企業側が採用者の能力や適性などを見極めるための試用期間ですが、試用期間中だからといって企業側が自由に採用者を解雇することはできません。

こちらの記事では試用期間中の解雇やトラブルについての内容を解説しています。

試用期間中の方や、試用期間中の解雇について知りたい方などは参考にしてみてください。

試用期間って何だろう?

試用期間とは、企業が社員を採用後に入社してからの一定期間で採用者の能力や適性、勤務態度などを見極める期間のことです。

1ヶ月から6ヶ月の間が試用期間とされることが多いですが、一般的には3か月が多いです。

採用されていることに変わりはない

試用期間は法律的には解約権留保付労働契約として扱われ、実際に採用されて雇用されていることに変わりはありません。

通常の雇用契約と同じく解雇には正当な理由が必要となり、企業側の勝手な都合で解雇することはできないです。

試用期間中の解雇はあるのか?

もちろん試用期間中に解雇される可能性はあります。ただし、よほど正当な理由がない限りは企業側の不当解雇に該当します。

基本的に解雇される理由としては通常の正社員と同じものとなりますが、異なる点はそれよりも若干広い範囲で企業側に解雇の自由があるということです。

解雇の相当性

下記の理由のように、正当な理由があれば企業側は試用期間中の社員を解雇することができます。しかし、これは試用期間中に限ったことではなく、通常の正社員でも解雇される理由となります。

[正当な解雇理由の例]

  • 極端な能力不足
  • 経歴詐称など
  • 勤務態度の悪さ
  • 度重なる無断欠勤や遅刻
  • 健康状態が悪く、出勤率が低い

試用期間終了後に本採用を拒否されることはあるのか?

試用期間中であっても解雇には正当な理由が必要なように、試用期間終了後に本採用を拒否することにも正当な理由が必要です。

過去に裁判で本採用の拒否が認められたケースがいくつかあり、以下の通りとなります。

  • 出勤率が90%に満たない
  • 3回以上の無断欠勤
  • 粗暴な発言や、同僚からの反感を買うような行為
  • 経歴詐称

具体的な数値に関してはあくまで目安にしかなりませんが、客観的に見て合理的な理由がなければ企業から本採用の拒否をされることはありません。

試用期間の延長について

条件を満たせば、企業側は試用期間を延長することもできます。

試用期間を延長できる条件として以下のようなものがあります。

  • 就業規則や雇用契約書に試用期間を延長する場合があることの記載がある
  • 延長する理由が正当なものである
  • 当初の試用期間を含めた合計の期間が1年程度以内になるように延長期間を設定する

就業規則や雇用契約書に試用期間の延長に関する記載がない場合や正当な理由がない場合は、企業側の都合だけで試用期間を延長することはできません。仮に採用者との合意があってもNGです。

また、日本の労働基準法では試用期間の限度は特に設けられていませんが、民法90条の公序良俗の観点から試用期間はおおむね1年程度以内と解釈されています。

試用期間中の解雇手続き

試用期間中は雇用開始から14日を超えるかどうかで解雇手続きが変わってきます。

この14日というのは労働基準法で定められている日数で、雇用開始から14日を超えた場合は試用期間中であっても本採用の社員と同様の解雇手続きが必要になります。

雇用開始から14日以内

雇用開始から14日以内の場合は先ほどの正当な理由に当てはまれば、企業側は即日解雇することができます。

雇用開始から14日経過したら

雇用開始から14日経過後であれば、本採用の場合と同じく企業側には解雇予告の義務があります。

もし解雇予告をしない場合には30日分以上の解雇予告手当を支払う必要があります。具体的なポイントは以下の通りとなります。

  • 企業には30日前の解雇予告の義務がある
  • 解雇予告をしない場合、企業は30日分以上の解雇予告手当を支払わなければならない

ちなみに解雇予告と解雇予告手当は両方を組み合わせることも可能で、その配分は企業側が自由に決めることができます。

例えば「15日前の解雇予告+15日分の解雇予告手当」などです。

試用期間だけの解雇に納得がいかない

試用期間だけの解雇に納得がいかない場合、まずは解雇の理由を聞きましょう。それが上記の正当な理由に当てはまれば仕方ありませんが、不当解雇である可能性も十分にあり得ます。

また就業規則や雇用契約書などを複製しておくことも重要です。

不当な理由だった場合の対処1:行政に相談をする

まずは行政に相談するという方法があります。労働基準監督署やハローワークでも相談に乗ってくれます

しかし、相談には乗ってくれますが具体的な対応をしてもらえるかというと、実際はそうでもないようです。

不当な理由だった場合の対処2:弁護士に相談

より具体的な行動を起こしたい場合は、弁護士に相談する方がよいでしょう。試用期間中の解雇に正当な理由がないとして、企業側から解雇を撤回してもらえる可能性もあります。

ただし、今後も働き続けることになると考えれば、なるべく裁判など法的な手段には持ち込まない方がよいです。

しっかりと交渉をした上で解雇の撤回に持ち込めることが理想です。

試用期間中の解雇についてのおさらい

試用期間中の解雇についてのおさらいは以下の通りとなります。

  • 試用期間とは、企業が社員を採用後に入社してからの一定期間で採用者の能力や適性、勤務態度などを見極める期間のこと
  • 試用期間中とはいえ、経歴詐称や無断欠勤、遅刻が多いなどの正当な理由なく企業側が勝手に解雇するのは許されない
  • 試用期間終了後に本採用を拒否することも、試用期間を延長することも、正当な理由や条件を満たさなければならない
  • 試用期間中の解雇は労働基準法によって14日を超えるかどうかで手続きが変わってくる
  • 雇用開始から14日を超える場合には企業側には解雇予告の義務が発生する
  • 試用期間中だけの解雇に納得がいかない場合は、行政や弁護士に相談して今後の対応を考えたほうがよい
  • 解雇を撤回してもらい、その後も同じ企業で働きたい場合はなるべく法的な手段には持ち込まない方が懸命