「リカレント教育」という教育システムがあります。社会人に向けた教育システムですが、リカレント教育とはどのような教育システムなのか、どのように取り組むのかなどが疑問点としてあげられます。

リカレント教育を理解するために、この記事では以下の4点を解説します。

この記事を通して、最終的にはリカレント教育とはどのような教育システムなのかを理解することができます。

そもそもリカレント教育とはなにか?

「リカレント」とは、「再発する」という意味をもつ言葉で、リカレント教育とは、学校教育を終えた社会人が、もう一度教育機関に戻り学びなおすシステムの事です。

スウェーデンの経済学者ゴスタ・レーンが提唱した概念で、1970年に経済協力開発機構(OECD)の教育政策会議で取り上げられました。

日本でも、1974年に『リカレント教育:生涯学習のための戦略』を文部科学省が出版しました。

欧米ではリカレント教育が行いやすい

欧米では、日本と比べて欧米の労働市場の流動性が高いため、社会人になってから学びなおすリカレント教育が取りやすい状況です。

一度社会に出てからも、正規の学生に戻ってフルタイムで学習するケースが少なくありません。

日本でのリカレント教育は難しいが広まりつつある

日本では、長期雇用の慣行が、就労しながら学ぶケースが一般的であるため、欧米のように正規の学生に戻りフルタイムで学習するというシステムは行いづらい状況です。

しかし、現代の日本ではリカレント教育の認知が広がり、社会人が大学などの教育機関で学ぶ機会は増加しています。

キャリアアップのためだけでなく、自分の生きがいのために学ぶ場合も少なくありません。

リカレント教育の必要性は女性や高齢者に多くある

リカレント教育の必要性は、転職におけるキャリアアップや女性の社会進出などが関係しています。

転職を考えたときに職業に関する知識や技術を教育機関で学びなおしたい人や、産休育休後に学習機会が欲しい人などによるニーズが高まっているのが現状です。

日本では健康寿命が延びているため、「人生100年時代」がやってくるといわれています。

政府は、経済的な事情により教育が受けられなかった人や、定年を迎えた高齢者、産後などで再就職を目指す女性など、すべての人がリカレント教育によって、いつでも学び直し・やり直しができる社会が目指しています。

リカレント教育の課題は補助制度の未整備

リカレント教育のニーズが高まってきたとはいえ、いまだに課題が多いのが現状です。リカレント教育の課題としてあげられるのが、補助制度の未整備です。

日本では、欧米に比べてリカレント教育の企業への浸透が薄く、協力が得にくい状況にあります。有給教育制度がある企業も多くはなく、行政からの支援もないことなどが原因です。

各大学におけるリカレント教育への取り組み例

日本女子大学の「リカレント教育課程」

日本女子大学には、出産などで離職した女性の再就職を支援する「リカレント教育課程」があり、受講期間は1年ほどあります。

社会人が受講しやすいように、週末の開講や長期休暇の集中開講、託児サービスなど、さまざまな工夫も施されています。

岩手大学の「いわてアグリフロンティアスクール」

岩手大学には、農業経営者などを育成する「いわてアグリフロンティアスクール」があります。

実務家講師による講義や実習などを行い、受講期間は1年ほどです。

社会人が受講しやすいように、農繁期以外に開講したり補講を行ったりしています。

東京電機大学の「国際化サイバーセキュリティ学特別コース」

東京電機大学には、「国際化サイバーセキュリティ学特別コース」があり、サイバーセキュリティの技術以外にも、法律や倫理についての教育などを受けることができます。

受講期間は1年で、社会人が受講しやすいように、夜間や週末の開講や長期履修が可能です。

岐阜大学の「社会基盤メンテナンスエキスパート(ME)養成講座」

岐阜大学には、「社会基盤メンテナンスエキスパート(ME)養成講座」があります。

県と協働で、行政と建設業界双方の土木技術者の技術向上を目指しており、受講期間は約1ヵ月ほどあります。

社会人が受講しやすいように、受講者勤務先と連携したり、地域全体での講座も行われています。

大阪大学の「ナノサイエンス・ナノテクノロジー高度学際教育研究訓練プログラム」

大阪大学には、「ナノサイエンス・ナノテクノロジー高度学際教育研究訓練プログラム」があります。

大学院レベル9単位分のプログラムとなっており、受講期間は1年です。

社会人が受講しやすいように、夜間や週末の開講や遠隔授業などが行われています。

高知大学の「土佐フードビジネスクリエーター人材創出事業(土佐FBC)」

高知大学には、「土佐フードビジネスクリエーター人材創出事業(土佐FBC)」があります。

高知県の食品産業の中核を担う人材の育成を目指しており、受講期間は、1~2年ほどです。

社会人が受講しやすいように、夜間開講や補講が行われたり、一部の受講料が支援されたりしています。

リカレント教育についてのまとめ

  • リカレント教育とは、社会人が学びなおす教育システムのことをいいます。
  • 欧米では、社会人になってから学びなおすリカレント教育が取りやすい状況にあり、正規の学生に戻ってフルタイムで学習するケースが多いです。
  • 日本のリカレント教育は、長期雇用の慣行があるため、働きながら学んだり、企業の中で学んだりするケースが多いです。
  • 経済的な事情により教育が受けられなかった人や定年を迎えた高齢者、産後などで再就職を目指す女性など、すべての人がリカレント教育によって「いつでも学び直し・やり直しができる社会」が目指されています。
  • リカレント教育が必要となってきたのは、転職におけるキャリアアップや女性の社会進出などが関係しています。
  • リカレント教育の課題として、補助制度の未整備が挙げられます。
  • さまざまな大学において、社会人が受講しやすいようなリカレント教育が行われています。