「ご教示」「ご教授」の意味とビジネス時の「教えて」を表す敬語と例文

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※2019/02/26に加筆修正いたしました。

 

ビジネスの場では、メールや口頭で相手に何かを教えてもらいたいシーンがよくあります。そのときに使える、正しい敬語表現をご存知でしょうか。

何かを教えてもらいたいとき、「お教えください」と言ってもよいのですが、熟語を使ったビジネスシーンに合う敬語表現としてよく目にするのが「ご教示ください」「ご教授ください」の二通りの言い方です。字面も発音も似ている二つの熟語なので、ついつい混同して使われがちなものですが、実は意味に違いがあります。

ここでは「ご教示」と「ご教授」の正しい意味の違いや使い分け方を解説いたします。例文も複数載せていますので参考にしてください。

ご教示の意味

まず、それぞれの言葉の意味を確認してみましょう。「教示」とは知識や方法などを教え示すことです。文例としては「例を挙げて教示する」「ご教示を賜る」というものが挙げられます。先生と生徒という関係によらず、物事に答えてもらうという広い意味を持っている言葉です。

ご教授の意味

「教授」とは学問や技芸を教え授けることです。また名詞としては、大学などで専門の学問・技能を教え、またその研究に従事する職のことを指します。動詞の文例としては「書道を教授する」「経済学を教授する」が挙げられています。
学問や技能、芸術などを、先生や講師から体系立ててレクチャーしてもらうこと、知識を授けてもらうことをイメージすればよいでしょう。

「ご教示ください」と「ご教授ください」の違いと使い分け方

それぞれ意味が異なり、使われる状況も異なるため、ビジネスシーンでは「どちらが正しくて、どちらは間違っている」と一概にいうことはできません。文脈に応じて適切な方を選ぶようにしてください。

誤用に注意したいのは、たんに情報を聞き出したいときに「ご教授ください」を使うことです。意味を確認したとおり、教授は学問や技芸について教えてもらうことですから、一般にビジネスシーンでは「ご教示ください」の方がしっくりくる頻度の方が高いでしょう。スケジュールや物事の進め方、方法をたずねる際に「ご教授ください」としてしまうのは誤りです。このような場合は「ご教示ください」を使うようにしましょう。

「ご教示ください」と「ご教授ください」はどちらも書き言葉?

「ご教示ください」と「ご教授ください」は意味に違いがありますが、どちらも書き言葉という共通点があります。「ご教示いただければと存じます」や「ご教授願います」など定型文として、書くときに用いられます。

話し言葉で使うと堅い印象がありますので、「お教えいただきたく存じます」や「お教え願います」、「ご指導のほどよろしくお願い申し上げます」などに変換して使うと良いでしょう。

「教授」と「享受」の違いと使い分け方

「教授」の同音異義語として「享受」という言葉があります。「享受」の意味は受け入れて自分のものとすること、受け入れて、味わい楽しむこととあります。文例としては独身の自由を享受するインターネットの恩恵を享受するというものが挙げられます。

「享受」は、「教えてもらう」という意味の「教示」「教授」とはまったく意味の方向性が異なる単語です。うっかり混同して使っていると明らかに誤用とばれてしまいます。意味の違いを理解するだけでなく、スマホやPCでの文字入力上の変換ミスにも気をつけましょう。

「教えを請う」と「教えを乞う」の違いと使い分け方

また、ものを教わることを熟語以外で表現すると「教えを請う」という表現がありますが、「請う」と「乞う」の違いについて説明いたします。

慣用表現としては、基本的にはどちらの漢字も使えるものの、「請」は許しを願う意味、「乞」は頼みねだる意味で、「乞」の方がねだる気持ちが強いものです。「乞」は「雨乞い」「命乞い」という熟語にも使われるため、立場が下の者から必死に強く頼むというニュアンスが含まれます。そのほかの用例としては「許可を請う」「権利を請う」「案内を乞う」「慈悲を乞う」というものになります。

そのため、立場が下の者から教えてもらうという意味で使うとすれば、「教えを乞う」、一般的に何かを教えてもらうという意味で使うとすれば「教えを請う」という分け方になります。「ご教授」「ご教示」のよう明確に使い分ける必要性はそこまで高くありません。

「ご指南」と「ご指導」の違いは?

