破天荒の読み方と意味 類義語・対義語・英語表現を解説

※本サイトはプロモーションを含んでいます。

この記事では「破天荒」という言葉について、意味や使い方、類義語、対義語、英語表現などを解説します。

「破天荒」はテレビや小説などでたびたび見聞きすることがありますが、実は本来の意味とは違う用途で使われていることも多い言葉です。この機会に語源や本来の意味を知り、言葉に対する知識を深めましょう。

破天荒の読み方・意味・使い方

破天荒の読み方

「破天荒」は「はてんこう」と読みます。

「破天荒」は「天荒」に「破」がついたもので、天荒を破った逸話が語源となっています。このことについては、後の章で紹介します。

「破天荒」の「破」は音読みで「ハ」、訓読みでは「やぶ(る)」と読みます。「破」を使った他の単語には「破壊(はかい)」「破綻(はたん)」などがあります。常用漢字外の読み方では「わ(れる)」と読むこともあり、慣用句の「破れ鍋に綴じ蓋」は「われなべにとじぶた」と読みます。

「天」は音読みで「テン」、訓読みでは「あま・あめ」と読みます。「天」を使った他の単語には「天下泰平(てんかたいへい)」「天涯孤独(てんがいこどく)」などがあります。

「荒」は音読みで「コウ」、訓読みでは「あら(い)」「あ(れる)」と読みます。「荒」を使った他の単語には「荒城(こうじょう)」「荒業(あらわざ)」などがあります。

破天荒の意味

「破天荒」は「今まで誰もしたことのないことをすること」です。前人未踏、前代未聞なことをすることという意味があります。

ここで気をつけなければならないのは、「破天荒」を本来とは違う意味として捉えている人が多いことです。「破天荒」というと、型破りで豪快、無鉄砲な人を指して使う言葉だと思っている人も多いのではないでしょうか。実際にテレビなどのメディアでも、豪快で暴れ者なイメージの人を「破天荒な人」と言っているシーンも多くあります。

また、文化庁が平成20年度に実施した「国語に関する世論調査」の中の言葉の意味を問うものでは、「破天荒」を本来の「誰も成し得なかったことをすること」と答えた人は60代以上を除くどの年代でも10~15%程度にとどまり、「大胆で豪快な様子」と答えた人が約7割という結果となっています。

このことを鑑みると、「破天荒」を本来の意味ではなく、豪快な様子の意味で使っている人の方が多いということになります。

本来の意味である「誰も成し得なかったことをすること」を覚えて使いこなすことはもちろん大切ですが、どちらの意味で使っているのかを文脈から判断して相手に合わせることもコミュニケーションとして必要なことです。

「破天荒」は「誰も成し得なかったことをすること」である、しかし「大胆で豪快な様子」の意味で使われることも実際には多くある、ということを覚えておきましょう。

参考:文化庁 国語に関する世論調査

破天荒の語源

「天荒」に「破」がついた「破天荒」は、天荒を破るということです。「天荒」とはもともと、雑草などが茂った荒れた土地のことをいいます。

「破天荒」が「誰も成し得なかったことをすること」の意で使われるようになった起源は中国にあります。

昔、中国で行われていた「科拳」という試験は、超難問なことから「天荒」のようだと称されていました。その難関を突破し試験に合格した者が現れたときに、天荒を破ったと言われたことが「破天荒」という言葉の語源だと言われています。

破天荒のビジネス上での使い方

「破天荒」は今まで誰も成し得なかったことをする、また、そのようなことをした人に対する前向きな褒め言葉として使われます。

ビジネスでは、新しい事業への取り組みや思い切りのある行動に対して「破天荒」という言葉で称賛する言葉として用いられることが多いです。

「〇〇さんの破天荒な挑戦なくして今回のプロジェクトの成功はなかっただろう」「この停滞期をだっするには破天荒な試みが必要といえる」のように、新しいことへの挑戦を躊躇しない姿勢を表わす言葉として用いられます。

破天荒の例文

「破天荒」は、今まで誰も成しえなかったことをすることをあらわします。次に「破天荒」を使った例文をいくつ紹介します。

この経営難を乗り切るためには破天荒な試みが必要かもしれない。
彼女は人と一倍努力を重ねた結果、破天荒な記録を打ち立てた。
破天荒な改革が功を奏して、事業を軌道に乗せることができた。

破天荒の類義語と例文

「破天荒」と似たような意味を持つ言葉と例文を、次に紹介します。

前人未踏(ぜんじんみとう)
今までだれも到達していないこと。また、だれも足を踏み入れていないこと。
例文:彼は前人未踏の連勝記録を達成した。
未曾有(みぞう)
いまだかつて起こったことがないこと。
例文:今年の夏は未曾有の豪雨に襲われた。
前例のない
これまでに同様のことがあった試しがない。今回が初めての事例になる。
例文:前例のないことにこそ取り組む姿勢が改革には必要だ。
未だかつて~ない(いまだかつて~ない)
これまでになかったような出来事のこと。
例文:未だかつて人類が成し遂げたことがないようなことに挑戦したいと常に考えている。
類のない(るいのない)
実力や能力が飛びぬけており匹敵するものがないさまを意味する表現。
例文:この映画は他に類のない傑作だ。

また、参考までに「破天荒」を「大胆で豪快な様子」と捉えた場合の類義語をいくつか紹介します。

型破り(かたやぶり)
定型や慣例に従わず、大胆なやり方をとること。
例文:彼のやり方は型破りではあるが、成功すれば一獲千金を狙えるかもしれない。
だいたい不適(だいたんふてき)
大胆で何物をも恐れないこと。
例文:社長に向かってあんな口をきくとは大胆不敵なやつだ。

破天荒の対義語と例文

「破天荒」の直接的な対義語はありませんが、前例のないことをすることの反対を今までのやり方を変えずに引き継ぐことと考えると、「踏襲」が対義語にあたるといえます。

踏襲(とうしゅう)
先人のやり方や説をそのまま受け継ぐこと。
例文:今回のプロジェクトの流れは昨年のやり方を踏襲してください。

破天荒の英語表現

「破天荒」を英語で表現するには、「前例のない」を意味する「unprecedented」を使うとよいでしょう。

「unprecedented」
空前の、前代未聞の、未曾有の、破天荒な
He achieved an unprecedented success.
彼は破天荒な成功をおさめた。
An unprecedented change is necessary.
破天荒な変革が必要である。

破天荒についてのまとめ

  • 「破天荒」は「はてんこう」と読みます。
  • 「破天荒」は「今まで誰もしたことのないことをすること」です。
  • 「破天荒」を「型破りで豪快、大胆不敵」の意味で使うのは誤用とされていますが、文化庁が実施した「国語に関する世論調査」では、「型破りで豪快、大胆不敵」の意味と理解している人のほうが多い結果が出ています。
  • 「破天荒」の同義語としては「前人未踏」「未曾有」などがあげられます。
  • 「破天荒」の直接的な対義語はありませんが、先人のやり方や説をそのまま受け継ぐことを意味する「踏襲」が反対の意味を持っているといえます。
  • 「破天荒」を英語で表現するには「unprecedented」を使うとよいでしょう。