東京都が推進している時差Bizは、通勤ラッシュの緩和を目的とした制度です。時差出勤を増やすことで、満員電車のストレスを緩和できると考えられています。

時差出勤を経験していない人にとっては、よくわからない制度でしょう。ここでは時差出勤とはなにか、フレックスタイム制との違い、時差出勤のメリット・デメリット、時差出勤を取り入れている企業の例などを解説します。

時差出勤については賛否両論あるため、あらかじめ制度を理解しておくとライフスタイルにあった選択ができます。

時差出勤は始業・終業時間の選択肢がある制度

時差出勤とは、あらかじめ会社が提示したいくつかの始業・終業時間の中から好きな時間を選択できる制度のことをさし、いくつかの導入方式があります。

導入方法の一つに、出勤は何時から何時の間と会社が指定し、決められた時間の単位で労働者が自由に決められる方式があげられます。

始業時間は7時30分から10時30分の間で15分区切りで、1日8時間労働とされている場合、労働者自身が始業時間を8時15分としたら、終業時間は16時15分です。

他の導入方法には、時差出勤では、あらかじめ会社が始業・終業時間を提示することもあげられます。

通常の始業・終業時間が9時~18時の場合、時差出勤として8時~17時や、10時~19時などの前倒しや、遅らせるの選択肢が用意されるでしょう。

フレックスタイムと時差出勤の違いは労働時間の自由度

フレックスタイム制は、始業・終業時間、労働時間の長さを労働者本人が決めることができます。

ほとんどの企業では、コアタイムと呼ばれる必ず出勤していなければいけない数時間を含んでいることが多いです。

コアタイムが13時から16時と設定されている場合には、コアタイムの時間の間は出勤していなければなりません。

会社によっては、もっとも早い始業時間と最も遅い終業時間の指定があるところもあります。フレックスタイム制の細かなルールは、それぞれの会社によって異なることが一般的です。

コアタイムの設定のないフレックスタイム制は、スーパーフレックスタイム制とよばれます。

フレックスタイム制では一般的に、月単位で労働時間の長さが設定されることが多いです。

決まっている労働時間を満たさない場合には、欠勤や遅刻扱いになるため、時間外労働時間の管理を自分でしなければいけないことも多いため注意が必要です。

時差出勤との違いは、時差出勤は始業・終業時間が前後するだけで労働時間の長さは変わりませんが、フレックスタイムでは1日に働く時間の長さも自分で決められる部分にあります。

例として、コアタイムが13時から15時のフレックスタイム制の企業の場合は、8時~16時の出勤や、10時~16時の出勤でもよいという点があげられます。

決められた週や、月での労働時間を満たすことだけが条件である事が多いです。

時差出勤のメリットは自分の都合を優先できる点

東京都が推進している時差Bizでは、時差出勤を通勤電車の混雑緩和を目的としています。通勤電車の混雑は、労働者にとっては大きなストレスになるでしょう。

通勤ラッシュ時間以外で通勤することが可能な時差出勤は、通勤のストレスが減るというメリットがあります。

始業・終業時間は変わりますが、1日当たりの勤務時間は変わらないため、パフォーマンス自体は保たれます。

会社にとって、労働者に都合のよい出勤時間にしてもらっても、出勤で疲労することなく変わらないパフォーマンスが発揮されるのはメリットでしょう。労働時間自体が変わらないことで、個人の仕事の進め方も変える必要がありません。

時差出勤の労働者にとってのメリットは、自分の都合を優先できる点です。

小さな子供がいる家庭では、幼稚園のお迎えで時短勤務を余儀なくされる人もいるでしょう。

育児のために時短勤務をしている人にとっては、時差出勤で終業時間が早くなることで、フルタイム勤務が可能になる場合もあります。

会社にとっては、時短勤務から時差出勤でフルタイムになる場合、労働力確保というメリットがあります。

グローバル化がすすんでいる現代のビジネスシーンでは、時差のある地域とのやりとりがある部署も増えており、時差によっては日本の夕方に始業時間をむかえる地域もあるでしょう。

