世道人心(せどうじんしん)の意味

世道とは読んで字の如く、人の世にあるべき人の道のことで、世の中の道徳を表す言葉です。人心とはこれもそのまま人の心のことで、世の中の人々の心を意味します。

つまり世道人心とは、世の中にあるべき道徳と、その道徳を持つべき人の心を言い表す言葉です。

人が多くの他人様と共に社会生活を営んでゆく中では、数多くの軋轢が生じます。
その軋轢をできるだけ少なくし、自分と他人の生活を双方ともに快適にして行くために世道、即ち道徳があります。そしてその世道を各人が自らの心、即ち人心に持つことで快適な社会が作られるのです。

昨今、自社製品の品質に関するデータ改ざんや無資格者による安全検査など、企業の反道徳的な行為が多発しています。これは会社の経済活動の効率化を優先する余り、安全確保の為に義務化されている手続きを省いてしまうことが原因です。

この行為は単に会社の信用を落とすだけではなく、企業が社会に対して負っている責務、即ち世の道である道徳に対する背信なのです。

そして企業活動はすべからく人によって為されるものであり、その人心の荒廃がそのままこの様な世の道に外れた企業の活動となって現れてきます。

道徳に即した行為・行動は、経済的効率とは相反するものですから、よくよく企業として世道人心について常日頃から留意して行かなければなりません。

世道人心の例文

うしろ暗い仇持ちの人間を誉め称え、それが世道人心に良い風を及ぼすであろうかどうか。

出典:吉川英治「宮本武蔵」

始めて文芸が世道人心に至大の関係があるのを悟るのであります。

出典:夏目漱石「文学の哲学的基礎」

企業はその社会的責任において、企業内外の世道人心に対する十分なる啓蒙が必要不可欠となります。