近年、働き方の多様化が進み、オフィス以外の場所で仕事をするという働き方も珍しくなくなってきました。多くの企業で導入され始めたリモートワーク、テレワークに続き、最近注目され始めたのが「ワーケーション」です。

この記事では、ワーケーションについて、ワーケーションが誕生した背景、ワーケーションのメリットとデメリット、ワーケーションが普及するために必要なことを中心に解説します。また、ワーケーションの導入事例についても紹介します。

ワーケーションはアメリカで始まった

ワーケーションは「仕事(work)」と「休暇(vacation)」を合わせた造語で、働きながら休暇をとるスタイルのことです。ワーケーションはアメリカで2000年代に生まれたとされています。

2015年6月の時点では「ウォール・ストリート・ジャーナル」が、アメリカの一部の企業の社員がワーケーションを始めていることを伝えています。

ワーケーションの働き方

ワーケーションは働きながら休暇をとる働き方のことです。パソコンやスマートフォンなどのリモートツールを用い、旅行先など、場所を問わずに仕事をするスタイルです。

ワーケーションがなければ、どうしても外せない仕事が1日あるだけで長期の旅行をあきらめなければなりませんが、ワーケーションがあれば、その日は旅行先で仕事をすることにして、旅行に行くことができます。旅行先などで働いた時間は勤務時間に含まれます。

ワーケーションとテレワークの違い

ワーケーションのほかに、オフィス以外の場所での働き方として、テレワークがあります。テレワークは「離れたところ(tele)」と「仕事(work)」を合わせた造語で、近年多くの企業で導入されています。

ワーケーションとテレワークの主な違いは、働く場所にあります。

テレワークは、主に自宅、サテライトオフィスなどでリモートツールを使って仕事をすることで、一般的には事前申請した場所で行います。ワーケーションとは休暇中に旅行先や帰省先などで仕事をすることです。

ワーケーションが生まれた背景

ワーケーションが生まれた背景には、働く人たちが十分に休暇をとれなくない状況があります。どうしても外せない仕事があって長期休暇がとれない、また、休暇の間も電話やメールなどで仕事の対応をしてしまう人が多くみられます。

休暇をとっても実際は休暇中の時間に仕事をしているのであれば、休暇中に仕事をする制度をつくろう、という考えからワーケーションは生まれました。

また、日本では有給消化率が約50%と、世界30ヵ国の中で最下位という結果になっており、働き方改革の一環としてワーケーションが注目され始めています。

日本でのワーケーションの導入事例

JALのワーケーション

日本では、2017年7月に日本航空(JAL)がワーケーションを導入したことで、ワーケーションが注目されるようになりました。

パイロットや客室乗務員を除き、7~8月のうちに最大5日間のワーケーションを認めるというもので、職種や時期が限られているなどの問題点はあるものの、大企業における働き方改革としておおいに注目されています。

和歌山県のワーケーション

和歌山県のワーケーションの取り組みは少し変わっています。県内にワーケーションを開設したり、ワーケーションのモニターを募集するなど、和歌山県にきてワーケーションをしてもらうことを推進する取り込みを行っています。

ワーケーションのメリットとデメリット【働く側】

ワーケーションの働く側のメリット

ワーケーションの働く側のメリットとしては次のようなことが考えられます。

 

(1)長期の休暇が取りやすくなる
家族や仲間と予定を合わせやすくなるため。長期の旅行や帰省のための休暇が取りやすくなります。

 

(2)アイディア創出に役立つ
オフィスにこもって仕事をしていると視野が狭くなりがちですが、いつもと違ったリラックスできる環境で仕事をすることで、新しいアイディアが生まれることも期待できます。
(3)効率的に仕事ができる
休暇中の限られた時間に終わるように仕事をするため、自然と集中力が増し、普段より仕事がはかどることもあるといえます。

ワーケーションの働く側のデメリット

(1)充分な休息を得られない
休暇中に仕事もするためにオンとオフの境界があいまいになり、旅行に行ったのはいいが結局は仕事のことばかり考えてしまって十分な休息を得られなかったということになる可能性があります。
(2)家族や友人の理解が必要
旅行に同行する家族や友人にワーケーションについて理解をしてもらわないと、旅行に手間で仕事をするなんて・・と怪訝に思われてしまうこともあります。
(3)パソコンを持ち歩かなければならない
旅行先にもパソコンなどのツールを持っていかなければならず、荷物が多くなったり管理に気を使ったりしなければなりません。

ワーケーションのメリットとデメリット【企業側】

ワーケーションの企業側のメリット

(1)働き方改革の対策になる
今、日本では、働き方改革を推進するために法制度の見直しなどさまざまな取り組みが行われています。ワーケーションの導入は働き方改革の取り組みとしてPRすることができます。

 

(2)人材の確保に有効
ワーケーションの導入を募集要項でうたうことで、応募者が増加し優秀な人材を採用できる可能性が高まります。

 

(3)従業員のモチベーションが維持できる
休暇取得に融通が利くようになり、ストレス軽減効果が期待できます。

ワーケーションの企業側のデメリット

(1)導入や運用にコストがかかる場合がある
セキュリティを強化するための設備や機器にコストがかかることがあります。

 

(2)従業員の労働管理が煩雑になる
勤怠の管理や休暇の定義を見直す必要が出てきたり、管理が煩雑になったりします。

ワーケーションの普及に向けて必要なこと

ワーケーションを成功させるには、休暇と仕事の定義、企業と従業員双方のワーケーションに対する理解、ワーケーションできる場所の充実、自分で仕事をコントロールする自律性が不可欠と言えます。

導入には企業内の規則の整備、セキュリティ対策、従業員への理解を促す施策が必要となるほか、ワーケーションで働く人一人ひとりがワーケーションをよく理解することが重要でしょう。

ワーケーションについてのまとめ

  • ワーケーションは「仕事(work)」と「休暇(vacation)」を合わせた造語で、働きながら休暇をとることです。2000年代にアメリカで生まれたとみられています。
  • ワーケーションとテレワークの違いは働く場所にあります。テレワークが一般的に事前申請した場所で働くのに対し、ワーケーションは旅行先で仕事をすることができます。
  • 日本では2017年にJALがワーケーションを導入したことで話題になりました。
  • 和歌山県はワーケーションの受け入れ先としてさまざまな取り込みを行っています。
    ワーケーションの働く側のメリットとしては、長期休暇が取りやすいこと、違う環境で働くことからアイディア創出に役立つなどがあげられます。デメリットとしては、十分な休息が得られない場合があることや、家族や友人の理解が必要なことがあります。
  • ワーケーションの企業側のメリットとしては、働き方改革の対策になることや人材確保に有効なこと、デメリットとしては、導入や運用にコストがかかる場合があることや、従業員の労働管理が煩雑になることがあげられます。
  • ワーケーションの普及に向けては、企業内の規則の整備、セキュリティ対策、従業員への理解を促す施策が必要となるほか、ワーケーションで働く人一人ひとりがワーケーションをよく理解することが重要でしょう。