労働基準法はよく耳にするだけでなく、誰もがこの法律に基づいて仕事をしています。

しかし、「労働契約法」を知っている人は多くありません。なんとなく名前から想像できるかもしれませんが、労働契約に関する法律です。

この記事では、この労働契約法について、労働契約法の内容や労働契約法の改正などを中心に解説いたします。

労働契約法とは

「労働契約法」とは、労働契約に関する基本的事項を定めている法律です。
合理的な労働条件の決定や変更が円滑に行えるように、細かく法律が定められています。

労働基準に関しては、労働基準法が昭和22年に作られ、最低賃金や最低条件等が定められています。

しかし、個別労働関係紛争を解決するための、労働契約に関する民事的なルールについての法律はありませんでした。民法やその他の個別の法律において、部分的に規定されているだけだったのです。

個別に労働関係紛争が生じた場合、それぞれの事案が判例として蓄積されて、それに基づいて判断するようになりました。

しかし、必ずしも同じ事例が起こるわけではなく、予測可能性が高いといえるわけでもありません。そこで、労働契約に関する法律が必要だということになり「労働契約法」が制定されました。

労働契約法では、個別の労働関係の安定を図るために、労働契約に関する基本的なルールや労働契約の基本的な理念、共通する原則、判例などをまとめています。

労働契約法は一部改正された

労働契約法は平成19年に公布され、平成20年に施行されました。

しかし、労働契約の形も年月とともに変わり、平成24年に一部改正されたものが発表されました。施行は平成25年4月1日からです。

労働契約法の改正された部分

有期労働契約(1年、6ヶ月など契約期間を最初に定めた労働契約)の労働者が何度も契約更新をしなければならない、また契約更新の時期になると更新されるかどうか不安になる、という問題が長年生じてきました。

その不安を解消し、働く人が安心して働き続けることができるようにするため、労働契約法が改正されました。

・無期労働契約への転換
・「雇止め法理」の法定化
・不合理な労働条件の禁止

無期労働契約への転換

有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えた時は、労働者の申し込みにより、期間の定めのない労働契約(向き労働契約)に転換できます。

「雇止め法理」の法定化

「雇止め」とは、有期労働契約者が合理的な理由もなく契約更新を拒否されることです。
これでは、派遣社員や契約社員、パートタイマーなどの有期労働契約者たちが契約の更新のたびに不安になります。

このことから、雇止めは違法であるとする考えを労働契約法の中に盛り込みました。

つまり、有期労働契約者がむやみに解雇されないように、安心して働ける環境を作るという内容です。

不合理な労働条件の禁止

有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁止するルールです。

例えば、職務の内容や責任の範囲等が異なってはならないということです。
正規社員と非正規社員の労働条件の差異や福利厚生、交通費などの手当ての違いがあってはならないと訴訟が行われたことが何度もあります。

これと同様に、雇用形態にかかわらず、有期契約労働者と無期契約労働者の条件に差があってはならないというものです。

厚生労働省「労働契約法の改正について」

労働契約法の内容

労働契約法を読むにあたり、「労働者」の定義について知っておく必要があります。

使用者の指揮・命令の下に働き、その報酬として賃金を受けている場合には、「労働者」として労働契約法の対象になります。(第2条第1項)

第6条 労働契約の成立

労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者および使用者が合意することによって成立する。

ここでいう「使用者」とは、企業や会社のことです。

「労働者が企業に使用されて労働し、企業がこれに対して賃金を支払うということについて、労働者と企業が合意していれば労働契約が成立する」という意味です。

第7条 労働契約の合意と周知

労働者および使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件を定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし労働契約において労働者および使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りではない。

労働契約を結ぶ前に、その労働契約で定めていない部分については、就業規則で定めている部分の内容が適用されます。
その就業規則は合理的な内容で、かつ全社員に周知させている必要があります。

使用者(企業)が就業規則を机の中にしまっていて、労働者が見たくても見られない場合などは、「全社員に周知」されていないため、その就業規則は労働者の労働条件になりません。

ただし、労働契約の内容が就業規則の内容と異なる条件であった場合、第十二条に該当する場合を除いて労働契約の内容が就業規則の内容に優先されます。

第12条 就業規則違反の労働契約

就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

労働者と企業が個別に合意していた労働条件が、就業規則を下回っている場合には無効となります。

そのかわり、労働者の労働条件は、就業規則の内容を適用します。

第8条 労働契約の内容の変更

労働者および使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

労働者と企業が合意すれば、労働契約を変更できます。

第16条 解雇

解雇は、客観的に合理的な理由を書き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

客観的に合理的な理由を欠いている解雇は、権利を濫用したものとして無効になります。

第20条 期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止

有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」と言う。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情考慮して、不合理に認められるものであってはならない。


これは前の部分で述べた、労働契約法の改正された条件です。

有期契約労働者と無期契約労働者の間で、職務の内容や配置の変更の範囲等が異なっていてはならないという旨を定めています。

労働契約法についてのまとめ

  • 労働契約法とは、労働基準法とは別に労働の契約に関する法律である
  • 労働契約の改正が行われ、有期労働契約者が安心して働ける環境が作られた
  • 労働契約をする際の規則や解雇するときの規則など細かいルールが労働契約法で指定されている