ニュースなどで「派遣切り」という言葉が話題になったことがありました。バブル崩壊後から、派遣労働・非正規労働者が徐々に増えていく中で、2008年のリーマンショックが原因となって製造業を中心に多くの派遣社員が派遣契約を打ち切られた出来事がありました。

この時から特に「派遣切り」という言葉が注目されるようになったのです。

この記事では「派遣切り」という言葉の意味と、派遣切りがなされる理由、派遣切りにあってしまった場合にどうすればいいかについて説明します。

派遣切りとは

派遣切りというのは、派遣先の企業側の都合によって、派遣社員に辞める意思がないのに派遣契約を途中で打ち切られることです。

また、雇用契約の更新を拒否されることも、派遣社員が失業するため、派遣切りの一つだと考えられています。これは「雇い止め」ともいわれています。

派遣切りがされる理由とは

業績不振による人件費削減

派遣切りが行われる理由としては、派遣先企業の業績不振があげられます。2008年のリーマンショックの影響による製造業を中心にした派遣社員の雇い止めはこのケースにあたります。

需要が減少し、派遣社員が行っていた作業ラインがなくなってしまうようなケースです。正社員であれば解雇するのにかなりのコストがかかりますが、派遣社員に対しては比較的簡単に雇い止めを行えます。

企業は派遣社員を雇用の調整弁として利用しています。景気がよい時は大量に雇い、景気が悪くなると雇い止めをすることによって労働力や人件費を調節しているのです。

3年ルール 派遣期間の制限

平成27年に改正された労働者派遣法によって、派遣労働者の個人単位での派遣期間制限が新たにもうけられました。派遣労働者は3年を超えて同じ会社の同じ課に派遣され続けることはできないというものです。この制限は「3年ルール」と呼ばれています。

派遣会社は、派遣労働者を3年間継続して同じ会社の同じ課に派遣する場合、いくつかの義務を負うことになります。

まず、派遣会社は「派遣先への直接雇用の依頼」を行わなければならず、できなければ、新たな派遣先の提供や派遣会社での無期雇用、その他安定雇用の継続を図るための措置をとらなければなりません。3年以上働いてもらおうとすれば、派遣先会社は派遣社員を正社員として雇わなければならなくなってきます。

「3年ルール」は、派遣社員の正社員化や安定雇用を目的として作られたものだったのですが、3年以上雇おうとすると様々な義務が付きまとうため、派遣会社・派遣先会社ともに、派遣社員を3年未満で雇い止めをするというインセンティブ(動機)が生まれてしまいました。

派遣切りされるのは結局は会社の都合

派遣切りはそのほとんどが企業側の都合で行われるものです。能力が低いから切られただとか、自業自得だとかいう理屈は正しくありません。それは企業側が自分達の行いを正当化するための理屈なのです。派遣切りの主な理由である「業績不振」「3年ルール」のいずれも、企業側に理由があります。

派遣切りをされたからといって、自分を責める必要は全くありません。派遣切りは個人ではなく、企業や社会、法制度が原因になって怒っている問題なのです。

派遣切りされたらどうするか

次を探す、相談窓口へ連絡

派遣切りにあった場合は、受け入れて次の仕事を探すことが大切です。しかし、派遣切りのされ方によっては企業の都合のよい条件で解雇されてしまっているケースもあります。その場合は甘んじて受け入れず、各地の窓口に相談するようにしましょう。相談窓口には以下のようなものがあります。

・厚生労働省の労働者派遣事業に関する相談窓口
都道府県ごとに一つありますので最寄りの相談窓口に電話をしましょう。
・全労連の労働相談ホットライン
・法テラス
相談料無料です。法テラスは「国によって設立された法的トラブルの総合案内所」で、派遣切りに関しても相談にのってくれます。

派遣切りにあってしまった場合、自己都合退職にされてしまっている可能性もあります。次に説明する失業保険の手続きなどで大きく損をしてしまう可能性がありますので注意が必要です。

契約満了が近付いていて、更新がなされないと予想できる場合は前もって次の仕事を探しておくと、自分の能力や希望する条件にあった仕事が見つかりやすいです。

失業保険の手続きをおこなう

派遣切りで職を失った場合にも失業保険を受給できます。派遣切りの場合は会社都合の退職となり、自己都合退職と比べてよい条件で失業保険を受給できます。

失業保険を受給するための条件はいくつかありますが、基本的に雇用保険の加入期間が12ヵ月間必要です。

しかし、派遣切りにあった場合は会社都合の離職ということで「特定理由離職者」ということになり、雇用保険の加入期間が6ヵ月あれば失業保険の給付が認められます。特定理由離職者として認められると、受給期間が大幅に増えます。

自己都合退職の場合にもうけられる3ヶ月間の給付制限がなく、離職票を提出して7日後から失業保険が給付されるようになるでしょう。

失業保険の申請は自分が住んでいる地区の管轄のハローワークで行います。
失業保険を受給しながら、余裕をもって自分の望む条件にあった仕事を見つけたいですね。

失業保険とは何か、受け取る際の条件や受給までの流れを詳しく解説

派遣切りの要点まとめ

派遣切りというのは、派遣先の企業側の都合によって、派遣社員に辞める意思がないのに派遣契約を途中で打ち切られることで派遣社員が失業することを言います。派遣切りが行われる理由の一つは派遣先企業の業績不振があげられます。

派遣社員であっても雇用保険に加入していれば、失業保険を受給できます。個別のケースによって給付制限や受給期間が異なるので、管轄のハローワークや派遣切りの相談窓口で相談ができます。

もう一つの理由は「3年ルール」と呼ばれている決まりによるものです。これは派遣労働者は3年を超えて同じ会社の同じ課に派遣され続けることはできないというものです。派遣切りは企業側の都合によるものなので、派遣切りにあっても自業自得と思う必要はありません。派遣切りにあった場合は気持ちを切り替えて、次の仕事を探すようにしましょう。