明哲保身(めいてつほしん)の意味とは

明哲保身(めいてつほしん)は「聡明な人は上手に危険を避けて、自分の身を護る」という意味です。

明哲とは、聡明で世の中の道理をわきまえている人のこと。保身とは、自分の身を安全に保つことを意味します。
そこから明哲保身が「聡明な人は他人を気にせず、自分の身の安全だけを考える」という意味に解釈されることもあります。

明哲保身という言葉は、中国最古の詩集「詩経(しきょう)」から生まれました。

詩経は詩のテーマや内容によって、「国風・小雅・大雅・頌」という4つのジャンルに分けられています。

大雅は古代中国の宮中の歌謡が記録されたもので、「既明且哲、以保其身(すでに明かつ哲、以ってその身を保つ)」という一節があります。
明哲保身は、そこから作られた言葉です。

明哲保身のビジネスシーンでの意味

明哲保身はビジネスシーンで会話に出てくる言葉というより、ビジネスに必要な心構えを表現した言葉です。
聡明な人は、自分の能力や自分が置かれた状況をわきまえてから行動するため、めったなことでは危険に遭遇しません。

明哲保身には、別の解釈もあります。

聡明な人物は、なにかあっても動揺せずに、自分らしい行動や考え方を保ちます。
世の中の道理をわきまえているため、周囲の人に影響されたり、その時々の状況に振り回されることはありません。
そうして自分のありかたを貫くうちに、危険を避けたり、困難を克服することができます。

明哲保身は本来、「聡明な人は、自分のありかたを保つことで危険を切り抜ける」という意味だったと考えられています。
どちらの意味も知っておくと、ビジネスの現場で役に立ちそうです。

明哲保身の使い方と例文

身を殺して仁を成すべきことを言いながら、その一方、どこかしら明哲保身を最上智と考える傾向が、時々師の言説の中に感じられる。
出典:中島敦『弟子』

 

このズルさのなかには、時の権力の見わけかた、将来の見通しの確かさ、危険にたいする自己防衛力といったようなものもふくまれている。 ひとくちにいって明哲保身の術だ。
出典:大宅壮一『炎は流れる1 明治と昭和の谷間』