「教える」という意味の類語として、「指南」や「指導」という言葉もあります。
「指南」とは、武術・芸能などを教え示すこと、指導することです。「剣道を指南する」「将棋のご指南お願いいたします」という文例が挙げられます。教えるという意味の中でも、武術や芸能などに内容が限定されていることが特徴的です。

「指導」とはある目的・方向に向かって教え導くことです。「演技の指導にあたる」「指導を受ける」「人を指導する立場」が挙げられ、類語としては「教育」「手引き」「鞭撻」があります。

「鞭撻」は古風な単語で、耳にする頻度が高くない言葉ですが、意味は「努力するように励ますこと」です。「鞭」の字はむちで打つことを意味します。むち打って懲らしめるという意味から、厳しく指導することや激励することへと意味が変わってきた言葉です。単体ではあまり使われませんが、「指導」と組み合わせて、「ご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます」などの慣用表現になるとよく使われる言葉です。漢語が続き、硬い字面のため普段の会話ではあまり出てきませんが、挨拶やお礼状の中では頻出する言い回しです。ここぞというシーンでぜひ使えるようにしておきましょう。

「指南」は武術や芸能に関する教えを指すので、ビジネスシーンで使うことは少ないでしょう。「指導」は教えの内容を問わず広く使える言葉なので、「指導」を使っておけば間違いになることはありません。

 

「ご教示」「ご教授」「ご指導」を使った例文集

先日お願いしたミーティングの件、ご都合のよい日時をご教示いただけると幸いです。
新会計システムにおける外部支払の登録方法について、ご教示くださいますか。
明日の定例会ですが、準備のため簡単でかまわないので事前にアジェンダをご教示願います。
先日、○○先生が宇宙物理学会でご発表になった仮説について、ぜひ弊社社員に概要をご教授いただきたくご連絡いたしました。

教える内容が学問に関することなので「ご教授」がよいでしょう。

弊社の新商品開発に関しましては、2年の長きにわたりお心遣いあるご指摘を頂戴し、誠にありがとうございました。今後とも折に触れ、ご教授を賜りますようお願い申し上げます。
○○課長に教えを請うた1年間で、ここまで成長することができ感謝の念に堪えません。

「教えを乞う」も漢字表記は問題ありません。言い換え方として「○○課長にご指導いただいた〜」「○○課長にご指導ご鞭撻いただいた~」とすることもできます。

一年間お世話になりました。○○先輩にはまたいろいろ教えを乞う機会もあるかと存じますが、その節はどうぞよろしくお願いいたします。

「教えを請う」も漢字表記は問題ありません。言い換え方として「○○先輩にはまたいろいろご指導いただく機会も~」とすることもできます。

新人研修のセミナーにおいては、懇切丁寧にご指導くださったこと感謝申し上げます。
皆様の支えのおかげで今期の目標を達成することができました。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
来月の社内ゴルフコンペに向けて、初心者の私にフォームからご指南いただけないでしょうか。

「ご教授」「ご指導」にも言い換えられます。

○○部長に指し方をご指南いただいたおかげで、私の将棋の腕前もずいぶん向上しました。

「ご教授」「ご指導」にも言い換えられます。

「ご教示ください」「ご教授ください」の英語表現

日本語では「ご教示」と「ご教授」、漢字も音も似ているため、混同しやすいのですが、英語にすると案外わかりやすいかもしれません。

「ご教示ください」は、知識や方法などを教え示してもらうことなので、”Please instruct it to me.”などを使うと良いでしょう。また、「ご教授ください」は学問や技芸を教え授けることなので、”Please give me a lecture.” というように”lecture”を使うとわかりやすいです。

「ご教示」の英語例文

ご教示ありがとうございました。
Thank you for your instruction.
ご教示いただけますと助かります。(詳細を説明してもらえたら大変助かります。)
It would be greatly appreciated if you could explain the details.

「ご教授」の英語例文

ご教授ありがとうございました。(お忙しい中、教えてくださってありがとうございます。)
Thank you very much for teaching me even though you are so busy.

まとめ

・「教示」とは知識や方法などを教え示すことで、物事に答えてもらうときにつかう
・「教授」とは学問や技芸を教え授けること、レクチャーの意味をもっている
・一般にビジネスシーンでは「ご教示ください」の方がしっくりくる頻度の方が高い

「教える」「教えてもらう」という意味を持つ言葉を比較してみました。「教示」「教授」「指導」「指南」「教えを請う」「教えを乞う」、それぞれの言葉が持つ細かな意味の違いを理解し、シーンに合った適切な言葉を使えるようにできれば一人前のビジネスパーソンとして、ひと目おかれる存在になるでしょう。