海外との取引や連絡がある部署にとっては、始業時間を遅くすれば終業時間も遅く設定されるため、残業時間を減らすことも可能です。労働者にとっても会社にとっても都合がよいでしょう。

自分が仕事に集中できる時間がある人にとっては、時短勤務である程度集中できる時間に合わせた勤務時間を設定できるのもメリットです。

時差出勤のデメリットは管理の手間と顧客対応

時差出勤にはメリットもあれば、デメリットもあります。時差出勤を導入している会社では、1日単位で時差出勤にすることもできることが多いです。

しかし、時差出勤する際は、ほとんどの会社で事前に上長の許可が必要です。時差出勤する本人も管理する上長にとっても、多少とはいえ手間がかかることはデメリットです。

時差出勤する人がいることで、少なからず会社や同僚の協力も必要でしょう。終業時間が早くなる時差出勤を選択しても、通常の就業時間の周りの人に気を遣い、帰りにくかったりすることも考えられます。

旧体制の意識が強い職場の場合は、気が弱い人にとって労働時間がのびるだけになってしまう可能性もあります。

顧客対応がメインの業種では、顧客に時間をあわせなければいけないため、時間設定が難しくなるでしょう。場合によっては、顧客に迷惑をかけかねません。

社内会議などで人を集めたいときには、午前中に時間を決めづらくなる可能性があります。時間設定にもよりますが、全員が同時に始業していないため、早い時間は集まりにくくなります。

時差出勤を採用した会社では早い時間の始業を選ぶ人が多い傾向があります。結果的には、今までの通勤ラッシュがやや早めになっただけで、あまり状況は変わらないという意見もあります。

始業時間が早くなれば、生活のリズムも変えなければなりません。生活のリズムが時差出勤に慣れるまでには、時間がかかってしまう人もいるでしょう。

時差出勤を取り入れた企業例

実際に時差出勤を導入している会社には、三井物産と日本航空(JAL)などがあります。

三井物産

三井物産では、2017年6月から時差出勤を導入しています。通常の始業時間が9時15分のところ、前後90分の間を15分刻みで時間を設定できるようにしています。

上記により始業時間は7時45分から10時45分の間で自分自身で時間を設定し、上長の許可をとるように決められています。

三井物産では、業務が集中する時間帯がたびたびあることから、完全に個人が自由に時間設定できるフレックスタイム制よりも時差出勤のほうが業務に支障がないとしています。

日本航空(JAL)

日本航空は、2017年の東京都庁「時差Biz推進賞」を受賞しています。

日本航空では、時差Biz期間中に8時前出社か10時以降の時差出勤を推奨していました。

早い時間の始業を促進するために、会社の最上階にカフェを設置して7時30分から無料でコーヒーを提供する工夫をしただけでなく、事前の周知をしたことも受賞の一因です。

事前に時差出勤やフレックスタイム制を知ってもらうためのワークショップを開催して約1,500名が参加し、約1割が時差出勤やフレックスタイム制を経験する結果を出しました。

実際に時差出勤を体験した社員のうち、約8割が時差出勤のよさを感じたというアンケート結果もでています。

時差出勤についてのまとめ

  • 時差出勤とは、あらかじめ会社が提示したいくつかの始業・終業時間の中から好きな時間を選択できる制度のことをいいます。
  • フレックスタイムと時差出勤の違いは、1日に働く時間の長さも自分で決められるかどうかという点でしょう。
  • 時差出勤のメリットには、満員電車での通勤ストレスの軽減、労働時間の長さは変わらないのでパフォーマンスは保てること、自分の都合を優先できること、時差のある地域との仕事でも残業を削減できることなどがあるでしょう。
  • 時差出勤のデメリットには、事前に上長の許可が必要なこと、顧客対応がメインの業種では時間設定が難しくなる、午前中の会議などがしにくいことなどがあります。
  • 実際に時差出勤を取り入れた企業例としては、三井物産と日本航空(JAL)などがあるでしょう。