不動産の表題登記や境界に関するスペシャリストである土地家屋調査士ですが、仕事の内容については詳しく知らない人も少なくありません。
ここでは土地家屋調査士の仕事内容となるための方法、必要な資格について解説しています。
目次
土地家屋調査士の仕事内容
不動産の表題登記を行うのが土地家屋調査士の仕事
土地家屋調査士の仕事として主となるものは、不動産の表題登記を行うために測量を行い、図面と登記申請書を書いて登記手続きをすることです。
不動産の表題登記を他人から依頼されて行えるのは土地家屋調査士のみで、独占業務として認められており、住宅ローンを行う際に提出しなければならない抵当権の登記をするためには、表題登記がされている事が前提条件です。
不動産の登記にはミスがあっては大問題となるため、土地家屋調査士は正確で丁寧な仕事が求められる測量と表題登記のプロでなければならないでしょう。
表題登記とは何か
日本中の土地や建物は不動産登記法によって法務局にある登記簿へ登記される決まりです。登記簿にはどの場所にどのような土地や建物があり、誰が所有しているのかなどについての情報が記されています。
登記簿へ未登記の土地や建物について初めて登記を行う行為を表題登記といい、表題登記は未登記の土地や建物の所有権を取得した人が、所有権を取得した日から1ヶ月以内に申請しなければいけない決まりとなっています。
境界が明確でない土地の境界を定めるのも仕事
以前の日本では筆界特定制度が設けられておらず、境界を定める場合には当事者同士で話し合うか裁判を起こすしか手段がなかったため、非常に手続きが面倒で大変でした。
近年では土地の境界に関するもめごとが増えていますが、土地の境界線がはっきりしないときこそ土地家屋調査士の出番です。
表題登記と同様に土地家屋調査士の独占業務として認められており、境界が明確にされていない土地の境界を定める「筆界特定」という手続きを行うのも土地家屋調査士の仕事です。
フィールドワークに出かけることもしばしばある
土地家屋調査士の仕事はデスクワークばかりではなくフィールドワークに出かけることも多くあります。
表題登記を行う際の対象となる不動産に直接足を運んで調査や測量をすることになるでしょう。
土地の場合は境界杭の位置を確認して面積などを測量したり、境界杭の位置が定められていない場合は境界杭の位置を定めたりするための測量を実施します。
新しい境界杭の場所を定めるときには隣の土地所有者と話し合いをする必要がありますが、交渉も全て土地家屋調査士がまとめて行うケースもあり、建物の場合は土地との位置関係やフロアごとの形状などを測量します。
土地家屋調査士は求人には困らない
土地家屋調査士は仕事をする場所も多く、求人に困ることはまずないでしょう。ハローワークで募集されているのはもちろん、資格予備校の就職説明会やインターネットの求人サイト、土地家屋調査士会の求人募集サイトに出ていることもあります。
測量を行う仕事でもあるため、測量関係や土木関係の業界情報誌に求人が掲載されている場合もあります。
ただし、求人の数が多いだけになかなか希望条件に合う企業が見つからないこともあります。
土地家屋調査士の技術は資格などによって証明できる性質のものではないため、実務経験が最も有効なスキルです。実務経験が豊富な土地家屋調査士ほど就職には有利になり、給料も増えることでしょう。
自分に合った職場が見つからない場合には、就職・転職エージェントを利用することで自分に合った職場をより早く見つけることができます。
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土地家屋調査士になるための方法
土地家屋調査士試験に合格して土地家屋調査士になる
土地家屋調査士になるためには毎年8月の第3日曜日に行われる「土地家屋調査士試験」に合格することが条件です。
筆記試験に合格すれば口述試験を受けることができ、その両方に合格すれば晴れて土地家屋調査士と名乗れるようになります。
土地家屋調査士試験の内容
土地家屋調査士試験の内容は以下の通りです。
筆記試験 午前の部
筆記試験は午前の部と午後の部に分けて行い、測量士、測量士補、一級建築士、二級建築士のいずれかの資格を持っていれば午前の部の試験は免除されます。午前の部では平面測量10問と作図が1問出題されます。
筆記試験 午後の部
筆記試験午後の部では、民法や不動産登記法、土地家屋調査士法などの中から5択問題を20問出題され、土地と建物の申請書作成をそれぞれ1問ずつ行います。
口述試験
電車の遅延や渋滞などで試験に遅刻してしまわないよう、会場へは時間に余裕を持って向かいましょう。
土地家屋調査士の年収は400万円〜600万円
「土地家屋調査士は年収が1,000万円以上ある」という噂も耳にしますが、実際に大金を稼いでいるのは土地家屋調査士の中でもほんのわずかです。
ほとんどの人の年収帯は400万円〜600万円程度となっているため、驚くほどの高収入が見込める職業とはいえない現状です。
土地家屋調査士の年代別平均年収は以下の通りです。
・20代前半 365万円
・20代後半 427万円
・30代 429万円
・40代以上 440万円
その他の職種・自分の平均年収が気になる方はこちらが参考になります。
土地家屋調査士の勤務体系と休日は人により異なる
土地家屋調査士の勤務体系ですが、企業へ就職するのか独立開業するのかによって変わってきます。企業へ就職する場合は、企業が定めた勤務体系となるでしょう。
独立開業する場合は休日や勤務体系は全て自分で決めることになりますが、毎週固定の休みを定めた場合でも顧客によっては休日に決めていた曜日に仕事をしなければならないこともあります。
顧客の予定に合わせて仕事をする場面が多いため、イレギュラーな事態も度々発生するでしょう。
土地家屋調査士が活躍している有名な企業
日本には法務局や地方法務局の管轄区域ごとに全国に50の「土地家屋調査士会」が設立されています。日本土地家屋調査士連合会は50の土地家屋調査士会が会則を定めて設立した団体です。土地家屋調査士会の会員の品位を保持しつつ業務の改善進歩を図るために様々な事務を行います。日本土地家屋調査士連合会 ホームページ
土地家屋調査士についてのまとめ
土地家屋調査士は土地や建物の表題登記を行ったり、境界が曖昧な土地の境界を定めたりする仕事がメインとなります。華々しい未来が約束されている職業であると一概には言えないため、しっかりと堅実に仕事をこなしていくことが重要となります。
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