですが、アクチュアリーの準会員や正会員の資格を取得しているかどうかで年収にも差が出ます。

研究会員~準会員~正会員とステップアップし経験を積むことで、年収もアップしていくと考えてよいでしょう。

アクチュアリーの勤務体系と休日

アクチュアリーは保険会社や金融機関に勤務するのが一般的です。アクチュアリーとして独立している人はまだまだ少ないといえます。
勤務体系は勤務している企業に準ずることになります。定時で考えると9:00~18:00のような実働8時間勤務となるでしょう。

ただ、アクチュアリーは専門職なので、ほかの人に仕事を変わってもらうということが難しい種類の仕事です。また一企業に多くのアクチュアリーが勤務していることもないため、仕事量によっては深夜まで残業することも出てきます。

休日は土日祝が多いですが、アクチュアリーは正会員になるまでは試験勉強を続けなければなりません。もちろん正会員になってからも法改正などに敏感でなければなりません。アクチュアリーの休日は勉強時間に充てる人が多いようです。

アクチュアリーの将来性

アクチュアリーは数理業務の専門家として重宝されています。日本アクチュアリー会の正会員は2019年の時点で1,765名とまだまだ希少で、需要に供給が追い付いていないのが現状です。アクチュアリーの資格をとったけれども働く場所が見つからないといったことはまず考えられないでしょう。かなり専門的な知識を要する資格であることから、給与面や待遇面でも恵まれた雇用が期待できます。

近年は、統計はAIが得意とする分野であることから、アクチュアリーの仕事がAIにとって代わるのではないかという考えも出ています。しかしアクチュアリーの仕事はデータをもとに計算するだけではありません。統計や分析の結果を説明するのもアクチュアリーの大事な仕事で、これはAIにはできないことです。また、分析には数理分析のほかに社会の動向なども鑑みる必要があり、マーケティングセンスも必要とします。

AIに仕事を取られるというよりは、自動化できる仕事はAIに任せることで、アクチュアリーの仕事の効率化が図れるといえます。AIの台頭でアクチュアリーの需要がなくなることは考えにくいでしょう。

アクチュアリーがおもに勤める場所

アクチュアリーの勤務先は、生命保険会社、損害保険会社、信託銀行、再保険会社、官公庁、コンサルティング会社、監査法人と多岐にわたります。

欧米では独立開業するアクチュアリーも多いようです。日本でもこれから独立を目指すアクチュアリーも増えてくることも考えられます。

アクチュアリーについてのまとめ

  • アクチュアリーは保険数理の専門家です。数理統計学をもとに死亡率・事故発生率の計算や保険料の算出、年金計算などを行います。
  • アクチュアリーの主な活躍の場は、生命保険分野、損害保険分野、年金分野です。
  • 近年では、リスクマネジメント分野やコンサルティングとしての需要も増えています。
  • アクチュアリーになるには、日本アクチュアリー会の資格試験を受けて正会員になる必要があります。
  • アクチュアリー資格試験は難関で、正会員の取得に平均で8年かかっています。
  • アクチュアリーは希少価値のある専門職のため、正会員なら1000万円を超える年収での雇用が期待できます。

転職エージェントを利用すれば、実際に転職しなくても自分の適正年収や、キャリアプランの相談に乗ってくれます。

まずは転職サイト、転職エージェントを気軽に利用してみましょう。

業種&年代など経歴特化型転職エージェントの紹介と比較 

転職したい!その思いに答える16のエージェント解説と、効率的な転職の仕方

マナラボが特におすすめする転職エージェント・転職サービスは以下のとおりになります。

それぞれの特徴を申し上げると、管理職クラス・外資希望の方ならJAC Recruitment・20代ならリクルートエージェントをおすすめします。

JAC Recruitmentはリクルート、dodaに次ぐ第三の売上規模を持ち、外資系に関してはTOPの人脈を持ちます。自分の実力を活かせる場を探している方は特におすすめです。

JAC

年収アップを実現したい方に。外資系企業への転職はJAC Recruitment

また、ハイクラスは他にビズリーチもございます。

ビズリーチ

リクルートエージェントは最大手で、まず転職すべきか、今の会社の方がよいのかの相談に乗っていただけます。転職案件は各年齢全般に渡って用意しているのも最大手ならではです。まずはご自身の経歴から、適正の年収なのかを相談していみてはいかがでしょうか?

r-agent

dodaは転職サイトとエージェントの両方の側面をもっています。とりあえずどんな求人があるのかな?と気になった場合はdodaがおすすめです。またdodaの登録はとても簡単でオレンジ色のボタンから必須項目を入れるだけで5分での登録が可能です。転職案件は20代から30代向けがもっとも多いようです。

またdodaには各業界の年収を知ることができるページもございます。
簡易的なものですが、一度利用してみてはいかがでしょうか。

doda