粉飾決済やカルテルなど、企業の不祥事が明るみに出ることが多くなった現代では、コーポレート・ガバナンスの重要性が重視されています。

この記事では、コーポレート・ガバナンスが必要な理由やコーポレート・ガバナンスの目的、コーポレート・ガバナンスの強化方法を解説します。

そもそもコーポレート・ガバナンスとはなにか?

コーポレート・ガバナンスとは、不正行為を防ぐために企業経営を管理監督する仕組みを意味する言葉です。日本語で「企業統治」といわれることもあります。

会社はステークホルダー(企業に対して利害関係を持つ人)は、株主や顧客、従業員、地域社会等の立場を踏まえ、透明・公正かつ迅速な意思決定を行う責任があります。

経営者がステークホルダーの責任を適切に果たしているかを管理監督する仕組みがコーポレート・ガバナンスです。

平成27年3月5日に、金融庁から「実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則を取りまとめたもの。」としてコーポレートガバナンス・コードの原案が公表されました。

上記の原案の中では、コーポレート・ガバナンスは以下のように定義されています。

「コーポレートガバナンス」とは、会社が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みを意味する。

引用:金融庁 コーポレートガバナンス・コード原案
(引用分は別紙4にあり)

コーポレート・ガバナンスが行われる背景

日本では長きにわたり、会社は経営者と社員のためのものだという、経営者主体の考え方が強くありました。

本来は株主の意見が反映される場である株主総会も、シャンシャン総会(※1)といい、質疑応答や議論がなされないまま終了することがほとんどでした。

企業の粉飾決済や横領などの不祥事が多発すると、ステークホルダーの利益の損失や経営危機を招いてしまうため、不祥事の多い現代ではコーポレート・ガバナンスの重要性が増しています。

(※1 シャンシャン総会=「シャンシャン」は総会の終わりの手締めの音をあらわしており、株主総会が形式的である様を批判する呼び方です。)

コーポレート・ガバナンスの目的

コーポレート・ガバナンスコードで定められている、コーポレート・ガバナンスの基本原則は以下の通りです。

基本原則①:株主の権利・平等性の確保

 上場会社は、株主の権利が実質的に確保されるように適切な対応を行うとともに、株主が権利を適切に行使することができる環境の整備を行うべきである。

また、上場会社は、株主の実質的な平等性を確保すべきである。

少数株主や外国人株主については、株主の権利の実質的な確保、権利行使に係る環境や実質的な平等性の確保に課題や懸念が生じやすい面があることから、十分に配慮を行うべきである。

基本原則②:株主以外のステークホルダーとの適切な協働

上場会社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の創出は、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会をはじめとする様々なステークホルダーによるリソースの提供や、貢献の結果であることを十分に認識し、これらのステークホルダーとの適切な協働に努めるべきである。

取締役会・経営陣は、これらのステークホルダーの権利・立場や健全な事業活動倫理を尊重する企業文化・風土の醸成に向けてリーダーシップを発揮すべきである。

基本原則③:適切な情報開示と透明性の確保

上場会社は、会社の財政状態・経営成績等の財務情報や、経営戦略・経営課題、リスクやガバナンスに係る情報等の非財務情報について、法令に基づく開示を適切に行うとともに、法令に基づく開示以外の情報提供にも主体的に取り組むべきである。

その際、取締役会は、開示・提供される情報が株主との間で建設的な対話を行う上での基盤となることも踏まえ、そうした情報(とりわけ非財務情報)が、正確で利用者にとって分かりやすく、情報として有用性の高いものとなるようにすべきである。

基本原則④:取締役会等の責務

 上場会社の取締役会は、株主に対する受託者責任・説明責任を踏まえ、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を促し、収益力・資本効率等の改善を図るべく、

(1) 企業戦略等の大きな方向性を示すこと
(2) 経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境整備を行うこと
(3) 独立した客観的な立場から、経営陣(執行役及びいわゆる執行役員を含む)・取締役に対する実効性の高い監督を行うことをはじめとする役割・責務を適切に果たすべきである。

こうした役割・責務は、監査役会設置会社(その役割・責務の一部は監査役及び監査役会が担うこととなる)、指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社など、いずれの機関設計を採用する場合にも、等しく適切に果たされるべきである。

基本原則⑤:株主との対話

上場会社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主総会の場以外においても、株主との間で建設的な対話を行うべきである。

経営陣幹部・取締役(社外取締役を含む)は、こうした対話を通じて株主の声に耳を傾け、その関心・懸念に正当な関心を払うとともに、自らの経営方針を株主に分かりやすい形で明確に説明しその理解を得る努力を行い、株主を含むステークホルダーの立場に関するバランスのとれた理解と、そうした理解を踏まえた適切な対応に努めるべきである。

コーポレート・ガバナンスの強化方法

コーポレート・ガバナンスの強化については、コーポレート・ガバナンスコードなどを参考にしたうえで各企業がそれぞれの取り組み方を決めていくものです。

しかし、おおよそで以下のような取り組みをすることで強化につなげることが出来ます。

業務執行機能を強化する

コーポレート・ガバナンスを強化するためには、取締役会、監査役会、執行役員会を設置して、相互管理体制の強化を図ることが大切です。

内部統制を強化する

コーポレート・ガバナンスの強化に向けた組織の役割を明確にする上でも内部統制は欠かせません。内部統制のついては次の章で解説します。

監査体制を強化する

社外監査役、社内監査役を設置して監査機能を充実させることもコーポレート・ガバナンス強化には有効です。

コーポレート・ガバナンスと内部統制

内部統制には、金融庁発表「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準のあり方について」の中で以下の4つの目的があると解説されています。

内部統制の基本的枠組み

(1)業務の有効性及び効率性
(2)財務報告の信頼性
(3)事業活動に関わる法令等の遵守
(4)資産の保全

コーポレート・ガバナンスを強化するにあたっては、内部統制の目的が達成できている必要があり、コーポレート・ガバナンスを強化することは、内部統制も含めて強化することにもつながります。

引用:財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準のあり方について

コーポレート・ガバナンスについてのまとめ

  • コーポレート・ガバナンスとは、不正行為を防ぐために、企業経営を管理監督する仕組みを意味します。
  • コーポレート・ガバナンスが重要視される背景には、企業の粉飾決済や横領などの不祥事が多発し、ステークホルダーの利益の損失や経営危機を招いたことがあります。
  • コーポレート・ガバナンスコードでは、コーポレート・ガバナンスの基本原則を次のように定めています。「株主の権利・平等性の確保」
    「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」
    「適切な情報開示と透明性の確保」
    「取締役会等の責務」
    「株主との対話」
  • コーポレート・ガバナンスを強化するためには、業務執行機能の強化・内部統制の強化・監査体制の充実などの取り組みが有効です。