休日や労働時間、有給休暇などについては、会社ごとの規定ではなく法律によってしっかり定められています。
しかしながら、上限を超えた長時間労働などで違法状態となっている会社は少なくないのが現状です。ほとんどの場合は労働者側が泣き寝入りしている状況です。
この記事では、休日や労働時間に関する基本的な内容を紹介していきます。自分の会社は大丈夫かどうか、一度チェックしてみることをおすすめします。
目次
休みなしって法令違反?
労働基準法で定められた規定
実は休日については「労働基準法」で定められているのをご存知でしょうか。
労働基準法35条1項において、「毎週1日以上の休日を与えなければならない」という規定があります。(ただし、4週全体で4日分の休日を与えるという方法も認められています)
1年間は約52週あるので、労働基準法によって最低でも52日間の休日を設定する必要があることがわかります。
ただし、休日数に関しての法的な規制はこの内容のみとなるため、例えば「祝日は全て出勤日とする」といったことは違法であるとはいえません。
休みなしにできる方法とその限界(36協定)
「36協定」は正式には「時間外・休日労働に関する協定届」というものです。
内容としては、「労働者に法定時間を超えて働かせる場合(=残業のこと)、あらかじめ労働組合や労働者の代表と協定を結ばなくてはならない」という旨が盛り込まれています。
法定労働時間は1日8時間、1週間で40時間とされているため、これを超える労働を行う場合は「労使間で書面による協定を締結する必要がある」ということになります。
逆に言えば、労働者と会社の間で36協定が結ばれていた場合には、時間外労働や休日出勤がまかり通ってしまう可能性もあるので注意しましょう。
ただし、36協定においても「延長することができる時間」については限度時間が定められているため、「ずっと休みなし」という契約はできません。
この限度時間ですが、一般の労働者の場合は1ヶ月で45時間まで(1日8時間・1週40時間を超えた分)とされています。
求人票でわかる法定範囲内の最低休日数は何日か
上述の通り、休日の最低ラインは労働基準法によって「毎週1日以上の休日」と定められています。
しかし、仮に週1日の休みで年間休日を52日とした場合、労働時間が法定労働時間を超えることになり、36協定の部分で説明したように違法となります。
この点を踏まえて考えると、1日8時間の労働を行う場合の年間最低休日数は「108日」となります。
求人票を見た時には、「年間休日が108日以上かどうか」という点をチェックしておくとよいでしょう。
ただし、1日の労働時間が8時間よりも少ない仕事の場合は年間最低休日数も減っていくことになります。年間休日数と併せて労働時間も確認しておきましょう。
管理職と一般職の休み・残業の違い
管理職と一般職で休みや残業に関する取り扱いに差があります。
原則として、労働基準法32条により1日8時間・1週40時間を超える労働は禁止とされています。
しかし、労働者が「管理監督者」という立場に該当する場合は例外であり、この法定労働時間の規制が適用外になるのです。
さらに、「毎週1日以上の休日を与えなければならない」という労働基準法35条による決まりも適用外となります。
なぜ管理職と一般職でこのような違いがあるのかというと、管理監督者の仕事内容に特殊性が認められているからです。
管理監督者は自身の勤務時間についてもある程度裁量を持っているため、一般職と同様に法律で規制する必要はないと考えられています。
休みがないと起こりうる健康被害
休みなく働き続ければ、当然健康にも影響が出てきます。
一つが睡眠の質の低下です。長時間労働によって睡眠時間が短くなってしまうことが判明しており、この状態が続けば脳や心臓の病気にも繋がる危険性があります。
また、精神障害も長時間労働による弊害です。休みなく働き続ければ、体だけでなく精神面にも支障をきたす結果となります。こちらもストレスが積み重なっていくことでうつ病の発症にも繋がるため、やはり適度に休みを取ることが大切だということです。
転職のために有給が取れない場合
「転職したいけど有給が取れない」という場合、実は有給に関しても休日と同様に労働基準法によって明確に定められており、たとえ転職という理由でなくても好きなタイミングで有給を取得できるのが原則です。
しかし、繁忙期など時期によっては会社側も休ませることが難しい場合があります。そのような場合のみ、「時季変更権」によって有給の日程を労働者側にずらしてもらうことが可能です。
この時季変更権はあくまで別の日程にずらすだけなので、有給で休む時期をずらしてもらう場合、きちんと有給が取れる代わりの時期を会社側は提示しなければなりません。
有給が取れる時期を明言せずに「忙しいから有給は取らせない」であったり、「そもそもうちに有給はない」という対応は違法行為といえるでしょう。
転職は退職してから始めるのは不利なのか
転職を考える際、迷ってしまうのが「在職中に転職活動をするべきか」もしくは「退職後に転職活動をするべきか」という点ですよね。
これについては、どちらが有利・不利という話ではなく、それぞれにメリット・デメリットがあると考えておくのが良いでしょう。
まず「在職中に転職活動をする」場合のメリットですが、「退職後にブランクなくすぐに次の仕事に就ける」「たとえ転職先が決まらなくても、今の会社で仕事を続けられる」といった点があげられます。
逆にデメリットとしては、「転職活動と今の仕事のスケジュール管理が大変」「本業と両立させる必要があり、転職活動が長期化する場合がある」という点があげられます。
次に、「退職後に転職活動をする」場合を見ていきましょう。このメリットとしては、「転職活動のスケジュール調整が簡単にできる」「採用後、すぐに入社できる」という点が考えられます。
デメリットとしては、「給料がストップするため、金銭的に負担がある」「転職先がすぐに決まらなかった場合はブランク期間ができてしまう」という点が挙げられるでしょう。
このように、「退職してからの転職活動は不利」と一概に決めつけてしまうのではなく、それぞれの良い面・悪い面を捉えて考えることが必要です。
まとめ この記事のおさらい
- 休日は労働基準法で「毎週1日以上の休日を与えなければならない」と定められています。
- 法定労働時間は1日8時間、1週間で40時間とされているため、これを超える労働を行う場合は「労使間で書面による協定(36協定)」を締結しなければいけません。
- 労働者が「管理監督者」という立場に該当する場合、法定労働時間や休日の規制が適用外になります。
- 有給については労働基準法によって明確に定められており、労働者に有給を取らせないのは違法です。
- 転職活動を「在職中」にするべきか「退職後」にするべきかは、それぞれのメリット・デメリットを踏まえて考えましょう。
休日や労働時間の基本的な知識は、会社側だけでなく労働者側も身につけておく必要があります。
自分の健康を守るためにも、無理をしすぎないように適度にリフレッシュしながら仕事を進めていきましょう。