転職目的にせよ個人的事情にせよ、会社を退職すると、失業手当(失業保険)がもらえるというのは誰でも聞いたことがあるでしょう。しかし、働いた期間(被保険者期間)や今後の働く意志の有無により、誰もがもらえるものでもありません。

また、退職理由によって受給期間が異なる点や、受給期間延長ができる場合などを解説します。制度をよく理解し、損をせず失業手当を受け取る参考にして下さい。

失業保険は誰でももらえるわけではない

失業保険がもらえる「被保険者期間」の算定について

まず失業保険がもらえるには、会社でどれぐらい働いていた期間がないとダメなのかについて説明します。

自己都合退職の場合は、勤めていた会社で雇用保険を払っていた期間(これを「被保険者期間」といいます。)が、離職日からさかのぼって2年の間に、12か月以上ある必要があります。会社都合だと、これが1年間に6か月以上となります。これ以下だと、失業保険はもらえません。

自己都合の場合、単純に考えれば、最低1年以上勤務があれば大丈夫ですが、この間に、たとえばある月に病気をして数日休み、日・祝日との関係もあり、実際に勤務した日数が10日しかなかったら1ヶ月とカウントしてもらえません。

特に、期間がギリギリの場合は失業手当をもらえないこともあるため注意が必要です。

働く意志を示すことが前提

失業保険は趣旨として再就職の促進を目的にし、次に仕事が見つかるまでのつなぎ的な意味があります。一旦事情があって「失業」したけれど、再就職を目指す意志を示すことで初めて支給されるものです。

ハローワークで失業手続きをしたとき、定期的に求職活動を義務付けられる理由でもあります。しばらくは働く気はないとして働く意志を示さない場合、失業保険は給付されません。

ただし、働きたいがやむをえず働けないという事情があれば給付を延長してもらえる方法があります。方法については後半で説明します。

「特定理由離職者」としての特例

会社都合の場合の被保険者期間は、離職日以前1年間に通算して6カ月以上必要というのは述べた通りですが、同等の扱いをしてもらえる場合があります。「特定理由離職者」という特例です。該当すれば、勤務期間が自己都合より短期間でも失業保険をもらうことができます。

「特定理由離職者」とは、いい方を変えれば「正当な理由のある自己都合退職」のことです。つまり、本来は働きたかったが事情があり自己都合で退職した人たちのことで、たとえば次のような例です。

 

・契約社員などで雇用期間が満了し離職した。

・自身の体力不足や病気が原因だったり、家族の看護などが必要となって離職した。

・妊娠、出産、育児等のために離職した。

・結婚や配偶者の転勤などで住所が変わり、通勤が困難になって離職した。

参考:ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」

場合で変わる失業保険の受給期間

失業保険を受け取る場合、注意しなければならないのが受給期間です。

原則として退職した翌日から1年間の間に受給しなければなりません。たとえば、しばらくのんびりしたいとか、結婚後家事に専念したいと考え、1年以上働く意志を表明しないと受給資格がなくなってしまいます。

その上で手続きをすることが前提ですが、具体的な受給期間は退職理由によって以下のように変わります。

自己都合の場合の受給期間

自己都合退職は自分の意志や理由で退職することをいい、「一般受給資格者」という区分に属します。受給期間は雇用保険の加入期間によって決まります。

年齢に関係なく、加入期間が1年以上10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日になります。ただし、ハローワークで手続きをしてから3カ月間は給付制限期間といわれ、実際に給付されるのはそれ以降です。

会社都合で退職した場合の受給期間

会社の経営不振など、会社側事情で退職させられた場合を、会社都合退職といい「特定受給資格者」と区分されます。働く意志があったにもかかわらずという前提になるため、この場合は自己都合より受給期間が長くなります。

受給期間は雇用保険の加入期間が1年未満でも90日あるのと、20年以上では最高330日(ただし、年齢による)となります。さらに、自己都合の場合にあった3カ月間の給付制限期間がありません。

なお、前段で説明した「特定理由離職者」はこの「特定受給資格者」の範囲に含まれるため、受給期間は結果的に会社都合と同じ扱いとなります。

退職時の理由は失業保険の受給の際、期間ひいては給付金額に影響するため、ハローワークをしっかり相談することが大切です。

失業保険の受給期間の延長

失業保険の受給期間延長の制度の内容

離職後、ゆっくりしたいと言っても受給期間に期限があるというのは述べた通りですが、一方で、働く意志は十分あるがやむを得ぬ事情があって求職活動や就職ができない人もいます。

この場合、その事情を申告することで受給期間を延長する方法があるので紹介しましょう。

具体的な事情としては、病気やケガ、妊娠、出産、育児(3歳未満)、親族の看護、介護、海外ボランティアや配偶者の海外赴任への同行などです。受給期間中の1年間に、これらの事情があれば最長3年間の延長をすることができるという制度です。

失業保険の受給期間延長の申請方法

これらの事情で最低30日以上続けて働くことができないとわかった時点で、できるだけ早くハローワークに申請します。事情が認められれば、日数分だけ受給期間を延長してもらうことができます。

ただし、受給期間の延長であって、給付してもらえる期間が増えるということではありません。

参考:ハローワークインターネットサービス『雇用保険手続きのご案内・基本手当について』

失業手当の期間についてのまとめ

  • 失業保険は誰もがもらえるというわけではありません。もらうためには決まりごとがあります。退職した理由がどんな理由にせよ、基本的にはハローワークに申し出ることが先決ですが、予備知識として持っておくことが大切です。
  • もらえるためには、働いていた期間(正確には雇用保険をかけていた期間)が影響します。自己都合だと離職日から過去2年間に12か月以上、会社都合だと過去1年間に6か月以上、雇用保険を支払っていた(被保険者期間)ことが必要です。
  • 加えて大事なことは、働く意志を示すことです。しばらくゆっくりしたいと思って1年以上求職活動をしないと失業手当がもらえなくなります。
  • 一方、退職時の理由が失業手当を受ける期間、結果的に金額に影響するのでしっかりと整理しておきます。自己都合と思っていても、特定理由離職者として会社都合と同様の受給期間になる場合があります。
  • 働きたきたくても働けない事情がある時は、受給期間が延長される場合があります。いずれにしろ、知らなかったために損をしないよう基礎知識は押さえておきましょう。