この記事では、「シナジー」という言葉の意味や使い方などについて、詳しくご紹介します。

経済が専門でなくとも、ビジネスシーンでは頻繁に使われる言葉で、企業戦略の一つとしてよく使われます。

仕事でこれまで「シナジー」という言葉を聞いたこともない、という方でも、メディアで使われているのを見たり聞いたりする機会があるかもしれません。そのため、今回は経済用語としての「シナジー」について身近な例を挙げ、専門家でなくともこちらを読めばすぐに使えるように、簡単に解説します。

シナジーとはなにか

「シナジー」という言葉は、「筋肉などの共同作用。または薬品などの相乗作用」または、「経営戦略で、各部門の相乗作用を活用した効果として利益を生み出すこと」という、大きく分けて2つの意味があります。

つまり、1+1=2ではなく3や4になるほどの相乗効果が得られる場合を、「シナジー」と呼ぶわけです。
シナジーは元々は英語の言葉で、「synergy」と書きます。

シナジーの由来は生物学

本来「シナジー」は生物学用語で、「2つ以上の筋肉、神経、刺激、薬物などが共同的に作用して、相乗的な効果を生む」という意味でした。

それが転じて、「企業活動における職能分担、いわゆる分業および専門化が個々の活動の合計以上の相乗効果を生むこと」を指すようになりました。現在では、経済用語としての「シナジー」のほうが耳にする機会が多いほどです。

対義語はアナジー

「アナジー」という言葉は「シナジー」の反義語で、経営における相互マイナス効果のことです。

事業でシナジー効果を期待しても、必ずしも相乗効果を得ることができるとは限りません。シナジーの実現が困難で、むしろ、1つの企業の中で異事業を統合することはマイナス効果であった場合に、「アナジー」は使われます。

例として、ダイムラーとクライスラーが統合しても相乗効果を発揮できなかったという事例も、「アナジー」ということになります。
このように、シナジー効果を狙った戦略であっても、実際にはアナジーに終わることは決して珍しいことではありません。

主に良い意味で使われる

「シナジー」はよい意味で、経済的にプラス効果が出た場合に使われます。実際には「シナジー」を目指しても、「アナジー」効果しか得られない場合もありますが、「シナジー」に終わった場合は企業にとってポジティブですので、よい意味となります。

また、企業の同一の戦略をもってしても、結果次第で「アナジー」にも「シナジー」にもなり得るという点も押さえておいてください。

シナジー効果

「シナジー効果」とは、異なる事業間のポジティブな相乗効果のことで、一つの企業の中で統合的に得られる様々なメリットや節約のことです。経済学では、「範囲の経済(エコノミー・オブ・スコープ)」と呼ばれることもあります。

例をあげると、ルノー・日産自動車・三菱自動車のように、複数の企業がアライアンス(協働)をすることによって、商品開発や部品調達など、全体に有利に事業が展開される場合に使われます。

また、企業の合併・買収以外にも、同一企業内でも、別々の事業部門が協働することで、その企業の事業が有利に展開される場合も、「シナジー効果」が発揮されたことになります。

例として、銀行が小売店に支店を出すケースであれば、経費の節減や新規顧客開拓および顧客サービスの向上、といった銀行サイドの利点と、スペース提供による収入や、来客店の増加が見込めるなど、小売店サイド双方の利点で相乗効果が認められるケースです。

シナジーの例

シナジーの種類は様々で、企業の業績を上げるための様々な取り組みにより、それぞれの分野のシナジーがあります。
こちらでは、代表的なものを4種ご紹介します。

操業シナジー

「操業シナジー」は「生産シナジー」とも呼ばれ、生産設備の共同利用や、原料の共同仕入れなどにより、それまで1社では難しかったコストダウンを図り業績を上向きにすることです。

投資シナジー

企業間で、製品の分業生産をしたり、共同開発したり、部品を融通したりすることなどによって、相互補完的な助け合いをすることにより、業績の好転を目指すことです。

経営管理シナジー(マネジメント・シナジー)

新規事業における業務や管理などの経営部門を統合し、一本化することにより、既存の事業のノウハウを活かして効率化を図ることです。

同一企業内であれば、別分野でも経営・管理部門の共用など情報的経営資源の共有、別会社であれば、企業間の知識の共有による経済的相乗効果という形になります。

販売シナジー(マーケティング・シナジー)

販売シナジーとは、より多くの販売チャンネルを持つために、企業間統合をしたり、既存事業と関連性のある新規事業への進出をしたりして、複数製品を単一流通経路で販売することができる場合が、これにあたります。

また、マーケティング・シナジー効果とは、異業種間や同業間の「コラボ商品」などの例にみられるように、ネームバリューで売り上げを伸ばしたり、意外性で新たな顧客を得ることも可能にするなどの、販売促進効果を呼びます。

一般的には、一つだけのシナジー効果を期待するよりも、上述の複数のシナジー効果を期待した企業戦略が多くなっています。多角的な戦略によって、シナジー効果をそれぞれの分野で期待できるほうが、業績改善により効果的だからです。

ビジネスでの使い方

「M&Aシナジー効果」とは、「Mergers and Acquisitions」 つまり「合併と買収」です。

M&Aや提携などで、労働力や機材に余裕のない企業でも、新規にビジネスを始める際に敷居が低くなることにより、新規参入が可能になったり、技術・技能を共有できるために事業の拡大が可能になったりすることも全て「シナジー効果」で、近年、ビジネスの世界では多く使われている手法です。

「経営不振のA社は技術力はあるが資金がなく、B社は技術力では劣るが、経営状態はよく資金はある」場合、2社の合併・買収はM&Aシナジー効果が期待されます。それぞれの会社が相手にない物を補う形になり、シナジー効果を発揮することが可能になるからです。

このように、ビジネスにおいて、シナジー効果を利用する場面は頻繁にあります。

また、全く違う例としては、私鉄各社の百貨店経営もシナジー効果にあたります。一見関連性がないように思いますが、多くの場合、百貨店はターミナル駅に作られています。百貨店の利用者が買い物に来る際に、自社の鉄道を利用するおかげで、鉄道会社も潤う仕組みになっているのです。

このように、ビジネスにおける「シナジー効果」とは、事業・企業の連携や一体化により、コストの削減や売り上げの伸びを推進するときに使われる言葉です。

まとめ この記事のおさらい

・「シナジー」の意味は「筋肉などの共同作用。または薬品などの相乗作用」または、「経営戦略で、各部門の相乗作用を活用した効果として利益を生み出すこと」
・「シナジー」はもともと生物学用語で「2つ以上の筋肉、神経、刺激、薬物などが共同的に作用して、相乗的な効果を生む」という意味
・「シナジー」の対義語は「アナジー」
・「シナジー効果」とは、異なる事業間の相乗効果のこと
・ビジネスでは経営の効率化のために「シナジー効果」を期待する